祐さんの散歩路 Ⅱ

日々の目についたことを、気ままに書いています。散歩路に咲く木々や花などの写真もフォトチャンネルに載せました。

・ 安倍首相中東訪問 外務省は時期悪い

2015-01-31 03:18:14 | 政治
全く先が見通せないアベシ。中東訪問について外務省からの忠告に逆の反応を見せた。何でもかんでも自分の都合の良いようにしかとらえられないアベシ・・・・自分は特別な人間だと思っているんでしょうかね?
News ポストセブンの記事を転載します。


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安倍首相中東訪問 外務省は時期悪いと指摘も首相の反応は逆
NEWS ポストセブン 1月26日(月)7時6分配信

 安倍晋三首相は、1月17日~21日にかけて中東歴訪を行なったが、出発前の1月7日にフランスで週刊紙銃撃テロ事件が起きると、外務省内から今回の首相の中東訪問は「タイミングが悪い」という声が上がった。ところが、安倍首相の反応は逆だった。官邸関係者がこんな重大証言をした。

「総理は『フランスのテロ事件でイスラム国がクローズアップされている時に、ちょうど中東に行けるのだからオレはツイている』とうれしそうに語っていた。『世界が安倍を頼りにしているということじゃないか』ともいっていた」  周囲はその言葉を聞いてさすがに異様に感じたという。関係者が続ける。

「総理は総額25億ドル(約3000億円)の中東支援についても、『日本にとってはたいしたカネではないが、中東諸国にはたいへんな金額だ。今回の訪問はどの国でもありがたがられるだろう』と自信満々で、常人の感覚とは違うなと感じた」

 テロは対岸の火事で、自国民の人質には一顧だにしないのが「積極平和外交」の実態だったのか

 そして現地で情勢は一転する。1月20日に日本人2人の殺害予告ビデオ公開を受けてイスラエルで記者会見に臨んだ安倍首相の顔からはすっかり自信が消えていた。 会見ではプロンプターの文字を必死に追って話すのが精一杯で、外国メディア記者からの「日本の過去の身代金支払いが原因ではないか」という質問には一言も答えなかった。

 安倍首相は「テロとの戦い」をことさら強調し、フランスのテロ事件を「ツイている」と喜びながら、米国のケリー国務長官をはじめ、英、独の首相はじめ40か国以上の首脳が集まった追悼式典(1月13日)には無視を決め込んだ。日程的余裕があったにもかかわらず、山梨の別荘で休暇を過ごしながら祖父と父の墓参りで「衆院選勝利」を報告し、式典に駐仏大使を出席させただけだった。

 フランスで起きたテロは外交パフォーマンスに都合のいい対岸の火事と捉え、まさか日本が標的になるという洞察も備えもなかったことがわかる

※週刊ポスト2015年2月6日号

・ 人質家族が泣き叫べない日本の異常

2015-01-31 02:59:08 | イスラム国
イスラム国に人質事件に対して、その家族はどうしているのでしょう。早くから誘拐されたことは分かっていながら、何ら対応をせずに放っておいた安倍政権を批判する声は聞こえてきません。日本のマスゴミは何をしているのでしょう・・・・一番心配な奥さんは、あげたい声も上げずにいるそうです。馬鹿なマスゴミが「自己責任」だと騒ぐと家族の安全が脅かされることを心配しているようです。ヤフーニュースに志葉玲さんが記事を載せています。以下転載します。

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人質家族が泣き叫べない日本の異常ーイスラム国による邦人人質事件での親族の抑制
志葉玲 | フリージャーナリスト(環境、人権、戦争と平和)
2015年1月30日 17時12分


日本人ジャーナリストの後藤健二さんがISIS(イスラム国)に人質とされている問題で、後藤さんのパートナーである方が、ジャーナリストやその家族を支援する国際団体「ローリー・ペック・トラスト」(本部は英国ロンドン)のウェブサイトで英文で声明を発表した(本稿末尾に日本語訳)。声明文は、「もう時間がない」「最後のチャンス」とヨルダン、日本当局に後藤さん救出への決断を求めるもの。文中にもあるように、ISISに脅されて今回の声明の発表に至ったとのことだが、極めて困難な状況の中で、非常に気丈かつ冷静な文章である。

しかし、その抑制された文章ゆえに、筆者は暗澹とした気分とさせられる。これが日本ではなく、他の国のジャーナリストの家族であれば、テレビ等のメディアの前に出て、涙ながらに訴えたことだろうし、その方が解放の可能性が高まる。基本的に中東は人情に厚い社会だからだ。そうした振る舞いを後藤さんのパートナーの方がしない、或いはできない大きな要因は声明中にもあるように、幼い娘や親族を守るため、だろう。メディアの前で感情をあらわに訴えようものなら、「自己責任」だの「自業自得」だの、それこそ尋常じゃないバッシングの嵐が吹き荒れ、ご本人やそのご親族の生活に実際に著しい支障をきたし、身の危険が及ぶ可能性すらある。04年のイラクでの日本人人質事件では、私も海外の友人や知人から、「なぜ日本では被害者があそこまで批難されないといけないのか???」と聞かれることも少なくなかったが、「心無い」を通り越して、もはや異常ともいえる風潮だろう

このようなバッシング文化をつくってしまったことでのメディアや政府の責任は大きい。「自己責任」バッシングが社会問題化したのは、'04年4月のイラクでの日本人人質事件だが、この時バッシングを主導していたのは、内閣官房であり、官邸記者クラブ周辺だと聞いている。それに週刊誌も飛びつき、事件とは関係ないプライベートのことまで、あることないこと名誉毀損レベルの事実の脚色、捏造を書き立てた。そうした報道がネット上でのバッシングを煽りたてたのである。

今回、安倍政権は、04年の人質事件の時とは異なり、被害者への直接の批判は避けている。そのこと自体は結構なことであるが、後藤さんの母親である石堂順子さんとは面会しないなど、やはり冷淡な対応だ。後藤さんの母親が面会を求めていた28日の首相動静を見ると、午後7時38分には安倍首相は公邸に戻っている。「多忙」を理由に面会を断ったというが、全く時間が無かったわけではないだろう。しかも、結果的に新たな期限が設けられたものの、28日当時は「後藤さんを殺害する」とする24時間の期限が迫っていた、非常に緊迫した状況だったにも関わらずだ。

一方、やはりISISに人質をとられているヨルダンではどうかというと、人質とされているパイロット、ムアス・カサスペさんの父親と国王が面会している。後藤さんは民間人、ムアスさんは軍人という違いはあるものの、ヨルダンでは国王を批判すること自体、刑罰の対象となる。そうした状況の中で、王宮前でデモを行い、米国主導の「テロとの戦い」から離脱するよう主張していたムアスさんの父親を、ヨルダン国王は迎えいれ、「彼は私達の息子でもある」と励ましたのだ。安倍首相も後藤さんの母親と面会し、「悪いのはISISであって人質やその家族の批判は慎むべきだ」とくらい言うべきだったのである。

気持ちが悪いのは、今回、「人質の救出に政府が全力を注ぐ中で、政府批判をするべきではない」という風潮があることだ。だが、昨年8月に湯川遥菜さんが、そして同年10月に後藤さんが拘束されて以来、現在に至るまで、様々な落ち度が政府にあったことは事実だ。今回の2億ドル支援についても、真に人道支援が目的ならば、米国主導の下での「対ISIS有志連合」諸国ではなく、国連や赤新月を通じての支援でも良かったはずだ。非常事態を口実に政府批判が自粛され、その結果、対テロ戦争の泥沼にはまったのが、9.11事件後の米国だった。確かにISISは非道極まりないテロ集団であるが、そもそもISISが蔓延る状況を作ったのはイラク戦争や占領政策の失敗、シリア内戦への国際社会の対応のまずさに他ならない。安倍政権が集団的自衛権の行使について、関連法の改正(改悪)を進めている今こそ、具体的な状況に基づいて、日本の外交・安全保障政策についての検証が行われるべきである。 


以下、後藤さんのパートナーの方の声明文(原文は英文)


私の名前はリンコです。シリアで捕らえられたジャーナリスト、後藤健二の妻です。彼は2014年10月25日、誘拐されました。それ以来、私は彼の解放のため、水面下で休むことなく、尽力し続けてきました。

私は今まで声明を出すことを避けてきました。健二の苦境について世界中のメディアが注目する中で、私は自分の子供と家族を守りたかった。私たち夫婦には、2人の幼い娘がいます。私たちの下の娘は健二が日本を離れた時には、わずか生後3週間でした。私は、2歳の上の娘が再び父親に会えることを望んでいます。2人の娘が父親のことを忘れずに、成長していくことを望んでいます。

私の夫は善良で、正直な人間です。人びとの困難な状況を報じるためにシリアへ向かいました。健二は、湯川遥菜さんの居場所を探し出そうとしていたと推測できます。遥菜さんがお亡くなりになったことは大変遺憾です。そして、彼の家族の悲しみをお察し致します。家族の皆様がどれだけつらい思いをされているかが、私にもわかるからです。

12月2日、健二を拘束した誘拐犯らからメールを受け取ったとき、健二がトラブルに巻き込まれたことを知りました。1月20日、私は湯川遥菜さんと健二の身代金として2億ドルを要求する動画を見ました。それ以来、私と誘拐犯との間でメールを何回かやりとりしました。私は、彼の命を救おうと奮闘したのです。

20時間ほど前に、誘拐犯は私に最新の、そして最後の要求と見られる文章を送ってきました。

「リンコ、お前はこのメッセージを世界のメディアへ公表し、拡散しなければならない。さもなければ、健二が次の犠牲者となる。29日木曜日の日没までに健治と交換するサジダがトルコ国境付近にいなければ、ヨルダン人パイロットを即座に殺す」。

これは私の夫にとって最後のチャンスであり、彼の解放と、ムサス・カサスベさんの命を救うには、あと数時間しか残されていないことを懸念しています。ヨルダン政府と日本政府の手中に、二人の運命が委ねられていることを考えて欲しいと思います。

同時に、私はヨルダン政府と日本政府の全ての努力に対して感謝しています。ヨルダンと日本の人々から寄せられる同情に対しても感謝しています。幼少の頃、、私の家族はヨルダンに住んでおり、私は12歳になるまで、(ヨルダンの首都である)アンマンの学校に通っていました。ですから、私にはヨルダンとヨルダンの人々に対して、とても親しみを持っており、多くの思い出があります。

最後に、私は、私と娘たちを支えてくれた、私の家族、友人たち、そして健二の同僚に感謝しています。私の夫と、ヨルダン人パイロット、ムアス・カサスベさんの無事を祈っています。

リンコ


出典:https://rorypecktrust.org/rpt-live/January-2015/Urgent-plea-from-wife-of-Kenji-Goto

・ 安倍首相の中東訪問 ばら撒き850億円超の中身

2015-01-31 02:02:31 | 政治
Hunterに、今話題のイスラム国が要求している2億ドルのきっかけとなった、アベシの中東訪問が報道されています。国民の税金を、自分のポケットマネーのごとく気前よくばら撒いてきた結果、日本人二人の命の代金として2億ドルの要求となって様です。以下転載します。


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安倍首相の中東訪問 ばら撒き850億円超の中身

2015年1月28日 09:25


国会議事堂 イスラム教スンニ派の過激組織「イスラム国」による人質殺害予告の発端となった安倍晋三首相の中東訪問。エジプトで発言した「ISIL(イスラム国)と闘う周辺各国に2億ドル」ばかりが取り沙汰されているが、この外遊中に安倍首相が表明した中東支援の総額は25億ドルだ。対外援助の原資は税金。一体どのような内容なのか調べてみたところ、日本円にして約850億円分の内訳が分かった。
 消費増税の痛みを味わう国民をよそに、海外に出たとたん大盤振る舞いの安倍首相。中東訪問の詳細を検証した。

中東訪問の日程
 安倍首相の中東訪問は今月15日から20日にかけて。エジプト、ヨルダン、イスラエル、パレスチナを歴訪し、各国要人らと会談などをこなしていた。外務省が公表した首相の日程は次のようになっている。

【エジプト】(1月16日~17日)
日エジプト首脳会談及び昼食会,エルシーシ大統領と経済ミッションの会合、マハラブ首相との会談、日エジプト経済合同委員会における中東政策スピーチ、大エジプト博物館視察

【ヨルダン】(1月17日~18日)
日ヨルダン首脳会談、アブドッラー2世国王夫妻主催夕食会、アブドッラー2世国王主催日・ヨルダン経済界との会合及び昼食会、ヌスール首相との会談、ヨルダン国立博物館視察

【イスラエル】(1月18日~20日)
日イスラエル首脳会談、ネタニヤフ首相夫妻主催夕食会、ネタニヤフ首相と経済ミッションとの会合、リヴリン大統領への表敬、ヤド・ヴァシェム(ホロコースト博物館)訪問、経済セミナー出席、エルサレム旧市街視察、ヘルツォグ労働党首による表敬、「イスラエル・パレスチナ合同青年招へい」及び「中東和平プロジェクト」参加者の同窓会、内外記者会見

【パレスチナ】(1月20日)
アッバース大統領との首脳会談及び昼食会、アッバース大統領と経済ミッションとの会合、アラファト廟訪問

 首相は、17日に開かれた「日エジプト経済合同委員会」におけるスピーチで『ISILと闘う周辺各国に2億ドル』と表明。これが発端になって、邦人2名の殺害予告につながったと見られている。



850億円の内容は?
 問題は、中東訪問で実際に首相がばら撒いた総額。訪問した国ごとの円借款や財政支援などを列記すると、次のようになる。

【エジプト】
・「配電システム高度化計画」及び「ボルグ・エル・アラブ国際空港拡張計画」の2案件への総額約430億円の新規円借款
・エジプトの国境管理能力強化、洪水対策支援等を目的とした国際機関経由の約400万ドルの新規支援
・日本のISIL対策でのエジプトの国境管理能力強化のための50万ドルを含む、総額2億ドル規模の新規支援

【ヨルダン】
・ヨルダンの安定を支えるため新たに1億ドルの円借款
・国会承認を得てからとなるが、国際機関経由で総額2,800万ドルの新規支援

【パレスチナ】
・ガザの人道・復興支援、自治政府への財政支援、雇用、保健分野での支援等のため、新規に約1億ドルの支援

 イスラム国対応の2億ドルが、明らかに性質の異なるものであることが分かる。支援内容によってドル、円と通貨表記が分かれるのは、原則として円借款の場合は円て、それ以外はドルで支払うことになっているからだという。そこで、エジプト、ヨルダン、パレスチナへの資金提供額をすべて円換算してみると「総額約852億円」。安倍首相は、5日間の中東訪問でこれだけの血税ばら撒いたあげく、不用意な発言で過激派に付け入るすきを与えたということになる。

 ちなみに、イスラム国対策を名目とする海外援助は今回が初めてではない。昨年9月には、難民救済を目的としてイラク向けに2,270万ドル(約22億円)の緊急無償資金の提供を実施しているが、これもイスラム国対策でのこと。同年11月にイスラム国側に拘束された日本人ジャーナリスト後藤健二さんの家族に突き付けられたという当初の身代金の額は20億円。今回、安倍首相の2億ドル供与表明を受けて、イスラム国が邦人2人の命と引き換えに要求した額は2億ドル。安倍政権がイスラム国対応にあてたその時々の支援金の額と符合しているようにも思える。

首相の責任
 資源に乏しい日本にとって、産油国が集中する中東は極めて重要な地域だ。その地域の平和と安定に資する資金援助が、国益にかなうものであることも事実。しかし、安倍首相が中東訪問を行った時期は、フランスの新聞社「シャルリー・エブド」がイスラム過激派に襲撃された直後。中東をめぐる動きが緊迫の度を増していたことを、政府が知らなかったわけではあるまい。邦人2人が拉致されていることも分かっていたのだ。そうしたなか、日本の首相がその地域に出かけて行き、『ISILと闘う周辺各国に2億ドル』などと不用意な発言をする必要はなかった。安倍の頭にあったのは、巨額の資金援助を表明すること。自らのパフォーマンスを世界中に見せつけることしか考えていなかったのだろう。愚かと言うしかない。

 27日の国会代表質問、“イスラム国と戦う周辺各国に支援表明を行うことのリスクを想定していたのか”と聞かれた安倍首相は、「リスクを恐れてテロリストの脅しに屈すれば、周辺国への人道支援はできなくなる」と答えた。詭弁である。テロリストの脅しに屈する必要はないが、リスク回避は為政者の使命だ。エジプトにおける問題の支援表明は、“人道支援のため”という説明を省いていきなり「イスラム国と戦う周辺各国に2億ドル」というものだった。邦人の命を危険に晒すというリスクを想定していれば当然言葉を選ぶべきだったが、安倍にはそうした配慮のかけらもなかった。自らのパフォーマンスに高揚して、守るべきものの姿が見えていなかった、というのが実態だろう。


*ところで、本稿における海外援助の米ドルの額を、円に換算した場合の金額がおかしいことにお気付きなった読者もいることだろう。最近の為替相場なら1ドル=118円台。2億ドルは約240億円となり、大半の報道はこれに倣っている。本稿ではエジプト、ヨルダン、パレスチナへの資金提供額をすべて円換算すると「総額約852億円」と書いたが、これを1ドル=118円で計算すると、約910億円になる。おそらく、国内の大手メディアの記事は「約910億円」となるはずだ。が、実際は違っているということを、明日の配信記事で明らかにしてみたい。大手メディアの報道がいかにいい加減か、よく分かるはずだ。

・ 最優先すべきは命だ

2015-01-29 20:47:46 | イスラム国
日本の政治は3流とは昔からよく言われていることです。今、イスラム国につかまっている日本人をめぐり報道が多くありますが、日本政府としてはなんら対策が打たれていないように見えます。逆になぜこのような問題が起きているのかが疑問に思う事が多くありますが、そのことに対して日本政府の認識や対応のまずさを指摘している記事が The Huffington Post にあります。以下転載します。

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最優先すべきは命だ
投稿日: 2015年01月26日 09時57分 JST 更新: 2015年01月26日 13時43分 JST
森達也 映画監督、作家


アベシ


イスラム国による二人への殺害予告がなされてから二日が過ぎた22日未明(日本時間)、岡村善文国連次席大使は国連総会で、イスラム国を批判しながら「日本はテロや暴力に屈しない」と演説した。とても当たり前のこと。「テロに屈する」という選択肢など存在しない。ならばなぜ二人の安否がわからないあの時点で、敢えてイスラム国を挑発するようなフレーズを、次席大使は世界に向けて言わなくてはならなかったのか。そこに官邸の意向はどのように働いていたのか。

世界ではアメリカ同時多発テロ以降、そして日本では地下鉄サリン事件以降、テロは社会に挑戦する絶対悪となった。その帰結として言葉のインフレが加速した(特にこの国では)。つまり濫用だ。その結果として解釈が拡大される。要するに何でもかんでもテロ。2013年にボストンで爆破事件が起きたとき、日本の主要メディアはテロとしてこれを伝えたけれど、アメリカのメディアはテロを使わなかった。今もこの事件の呼称は、アメリカではBoston Marathon bombingsと素気ないが、日本ではボストンマラソン爆弾テロ事件だ。

アメリカのメディアがテロという言葉を使わない理由は明確だ。実行犯の兄弟二人は、何の政治的声明も発信していない。ならばこれはテロではない。単なる爆破事件なのだ。

テロの定義は、何らかの政治的目的を達成するために、暴力による脅威で標的を不安や恐怖に陥れること。暴力行為だけではテロの要件を満たさない。政治的な目的が必要なのだ。だからこそノーム・チョムスキーは、アメリカをテロの常習国家と呼ぶ。

ところが動機すら解明されていないオウムによる地下鉄サリン事件がテロと躊躇いなく呼ばれるように、日本のメディアは、「テロ」をとても安易に使う。その結果として数々の弊害が生じる。その一つが「テロに屈するな」の濫用だ。

ここまでを読みながら気づいた人もいるかもしれない。身代金要求は政治目的とは違う。いわば営利誘拐そのものだ。つまりこれを「支払う」ことは「テロに屈する」と同義ではない。でもこれを混同している人が多い。何よりも官邸がそうだ。そうなると交渉することそのものも、テロに屈したということに拡大解釈されてしまう。

もちろん支払うことが国際社会に与える政治的影響は看過できない。何よりも一度支払えば、反復されるリスクがある。だからこそ現時点での最善策を考えること、交渉し続けることが重要だ。屈しないために考えるべき方法はたくさんある。実際に今は、違う選択肢がイスラム国から提示されている。ただしこの選択肢はきわめて政治的だ。この要求に従うことが、むしろ「テロに屈する」ことなのだとの意識くらいは保持すべきだ。

そのうえで最優先は命を救うこと。そのための策を練ること。実行すること。当たり前だ。

報道によれば、11月の段階で後藤健二さんの家族に、イスラム国から身代金の要求があり、12月には政府にこれを伝えたという。つまり官邸は二人への身代金要求を知っていた

その後は極秘裏に人質解放のための交渉を続けていたと思いたいが、ならばよりによってなぜフランスのテロ直後に、二人が拘束されていることを知りながら、安倍首相はイスラム国と敵対する国ばかりを訪問して、連携の強化や対テロのための高額の支援を表明しなければならなかったのか。さらにアラブにとってはパレスチナ問題で長年の宿敵であるイスラエルを訪れて、日章旗とイスラエルの国旗の前で『テロとの戦い』を宣言しなければならなかったのか。殺害予告の期限が近づいている22日に国連の場で次席大使に、あんなパフォーマンスをさせなければならなかったのか。

テロと戦う。このフレーズを掲げながら集団化を進めたアメリカはイラク戦に突入し、結果としてイスラム国が誕生した。すべてが連鎖している。それも最悪の方向に。なぜイスラムの一部はこれほど西側世界を憎悪するのか。その構造を理解すれば、二人の国民が拘束されているこの時期に、イスラエルなどに行けるはずがない。挑発と解釈されて当然だ。

もしも12月の段階で政府が本気で交渉していたのなら、身代金の金額は桁違いに低かったのだから、今ごろは二人が帰国できていた可能性はとても高い。なぜそれをしなかったのか。「テロに屈する」とか「テロと戦う」などのフレーズが交渉のブレーキになったのだとしたら、あまりに意識が低い。優先順位を決定的に間違えている。

およそ10年前、イラクで一人の日本人若者が殺害されたとき、この国は何もできなかった。悔しかった。何もできない自分が腹ただしかった。もうあんな思いはしたくない。

結果的に官邸は二人を救出できる芽を摘んだ。さらに火に油を注いだ。それも何度も。しかも二人が拘束されて身代金の請求があったその時期に、安倍首相は(大義なき)選挙に踏み切った。使われた税金は600億円。致命的なミスを何度もくりかえしている。命を軽視し続けてきた。

その帰結としてハードルはどんどん上がっている。ついには一人が殺害された。犠牲になった。「言語道断」とか「許し難い」などと常套句を口にしている場合ではない。許し難いとは許すのが難しいということ。ならば一人を殺されても許せる余地があるのか。あなたの怒りはそのレベルなのかと、メディアは突っ込むべきだ

国益が大好きな日本のメディア関係者やジャーナリストや識者たちに言いたい。国益とは国の利益。でも確認するけれど国益の最優先は、国民の生命のはずだよね。

ならばその国益が明らかに犯されようとしている今、なぜこれを放置し続けた政権を批判しないのだろう。なぜ見過ごしているのだろう。なぜ本気にさせないのだろう。

これ以上は過ちを重ねないでほしい。もう一度書く。最優先すべきは命だ

・ WHO、インフルエンザはワクチンで予防不可と結論

2015-01-28 20:57:46 | 政治
インフルエンザについてビジネスジャーナルが、記事を書いています。それによるとワクチンは効果が無いと云うものです。福島事故を見ても、食物による内部被ばくについては一切問題としておらず、20ミリシーベルトの地域に人を住まわせようとしています。添加物も世界で驚くほどの数量を許可しいます。国民の生命や安全について、全く問題意識の無いのが、今の日本政府ですね・・・・以下転載します。


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WHO、インフルエンザはワクチンで予防不可と結論 病院は巨額利益、接種しても感染多数
ビジネスジャーナルhttp://biz-journal.jp/2015/01/post_8689.html

 
インフルエンザが猛威を振るっており、昨年後半から1月16日までに病院で受診した患者は600万人を超えた(厚生労働省調べ)。そんなインフルエンザへの感染を避けるため、ワクチンを接種する人も多いが、実はワクチンは感染を防ぐ効果はほとんどないことが判明した。厚労省のホームページを見ると、「インフルエンザワクチンの予防接種には、発症をある程度抑える効果や、重症化を予防する効果があり、特に高齢者や基礎疾 患のある方など、罹患すると重症化する可能性が高い方には効果が高いと考えられます」と書いてあり、ワクチンの効果を「ある程度」認めている。しかし、国立感染症研究所の調査によって、昨シーズンA香港型のワクチンを接種した人でも、A香港型のインフルエンザに感染した人が多くいたことが明らかになった。以前からワクチンの効果について疑問視する声は医師の間から上がっていたが、同研究所は、効果が低かった理由を製造工程にあるとし、見直しを検討している。


国は、シーズンごとに流行する型を予測し、ワクチンをつくるウイルスを選定する。ワクチンメーカーは、そのウイルスを鶏の有精卵で培養して免疫成分を取り出す。同研究所が調べたところ、実際に流行したA香港型と、ワクチン用に培養したウイルスでは、遺伝子配列が大きく異なっていたという。卵を使って培養すると、 その工程で変質することが知られており、昨シーズンのウイルスは特に大きく変質したことで効果が下がったと同研究所はみている。


●ワクチンには予防効果がない

その一方で、東京都内で内科医を開業する医師は、ワクチンそのものに疑問を投げかけている。「世界保健機関(WHO)のホームページを見ても、『ワクチンで、インフルエンザ感染の予防はできない。また有効とするデータもない』と書いてあります。そも そも、インフルエンザはA香港型、Aソ連型、B型などと分類しますが、同じ型であってもウイルスは細かく変異を続けているため、ぴったりと当てはまる型のウイルスを事前につくり出すことは事実上不可能です」(内科医)

つまり、流行するウイルスの型を正確に予測することはできないのに、ワクチンを製造して希望者に接種しているということになる。「インフルエンザ予防にはワクチンが有効だと考えている人は多いですが、はっきり言って妄想です」(同)ではなぜ、効果がないにもかかわらず、ワクチン接種が定着しているのだろうか。その理由について前出の内科医は次のように述べる。

「ワ クチンは毎年約3000万本製造されています。また、巨額の税金をつぎ込み、輸入もしています。5年前、国内の在庫が足りずに慌てて輸入したところ、ワク チンが届くころにはインフルエンザが終息し、大量の在庫を抱えたことがありました。毎年一定量のワクチンを使用することで、備蓄量をコントロールしたいと 政府の思惑も働いていると考えられます。また、インフルエンザがはやる季節には、ワクチンだけで小さな病院でも数百万円、大病院では数千万円の利益になります。病院にとってワクチンは安定収入を得る手段になっているのです」

国立公衆衛生院(現・国立保健医療科学院)の疫学部感染症室長を務めたこともある医師の母里啓子氏は、著作『インフルエンザワクチンは打たないで』(双葉社)の中で、衛生研究所の調査によると予防効果はないと断言してい る。一部の医師は20~30%は予防効果があると主張しているが、母里氏はそれすらも否定しているのだ。また、老人ホームで行った調査で、50~60%重 症化を防ぐ効果があったとするデータがあり、それをワクチン接種の意義と唱える医師も多いが、母里氏は脳症などの重症化を防ぐ効果はまったくないと述べて いる。

ま~ビジネスなんですね。特に「毎年」「子供から大人まで」接種できるインフルワクチンは、メーカーにとっても、病院にとってもドル箱。100人以上の死者が出ても、ワクチンをやめようという声が出ないのも、金づるが絶たれるのが怖いからでしょう。厚労省が医薬産業界と共に「ワクチン産業ビジョン」を作ったのが2007年。以後、予防接種は、少子化に向け、業界の生き残りをかけた露骨な「産業振興策」になってしまいました。HPVワクチンの被害は、起きるべくしておきた事件だったのです。無知のままでは過ちがくりかえされます。2015.1.23

・ 後藤健二とNHKと外務省の真実

2015-01-28 03:06:22 | イスラム国
イスラム国の人質問題が出てから、ネット上でいろいろな情報が驚くほど出ています。
初めに殺害されたという湯川さんの情報でした。民間軍事顧問の会社を立ち上げておりジャーナリストではないことや、自民党の主要メンバーや太陽の党から出馬した田母神らとのつながりが明確である内容が流れていました。また、中山副外務大臣のイスラエル寄りの考えや、トルコが交渉のポイントであるにかかわらず、前線本部をヨルダンに設置したこと。日本政府は最近分かったとしているが、昨年から身代金の要求はあったことなど、事細かに流れており不思議に思っていました。今日見ているブログ「世に倦む日々」にそのあたりを整理したものがあります。以下転載します。



後藤健二とNHKと外務省の真実 - 「政府関係者」とは誰なのだ


後藤健二のイスラム国潜入がNHKによる依頼だったと暴露する記事が、1/23にネットに上がって話題になった。記事ではNHKと特定されておらず、「“御用メディア”として知られるテレビ局」という表現が使われているが、文脈からこれがNHKを指すことは常識で判断できるところだろう。NHKが後藤健二にイスラム国への潜入取材を依頼していて、同時に、そのミッションに湯川遙菜の救出もしくは安否確認が含まれていた。この事実を証言したのは「政府関係者」である。
後藤
ネットで今回の事件を追いかけ、真実を追求しようとしている者は、この「政府関係者」なる者が今回の事件のキーパーソンであり、マスコミ報道をリード(情報操作)している影の主役であることに気づいているはずだ。事件が起きた直後、1/21の時点で、この「政府関係者」は、11月初めに後藤健二の家族にイスラム国から身代金要求が届いている事実もマスコミに公表していた。後藤健二のイスラム国潜入とその後の経緯についてマスコミに「説明」しているのは、同じ「政府関係者」である。この「政府関係者」が誰なのか、ネットの中で議論にならないのが私には不思議で、日本人のリテラシーの低さを証明しているように思われる。この「政府関係者」を推定することで、事件の真相は半分は明らかになるだろう。無闇に「陰謀論」の単語を振り回して思考停止するのではなく、ヒントになる小さな事実に食いついて、その切り口から推理を組み立てていかなくてはいけない。

後藤前回も指摘したとおり、後藤健二のイスラム国潜入の<ミッションは短期計画である。10/22に日本を出国し、10/23にトルコに到着し、10/24にキリスから国境を越えてシリアに入り、10/25にマレアから自由シリア軍の検問所を超えてイスラム国支配地域に入り、根拠地(首都)のラッカを目指し、10/28にはトルコに戻り、10/29には成田に帰国しているという、わずか一週間のスケジュールだった。同じルートで往復するとすれば、マレアに10/27には帰還しないといけないから、イスラム国領域での活動はきわめてタイトな2泊3日の行程となる。
その間に湯川遥菜に接触して安否確認をし、あるいは身柄の受け取りをし、さらにNHKから受注したビジネスであるラッカの撮影と取材をやり、ドキュメンタリー番組用のコンテンツを仕込まなくてはいけない。ラッカからマレアまでの移動距離もあり、これを2泊3日でこなすのは相当な強行軍だ。予めイスラム国側と打ち合わせて準備が整っていて、複数の支援者がチームで動き、何から何までお膳立てができていなくては、とても時間内にこなせない作業であり、行き当たりばったりの単独行動で消化できる仕事量ではない。当然、後藤健二にミッションを依頼した者が、巨額のカネを出し、イスラム国側と綿密なネゴをし、全体のプランを組んで組織的にプロジェクトを動かしていたと考えられる。後藤健二は、その組織的な動きの実行要員であり、任務を請け負って派遣された者(政府工作員)なのだ。

いったい誰がイスラム国と交渉をし、後藤健二を派遣するからよろしく頼むと言い、このプロジェクト全体を手配したのか。おそらく、NHKの取材依頼というのは、プロジェクトの一部であり、表面上の理由(口実)であり、重要な目的は湯川遙菜との接触・安否確認・身柄引き取りの方だったのだろう。このプロジェクトを企画して後藤健二を潜入させたのは、外務省であり、外務省とNHKの大がかりな共同事業だったと私は推測する。イスラム国とここまで計画を調整できるのは、政府機関以外に考えられない。菅官房長
事件後にマスコミ報道に頻繁に登場する「政府関係者」こそが、このプロジェクトの統括責任者であり、(表向きはNHKの取材依頼という形式にして)後藤健二にミッションを委託し、事件の一部始終を知る司令塔なのだろう。この男が早い段階でマスコミに「真相証言」を始め、11月初に身代金要求のメールが届いていた件を暴露し、すなわち、政府が2か月以上も人質の件でイスラム国と交信状態にあった事実が表に出たことは、私には何とも意外だった。なぜなら、この事実は政府の急所であり、国民には知られたくない機密事項だったはずだからだ。この事実が漏れれば、当然、人質を押さえられているのに中東に出かけてイスラム国を挑発し、対イスラム国有志連合を支援する中東外交をアピールした安倍晋三の失敗が問われる。世論から叩かれる。現に古賀茂明と金平茂紀が、競うようにこの失政を根拠にした正論で、安倍晋三を猛然と批判する論陣を張った。

そこから推測できるのは、この「政府関係者」なる者が外務官僚で、早い段階から安倍晋三の対イスラム国挑発外交に懸念を示していて、二人の人質に配慮した慎重な外交上の振る舞いを安倍晋三に献策していたのではないかという裏側だ。つまり、昨年からイスラム国と交渉していた責任者である外務官僚の、今回の動画公開事件を発端とした安倍晋三への造反劇である。霞ヶ関の中でも、いわゆる安倍カラーが最も濃いとされる集団が外務省だが、そこから造反者が出たらしいことが私には意外だった。
さらに推理を続け、事件の内奥と深層をイマジネーションして探ってみよう。この後藤健二のミッションが外務省による湯川遥菜救出作戦だったとしたとき、背景として視界の中に入ってくるのは、例の、北大生のイスラム国渡航未遂事件であり、警視庁公安部による中田考への家宅捜索と事情聴取である。事件が起きたのは、昨年の10月6日。そして、中田考が湯川遙菜の裁判に立ち合うべくイスラム国に赴いたのは、その直前の9月のことだった。私の推理と仮説は、湯川遙菜の解放について中田考に主導権を握られたくない日本政府が、中田考の動きを妨害して、そしてまた中田考からその「任務」を引き継いで、政府の手で湯川遙菜の解放を実現しようと図ったのではないかという結論である。北大生の事件が起きず、イスラム国側に空爆のアクシデントが起きず、順当に湯川遙菜の裁判が行われ、中田考が現地で弁護人として立ち合っていれば、中田考が自然に政府とイスラム国との仲介に入り、フランス・スペイン型の身代金解決が図られていた可能性が高い

ただ、それを政府が黙認してしまうと、中田考(と同志社スタディーズ)にイスラム国との外交の主導権を握られ、また日本の若者がジハードの戦士としてイスラム国に潜入する例が頻発する事態も起きかねない。政府として、イスラム国とのチャネルは自ら管理統括する必要があり、湯川遙菜の解放についても自ら前面に出て解決を図ろうとして、北大生事件を契機に中田考を排除し、NHKと後藤健二を使ったプロジェクトを立案したのではあるまいか。中田考を事情聴取したときに、誰と接触すれば湯川遙菜の件で巧く交渉できるのか、
その辺りの詳細な情報も聞き出して把握したのではないか。その上で作戦計画を立て、後藤健二を派遣工作員に指名し、10月下旬に行動に着手したものと思われる。イスラム国側には、今後は中田考ルートではなく政府(外務省)を窓口にしてくれと、そういうメッセージを送ったはずだ。その実務を外務省の代行でフロントでやっていたのがNHKで、だから、1/21から1/23の間、NHKのニュースでは、イスラム国の広報担当者なる者のアラビア語のメールが紹介され、NHKの質問に回答する形での人質への対応の刻々が返信されていたのだ。あのニュースでイスラム国の広報担当者として紹介された者は、おそらく、10月末の外務省・NHKのプロジェクトのイスラム国側のカウンターパートだったのだろう。だから、NHKはメールアドレスを知っていて、いつでも交信ができるのである。と同時に、これはNHK(外務省)の専有の秘密事項で、他のマスコミには教えてない情報なのだ。

イスラム国NHKのメールの交信相手であるイスラム国の広報担当者なる者は、昨年10月に、後藤健二の潜入ミッションが遂行されるとき、NHK(外務省)と調整し、何日の何時にこの場所に行けとか、誰と接触しろとか、ラッカでの宿泊はこうだとか、取材撮影の対価は何ドルだから現金を用意しとけとか、そうした指示を細かくNHK側に伝えていたものと思われる。今、ネット上で、1/21-23にNHKが放送したイスラム国広報担当者とのメール交信について、それを考察したり検証しようとする議論がない。
そのことも、日本人一般のリテラシーの弱さのように私には感じられる。この報道の裏にあるものを疑わず、意図と作為を突き止めようとせず、想像力によって真実を仮説化する営為をせず、それを試みた者に「妄想」だの「陰謀論」だのと罵倒を吐き散らす。罵倒してネタにして愉悦する。いつから日本人はこれほど劣化したのだろう。後藤健二に対する美化報道の先頭に立っているのがNHKで、これでもかというほど「ジャーナリスト後藤健二」を賛美しまくっている。民放がそれに追随している。それは、NHKがこの事件の当事者だからだ。後藤健二を送り込んだのがNHKで、NHKに責任があるから、その責任追及を回避するべく、ひたすら後藤健二を英雄にして持ち上げ、偶像崇拝を図って世論を扇動しているのである。(件のテレビ局がNHKであったら)NHKは隠している。10月の後藤健二のミッションの全貌を知りながら、実務の一切を手配した当事者であり、どれだけ費用をかけ、それを無駄にした計画かも知りながら、そのことを国民に秘匿している。

最後に、この局面では勇気の要る議論だが、なぜ後藤健二のミッションが成功せず、NHk・外務省の湯川遙菜救出プロジェクトが破綻し、後藤健二が拘束されることになったのか、その理由について推理を述べたい。それは、おそらく湯川遙菜が拷問で自白をしていたからだ。自身の素性について、後藤健二の正体について、湯川遙菜が事前に自白をしていたから、イスラム国がNHK・外務省からのメール・コンタクトの文面を信用せず、後藤健二の正体を信用していなかったのだろう。人質
事前に打ち合わせたプログラムどおりに対応せず、後藤健二に容疑をかけて逮捕し、湯川遙菜がこう証言しているが本当はどうなのだと、尋問に持ち込まれたのに違いない。マスコミ報道では、拘束後に後藤健二はシリア人ガイドに電話をして、イスラム国側のガイドに騙されたと語ったという説明になっている。この情報も怪しむべきだろう。イスラム支配国領域に足を踏み入れる時点で、後藤健二は携帯電話をシリア人ガイドに預けている。イスラム国側に監禁された状態で、自由に外のシリア人ガイドに電話連絡できたとは思えない。この話はストーリーで、おそらく「政府関係者」による辻褄合わせの作り話だ。マスコミに登場するシリア人ガイドは、すべて外務省から指示されたとおりにカメラの前で「証言」していると考えていい。そもそも、あのイスラム国の支配領域で、自由にジャーナリストを案内してラッカの司令部に道案内するガイドなる民間人が存在するだろうか。商売のガイドかと思ったらイスラム国の兵士だったという報道も、実にバカげていて、それを鵜呑みにする者のリテラシーの低さに唖然とする。

「政府関係者」とは誰なのだ。そこを明らかにすることが、この事件の真相解明の第一歩だ。
人質問題




・ イスラム国は日米の外交・安全保障政策の失敗が産んだモンスター

2015-01-27 00:58:45 | イスラム国
フェイスブックにフリージャーナリストの志葉玲さんが、イスラム国について記事を書いています。イスラム国の残虐さだけを報道している日本のメディアからでは知りえないことが書かれています。アメリカが世界中から嫌われていることがよく分かります。今のアメリカは国というより、大企業の私物のような状態です。特に軍事産業は儲けるためには、世界中で戦争をしてもらわなくてはならないので、その裏工作が多いのでしょう。その結果、なんの罪もない国民が犠牲になっている。そんな国にしがみついていく日本政府も情けない・・・・
以下転載します。

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イスラム国は日米の外交・安全保障政策の失敗が産んだモンスター~暴走を止めるためにやるべきことは?
志葉玲 | フリージャーナリスト(環境、人権、戦争と平和)
2015年1月25日 20時57分

人質


多くの人々の願いもむなしく、湯川遥菜さんがISIS(イスラム国)によって殺害されてしまったようだ。筆者やその友人達も、中東系メディアに働きかけたりなどもしたのだが、助けられなくて申し訳なく思う。無抵抗な人質を惨殺するISISに強い憤りを感じるのと同時に、やはり安倍政権の対応のまずさには疑問を持たざるを得ない。昨年8月には湯川さんが拘束され、今年10月末には、後藤健二さんが拘束されていたことは政府も承知していたはず。それにも関わらず、交渉では何の成果もあげられず、ISISと接触できたかどうかも大いに疑問である。

だが、本質的な問題はもっと根深く、やっかいなものだ。つまり、ISISの前身は「イラクの聖戦アルカイダ」であり、イラク戦争による夥しい死と破壊から生まれたモンスターである。だからこそISISの暴走を止めるカギもまたイラクにあるのかもしれない。

○ISISトップが抱えるイラク戦争での怨恨

残る人質、後藤健二さんには何とか助かってもらいたいと切に願う。報じられている通り、ISIS側の要求は身代金から、捕虜交換ということになったようだ。ISIS側が後藤さんの解放の条件としているのがサジダ・リシャウィ死刑囚の釈放。彼女はISISの前身である「イラクの聖戦アルカイダ」のメンバーであり、2005年にヨルダンで起きた連続爆破テロの実行犯の一人。この事件では50人以上が死亡しており、サジダ死刑囚の釈放に対し、ヨルダン世論の反発は相当強いことが予想される。

この間、イラク情勢をウォッチしてきた筆者には、今、ISISがサジダ死刑囚の釈放を求めてきたことに因縁深いものを感じる。サジダ死刑囚は、イラク西部のラマディの出身だ。2005年前後と言えば、ラマディはイラクの中でも最激戦地の一つだった。米軍が街を包囲すると同時に街の高台から、人々に向けて撃ちまくっていた。攻撃の邪魔となると、一般の住宅や学校までも破壊された。市内の病院に向かう道は、「死の道」と恐れられ、米軍の狙撃手は、妊婦であれ、子どもであれ、動くものは何でも撃った。街中を空爆が襲い、走り回る戦車が、傷つき倒れた人を轢き潰し、ミンチにした。あまりに大勢の人々が殺されたため、街の空き地は次々と集団墓地に変わっていったのだ。

米軍が人々を殺せば殺すほど、多くのイラク人が米軍を追い払うために武器を手にとった。サジダ死刑囚の兄弟も米軍との戦いで命を落としている。ISISのトップ3も皆イラクの出身なのだ。また、旧サダム政権の軍人や政治家もISISに合流していると観られている。

例の2億ドルが「人道支援」であるという安倍政権の主張を、ISISが額面通り受け取らないのも、単に難癖をつけているだけではなく、イラク戦争においてひたすら対米追従・支援を繰り返してきた日本への不信感もあるのかもしれない。イラクの人々は「オキナワ」という言葉を恐怖の体験と共に語る。なぜなら、沖縄の米軍基地で市街戦の訓練を受けた海兵隊員がイラクへと出撃していったからである。
米軍の破壊

米軍に自宅を破壊されたと訴える親子。ラマディにて2009年撮影米軍に自宅を破壊されたと訴える親子。ラマディにて2009年撮影



○「サダムより酷い米軍」「その米軍の方がイラク政府よりマシ」

イラク戦争前のサダム政権も人権問題では本当に酷い状況ではあったけども、そうした独裁政権で拷問を受けた人ですら、「米軍はサダムより酷い」と言い、米国や日本が軍事的・経済的に支援した新生イラク政府は「米軍の方がまだマシだった」という無茶苦茶な拷問や虐殺を繰り返した。

かつて、少なくとも市民レベルでは、イスラム教スンニ派教徒もシーア派教徒も同じ「イラク人」として当たり前のように共存し、互いに結婚するなど両派が家族や親戚であるということもよくあった。それを、米軍は「スンニ派はサダム元大統領の支持層」として同派の多いイラク西部や中部に上述したような激しい攻撃を加える一方、シーア派民兵を新しいイラク警察やイラク治安部隊、軍に組み込んだ。米国が亡命先のイランから呼び寄せた過激なシーア派至上主義のバヤーン・ジャブル氏が内務大臣が就任したことにより、スンニ派だというだけで人々はイラク警察や治安部隊に拘束され、拷問の挙句、殺されるということが頻発した。殴る蹴るの暴行は当たり前で、電気ドリルで体中に穴を空けられた挙句、硫酸を流し込まれるなど、残虐行為の果てに殺された人々の遺体があちらこちらに捨てられている状況になった。その後、イラクの首相となったヌール・マリキ氏もシーア派至上主義であり、スンニ派への苛烈な弾圧を続けた。

イラク警察署での虐待。元内務省将校ムンタザル・アルサマライ氏提供

一昨年末からはファルージャやラマディなどイラク西部を空爆、樽爆弾などの強力な兵器が情け容赦なく使われる中で、一般市民の犠牲が相次ぎ、ファルージャの病院も破壊され病院スタッフも殺されるという状況が続き、マリキ政権からアバディ政権になった昨年9月以降も基本的な対立構図は変わっていない。つまり、イラク北部や中部、西部のスンニ派教徒にとって、ISISですらイラク政府よりはマシという状況があり、だからこそ1~2万人程度の兵力で人口200万人のイラク第二の都市モスルほか広範な地域で影響力を行使できているのである。


○イラク戦争での日本の業、ISISの暴走を止めるには

つまり、ISISは突然生まれたのではなく、米国や日本の外交・安全保障政策の失敗の繰り返しの中で、夥しい死と破壊の中から、生み出されたモンスターなのだ。だから、イラク戦争に関わってしまった日本の業を、後藤さんだけに背負わせるのは、あまりにむごい。ある意味、日本の人々、特に12年前のイラク開戦時に大人だった日本人は皆、問われるものがあるだろう。

せめて、イラク戦争の失敗から学ぶべきなのだ。残虐の限りを尽くすISISの暴走を食い止めなくてはならないが、集団的自衛権の行使や単なる米国追従では同じ間違いを繰り返すだけ。上記したように、少なくともイラクにおいては、イラク戦争やその後のイラク政府の暴挙の数々が招いた宗派間対立こそがISISに付けいる隙を与えている。もし、日本を含む国際社会が強く働きかけ、イラク政府が全ての宗派や民族の融和と和解を進めるにようになれば、ISISも弱体化していくだろう。


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志葉玲
フリージャーナリスト(環境、人権、戦争と平和)

パレスチナやイラクなどの紛争地取材、脱原発・自然エネルギー取材の他、米軍基地問題や反貧困、TPP問題なども取材、幅広く活動する反骨系ジャーナリスト。「ジャーナリスト志葉玲のたたかう!メルマガ」 http://bit.ly/cN64Jj や、週刊SPA!等の雑誌で記事執筆、BS11等のテレビ局に映像を提供。著書に『たたかう!ジャーナリスト宣言』(社会批評社)、共編著に『原発依存国家』『母親たちの脱被曝革命』(共に扶桑社新書)など。イラク戦争の検証を求めるネットワークの事務局長。






・ 邦人拘束も機能せず 世界にバレた「日本版NSC」の情報力

2015-01-25 02:37:19 | イスラム国
イスラム国の人質問題に対して、日本版NSCが活動を始めています。しかし、その機能が働いていないようです。情報を収集する能力が全くない上に、それを判断するメンバーがアベシを始め能無しばかり・・・・・これじゃ機能のしようが無い。以下、日刊ゲンダイの記事を転載します。


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邦人拘束も機能せず 世界にバレた「日本版NSC」の情報力
2015年1月24日 日刊ゲンダイ

NSCメンバー

 日本人が「イスラム国」の人質になっても、案の定、機能しなかった「国家安全保障会議」(日本版NSC)。1年前、鳴り物入りで発足したが、中身は空っぽの張りぼてだった


 日本版NSCは、日本の“安全保障”と“危機管理”を担う最高機関という位置づけ。人員は70人。総理、官房長官、外相、防衛相の「4大臣会合」が中核になり、議事録もなく、結論も特定秘密に指定される。

「発端は、91年の湾岸戦争です。自衛隊を派遣せず、国際社会で大きな顔をできなかった外務省が、日本の国家安全保障を“アメリカ仕様”にしようと20年かけて実現させた組織です。だから、初代の局長には外務次官だった谷内正太郎が就いている。テロ情報はもちろん、世界中の機密情報が集まることになっています」(霞が関関係者)

 会議は2週間に1回開かれ、これまで28回開催されている。しかし、どうやら「イスラム国」が議題になったことは一度もないらしい。当然、イスラム国とのパイプもなく、昨年、イスラム国から後藤健二さんの家族に身代金を要求するメールが届いていたことも知らなかったようだ。今頃、慌ててメールのアドレスに返信している。要するに、この1年、何もしてこなかったということだ。

「政府はアメリカのNSCをモデルにしているようですが、まったく違います。本家のNSCは、それこそ同盟国ドイツの首相の携帯まで盗聴していた。やっていることは、非合法スレスレ。情報収集を徹底している。国防総省、CIA、さらに通信傍受が専門のNSAが協力して情報を上げています。ところが、日本版NSCは、威張りたい外務省が創設したような組織。だから、防衛省も警視庁も情報を上げない。そもそも軍事を知らない外務省主導では、NSCは機能しない。キレイ事ばかりの外務官僚では、諜報はムリです。人質事件はトルコがカギになるのに、対策本部をヨルダンに置いているのだからレベルがわかります」(軍事評論家・神浦元彰氏)

 CIAの職員だったスノーデンが暴露した資料には、「機密/米、英、カナダ、豪、NZのみ配布」という指示が頻繁に登場する。インテリジェンスの世界では、ファイブアイズ(5つの目)とされるこの5カ国だけで機密情報を共有しているのは常識だ。日本は入れてもらっていない。なのに、日本版NSCをつくって喜んでいるのだから、どうしようもない。役に立たないなら解散すべきだ。

総理、官房長官、外相、防衛相の「4大臣会合」が中核/(C)日刊ゲンダイ

・ 日本人殺害予告 安倍政権が事件発生後に犯した“3大失態”

2015-01-24 01:57:15 | イスラム国
イスラム国の人質問題に対応する日本政府だが、キチンとした対応のできるメンバーではないようです。もともと、彼らを救出する気持ちはあるのでしょうかね? 日経ゲンダイに記事がありましたので、転載します。


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イスラエル国旗と安倍晋三


最悪の事態」が刻々と迫っている。「イスラム国」による日本人2人の身代金要求・殺害警告事件。安倍首相の「イスラム国対策にカネを出す」と宣言した「カイロ演説」が引き金になったのは間違いないのに、安倍政権は、事件発生後も数々の“大失態”を続けている。


■親イスラエル議員を現地本部に派遣

 事件発覚後、政府は安倍首相の中東訪問に同行していた中山泰秀・外務副大臣をヨルダンに派遣した。中山副大臣は首都アンマンの日本大使館内の現地対策本部の本部長に就き、情報収集や現地対応の指揮にあたっている。

 安倍政権は「迅速な対応を取った」と考えているのだろうが、チョット待てだ。中山副大臣といえば、イスラム国にとって敵国扱いのイスラエルと親密な議員だ。郵政大臣や衆院予算委員長などを歴任した父親の正暉氏を継いで「日本・イスラエル友好議員連盟」に所属。議連の事務局長を務めたこともある。国会議員が各国と友好関係を築くのは構わないが、なぜ、非常時の今、この人選なのか。

戦場ジャーナリストの志葉玲氏がこう言う。

「イスラム国の一派は最近、イスラエルでテロ活動を活発化させようとしている。その敵視国とつながりのある人物を本部長に充てるのは理解しがたいですね

 むしろ中山副大臣については、政官接待でボロ儲けの人材派遣会社「パソナ」の代表補佐だった経歴や、携帯電話税の導入に積極的――といった悪評ばかり。本気で人質を救出する気があるのか疑わしい


■イスラエル国旗バックに安倍首相が会見
「卑劣なテロはいかなる理由でも許されない。断固として非難する」──。事件後、安倍首相はエルサレムで行った緊急会見でこう強調していたが、会見映像を見て驚いた人は多かっただろう。背景に白地に青い六芒星のイスラエル国旗が掲げてあったからだ。


 イスラエルは、イスラム世界で敵視されている。そのイスラエルに日本の軍需産業の幹部を引き連れて訪問しただけでなく、国旗の前で戦う姿勢を示したのだ。「イスラム国」だけでなく、イスラム世界全体にケンカを売ったのも同然だろう。

「安倍首相の会見は、穏健派のイスラム世界の人が見ても違和感を覚えたと思います。日本の外交センスを疑いますよ」(志葉玲氏)

 安倍首相の会見は、イスラムの反日感情の火に油を注いだ

■「身代金は払わない」と期限前に“死刑宣告”

 自民党の高村正彦副総裁は21日、記者団に対して「日本政府が人道支援をやめるのは論外だし、身代金を払うこともできない」と言い切った。仮に“本音”はそうであっても、政権与党の副総裁が軽々に発言して大丈夫か。「イスラム国」はITを駆使し、常に情報を集めている集団だ。タイムリミットの「72時間」前のこの発言をすでにキャッチしている可能性が高い。

「人質2人にとっては日本政府から早々に『死刑宣告』されたようなものです。欧州で今回と同様のケースが起きた場合、政治家は慎重に発言し、水面下で交渉するのが一般的です。日本は、04年にイラクで日本人旅行者の香田証生さんが殺害された時も、身代金の交渉をすぐに突っぱねた。政府の対応は、あの時から何も変わっていないし、何も学んでいません」(志葉玲氏)

 こんな無能政府に命は預けられない。

・ 多重がんで労災申請した元1F作業員のインタビュー

2015-01-23 02:50:10 | 原発事故
フェイスブックに福島原発の事故後に働いていた労働者のインタビューが載っています。内容を見ると、勤務せざるを得ない状況に追い込んでおいて、後日がんが見つかっても、政府も東電も知らん顔です。一個人ではどうすることもできなく、泣き寝入りする人たちは多いのでしょうね。原発事故によって、福島を含め多くの地域で健康被害が心配され、事故の後処理の作業員も使い捨てのような扱いで生活に困窮している・・・・官僚・政治屋・東電どこを見ても責任をとる者はいないばかりか、国民から復興税をかき集め使う先は福島とは関係の無いところ・・・・
何にしてもデタラメ過ぎますね。以下転載します。


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取材の記録 by Fuse Yujin
2015年1月18日日曜日

多重がんで労災申請した元1F作業員のインタビュー

今朝の東京新聞に、「元作業員『被ばくでがん』福島事故初期に従事 労災訴え:核心(TOKYO Web)」 という記事が出ていました。この記事で紹介されている元作業員の方には私も一昨年の秋にインタビューして、『世界』2014年1月号に書きました。編集部の了承を得て、以下に転載します。

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 福島第一原発の事故発生以来、収束作業に従事した労働者はこの一〇月で三万人を超えた。そのうち約三割は一〇~三〇代の若者で、今後、がんなど晩発性の健康障害の発生が懸念される。
 国は長期的ながん検診など「調べる」制度はつくったが、実際に発症した場合の包括的な補償の枠組みは存在せず、労災を申請するか、原子力損害賠償法により東電に損害賠償を請求するほかないのが現状だ。
 今年八月、二〇一一年七月から一〇月まで同原発で働き、その後、膀胱、胃、大腸にがんを発症した札幌市在住の男性作業員(五五歳)が労災を申請した。この男性に話を聞いた。

――イチエフで事故収束作業に従事したのは、どういう理由からでしょうか

 震災の前は、ずっとダム造る仕事してたん。京極の山を上がった標高八〇〇メートルくらいの所にすり鉢状の池を、その下にダムを造って、夜間に余った電気を使って下のダムの水を上の池に汲み上げ、それを日中に落として電気を起こす。日本に四基しかないでっかい揚水式発電所。その仕事に一〇年以上行ってたんだ。ようやくダムが完成した次の年にあの震災だった。
 (イチエフの仕事は)震災直後の三月中からオファーはきてたけど、家内から「あんな危ないところ行っちゃ駄目」と言われて何度も断ってたんだ。でも、六月上旬に会社から電話があった時は、福島に行ってもらわないと次の仕事はないって言われた。当時は民主党政権で公共事業が削減されて仕事も薄かったし、それでしょうがなく引き受けたのさ。

――それで七月からイチエフで働き始めたわけですね

 現地に着いたら、全国津々浦々から集まってきていた。頭を見たら白髪の人ばかりで、俺なんか若い方だった。
 まず、Jヴィレッジ(事故後、収束作業の拠点とされたサッカーのトレーニング施設)で放射線や装備なんかの教育を受けて、東電の試験を受けた。試験と言っても、教科書みたいのを見ながら記入していく。じゃないと、受かる人いないんだから。形式だけ。
 ちゃんと頭に入っているかというと、現場でマスクを外して水を飲んだりしたらいけないということくらい。あとは、なんぼ勉強したって、俺たちそんなに学がある人間じゃないから、右から聞いて左から抜けていく。

――恐怖心はありましたか

 恐怖はあったね。もし、線量高いところだけ空気がピンク色になっているとかだったらわかるけど、目に見えないでしょ。だから、どこからどこまでが危ないかわからない。
 それに当時は、爆発した原子炉建屋からまだ煙がモクモクと上がっていたんだから。初日にあれを見て、みんなで「うわぁ、とんでもねえところに来てしまった」って言ってたんだから。ほんとすべてが恐怖だったよ。

――現場では、具体的にどんな作業をされたのでしょうか

 俺たちは、ゼネコンのJVの無人化プロジェクトと言って、建屋周辺の瓦礫を無人重機で撤去していく仕事。
 一〇トントラックの荷台に箱が載かってて、中にモニターが何十台もあって、それを見ながら俺たちオペレーターが無人重機を操作する。オペは、(瓦礫を)挟む人と切る人と運ぶ人、そしてカメラを操作する人がいて、後ろには指示をする職長がいて目を光らせている。たまに東電社員も来ていたよ。
 無人と言うけど、全部無人ではできない。それが問題なんだよ。

――どういうことでしょうか

 建屋の周りには、でっかい側溝みたいなのがたくさんあるんだ。その上に鉄板を並べて、そこに重機を載せて動かすんだけど、無人ではできないんだわ。
俺も一五歳から重機乗ってるけど、あんなのは初めて。モニター見ながら操作するんだけど、見える範囲は狭いし、音もなければ感覚もない。エンジンがかかったかどうかも、カメラをズームインさせて煙が出てるかどうかで確認しないとわからないんだから。
 もし(重機が)側溝にずり落ちちゃったりしたら大事だから、そういう時は一〇キロ以上ある鉛のベストを着て、三〇分交代で重機に乗ってやったよ。
それに、機械の爪では大きい物は取れるけど小さい物はとれないんだ。だから、東電に「もうちょっときれいにならないか」と言われて、しょうがないから重機で砕いた小さな瓦礫を手で持って運んだりもしたよ。元請の所長自身がやってるんだから、俺たちもやらないわけにはいかないでしょ。
 線量が高いから赤いスプレーで「×」印(触るなの意味)がされているような瓦礫も運んだよ。重たいから腹で押さえたりして運んだ。やりながら、これやべえなぁと思ったけど、そうしないとできないからね。そういうのは、数え切れないくらいあったよ。危ないから「無人化」ってなっているのにね……。

そんな高線量の瓦礫を体に密着させて運んだら、APD(個人用警報付線量計)は鳴りませんでしたか

 当然鳴るよ。APDが鳴ったら、普通は作業を中止しなければいけないんだけど、現場はそうじゃないから。そのまま作業続行するか、少し線量の低いところに移って作業するか。こんなもん鳴ったからって、毎回退避していたら仕事になんないからね。
 でもしばらくして、これじゃ一ヵ月もしないうちに線量満タンになっちゃうよって言って、みんなでAPD外して作業するようになった。重機に乗る時や車から降りて作業する時は、タイベックのチャックを下ろしてAPDを外し、車の中に置いて作業した。
 だから俺の被曝線量は、放管手帳には五六・四一ミリシーベルトって書いてあるけど、実際は一〇〇ミリシーベルト以上浴びてると思ってるよ。

 
――指示をする現場監督や職長は、それを知っていたのでしょうか

 知っているも何も、彼ら自身もやっていたからね。
 でも、これはしょうがないんだわ。無人重機の操作を一通りやっと覚えた頃には三ヵ月くらい経ってしまってる。それで次の人が来るでしょ。でも、この人に教えなきゃなんない。50ミリが満タン(元請が決めている被曝上限)だとすると、50ミリを超えていても超えないように数値的には合わせて、この人たちができるようになるまで居なくちゃいけない。
 職長とか資格持った人はそんなにいないから、APDを置いていったりして俺たちより長くいる。お金が欲しいからいるんじゃなくて、そうせざるを得ないんだわ。そういう人は替わりがきかないから、四ヵ月のサイクルではまかないきれないんだわ。

――元請けのゼネコンもAPDを外していることをわかっていたと思いますか

 わかっていたと思うよ、職長があれだけ長くいるんだから。見て見ぬ振りだよね
 とにかく、言ってることとやってることが全然違うんだわ。朝の打ち合わせでは、あそこは線量高いから重機に乗るなよって言ってた所でも、やり出したら、覆工板が安定しないから重機に乗って有人でやったり。建屋の周りには太い配管とかバルブとかいろいろあって、実際に無人でやってバルブもいでしまって変な水が出てきたりしたこともあった。だから、結局は三〇分交代で機械に乗って有人でやるしかないんだ。
 原子炉の溶け落ちた燃料を冷却するためのホースや電源ケーブルなんかもむき出しであちこちに這っているからね。あんなのキャタピラで踏んづけたらアウトだから。だから、機械を移動させるのにも、すごく気を使うよ。
 重機だって、ものすごい線量被曝してて、キャビンには鉛をかぶせてるけど中に埃とかいっぱい入ってる。俺たちは、そういうのに乗って作業したんだ。大体、重機が壊れても、キャタピラだろうがコマツだろうがメーカーの人は部品を持ってくるだけで現場に来ないからね。普通は、壊れて電話したら、サービスですぐに来て直してくれるけど、あそこには来ない。

――ほかにも作業で大変だったことはありますか

 とにかく、あの暑さの中で、あの装備でやることだよね。
 一日三時間の仕事だったけど、最初の頃は一〇時間以上使われた気分がしたよ。全面マスクして作業していると、中に汗ががっつり溜まるんだわ。しょうないから、あごのところに隙間を空けてジャーって流したり。それに、マスクの前面がよく曇って、曇るということは空気が漏れているということだから、もっときつく締めるでしょ。そうすると頭が痛くなってね。
 それで作業終わって免震棟に帰ってくるでしょ。サーベイ(汚染の測定)を待っている間に倒れている人いるんだから。タイベックを脱いで下着が汗でべちゃべちゃになっているところに、クーラーがガンガンかかってるから、急に体が冷えて倒れちゃう。俺も倒れそうになったことあるよ。
 こんな過酷な環境で仕事してるのに、元請のゼネコンの所長は俺たちにこう言ったからね。
 「ここで熱中症になって一人でも倒れたら、全員帰ってもらうからな」
 そんな馬鹿な……って思ったよ。みんな嫌々来たところに、あの猛暑の中で全面マスクつけて作業するのに、こんなこと言ったんだから。おかしいでしょ。
 実際に倒れたら、東電の社員が倒れた作業員を取り囲んで始末書を書かせてるんだから。「倒れたらこうなるんだぞ。気をつけろよ」って。でも、気をつけろと言ったって気をつけようがないんだから。

――四ヵ月間収束作業に従事して二〇一一年一一月にイチエフの現場から離れた後に、膀胱と胃と大腸にがんが見つかったとのことですが、経過を教えていただけますでしょうか

 イチエフで仕事した翌年、宮城県の石巻に出張して震災の瓦礫処分とかの仕事をしていた。そしたら、ある日突然血尿が出て、びっくりして病院に行って検査したら膀胱に腫瘍があると言われて、すぐ手術したんだ。
 最初は、イチエフで仕事したことが原因だとは思わなかった。でも、今年になって東電からがん診断してくださいという文書が送られてきて、それで受けたら今度は胃と大腸にもがんが見つかった。それで、俺は絶対あれだなって確信した。だって、転移じゃなくて、全部原発性なんだから。
 イチエフに行く前も、毎年健康診断受けていたけど特に問題なかったし、うちの家系にはがんはいないから。こんなことって、あるかよって。

――なぜ労災を申請しようと思われたのでしょうか

 最初は東電に電話したんだ。「がんが見つかったけど、どうすんのよ?」と聞いたら、「治療費は自己負担です」と。そんな馬鹿なことあるかって言ってやったよ。
 だって、がんになる可能性があるから病院に行って検査してくれと言ってるんでしょ。それなのに、
 実際にがんになったら自腹だから。「じゃあ、あとのことどうすんのよ?」と聞いたら、「厚労省が指定している作業員健康相談窓口に相談してみてくれ」と。
 それで、厚労省が指定している相談窓口で一番近い北海道結核予防会に行ってみたら、今度は「私たちではわからないので、市役所の窓口に行って相談してみてください」と。。市役所の相談窓口って言ったら、生活保護でしょ? 言うのは簡単だけど、生活保護受けるには、家だって叩き売らないといけない。
 いくらになるかわからない小さい家でも、俺からしてみれば二五年間のローンを組んでこれを買うのも大変だったんだよ。それを、イチエフに行ったがためにがんになって、あちこちたらい回しにされた末に相談窓口に行ってみたら、生活保護もらえ? 何で俺が、そんなことしなくちゃいけないの?
 俺、本当に頭にきて、また東電に電話してやった。そしたら今度は「労基署に相談してみたらいかがでしょうか」と言うんだ。それで札幌の労基署に行ったら、初めて親身に話を聞いてくれて、労災申請の手続きも教えてくれた。八月中旬には、福島の労基署の人が札幌まで来て、二日かけて聴取していった。

――建設業界では、重層的下請け構造の中で労災を起こした業者は上の会社から仕事を発注したもらえなくなることから、いわゆる「労災隠し」が常態化しています。そういう中で労災を申請することに躊躇する気持ちはありましたか

 やっぱり悩んだよ。それをやったらどうなるかわかっているからね。
 でも、こうするしかなかった。だって俺、もう廃人だから。胃を全部とって、ご飯食べれないから一六キロくらい痩せた。膀胱がんの後遺症で、三〇分に一回トイレに行かなくちゃいけないので、夜も寝れない。こんなんで仕事復帰なんかありえないから。会社には去年の一二月に解雇されて、このままだったら使い捨てだから。それだったら労災申請するしかないな、と。
 病院もやたら金がかかるんだ。抗がん剤は三週間分で二万円以上。このほかに病院の診療代がかかる。もうすぐ傷病手当も切れるし、このままじゃ死ぬしかない。
 それで労基に相談したら、医療費だけはかからないようにしてくれたけど、それも立て替え。労災が認められなかったら返さないといけない。膀胱がんの抗がん剤治療で、一〇〇〇人に一人の確率で出る副作用に当たちゃって、今やっている最終手段の治療が駄目だったら膀胱をとらないといけなくなるかもしれない。そうなったら生命保険でなんぼか下りるので、それで何とかやっていこうと思ってる。
 労基署の人に「労災が下りるか、いつ決まるのか」と聞いたら、「何ヶ月か何年か、いつ決まるかはわからない」と言われた。でも、そんなことしているうちに俺死んじゃうよ。

――厚生労働省は、胃がんなどの労災認定の指針の中で、これまでの疫学調査の結果から固形がんの発症リスクが高くなるのは一〇〇ミリシーベルト以上だとしています。これについては、どう思われますか

 そんなの問題外だと俺は思う。熱中症だって、同じ現場で作業していたって、なる人とならない人がいるでしょ。同じ線量浴びていても、病気になるかどうかは人それぞれだから。

――イチエフに行ったことを、今どのように思っていらっしゃいますか

 こんなことになるんだったら、行かなきゃよかった。後の祭りだけどね。あの時、断って仕事干されても、行かない方がよかった。
 イチエフの免震棟には「作業員の皆様、命を顧みず来てくれてありがとう」なんて大きく書いてあったけど、いい法螺だわな。本当にそう思っているのなら、いざこうなったら「うちで何とかする」と言うはずでしょう。
 でも、厚労省の相談窓口に相談しろ、労基署に相談しろ、とたらい回しにして。東電の仕事をしてこうなったのに、東電のやつらは知らん顔。上の人間と話したいと言って連絡先を伝えても、電話もかかってこない

――私がこれまでに取材した作業員の中には、イチエフの事故収束作業に従事できたことを誇りに思うと話す方もいらっしゃいましたが、そういうお気持ちはまったくありませんか。

 今となったら、そんな誇りなんてひとつもねえや。こんな糞味噌に言われ、しかも労災が通るかどうかもわからない。もっと大事にしてくれんなら違うと思うよ。でも、使い捨てだもん。こんな仕事には誇り持てない。
 俺が誇り持てるのは、さっき言った日本に四基しかない揚水式発電所の仕事に携わることができたこと。あの原発は誇りじゃねえ。あれは大きな迷惑、俺にしたら。
 これから先、俺みたいな病気になる人がもっと出てくると思うよ。問題は、病気になった時に政府がどうしてくれるか。イチエフの廃炉作業はこれから四〇年、五〇年かかるのに、こんな感じでやられたら誰も行く人いなくなるよ。自分の命かけて、あんなところ誰も行かんって。
 もし労災が下りなかったら、自分だけじゃなくてこれからの人たちのためにも、裁判にかけてたたかうつもりだよ。