祐さんの散歩路 Ⅱ

日々の目についたことを、気ままに書いています。散歩路に咲く木々や花などの写真もフォトチャンネルに載せました。

・ 日本が自滅する日 第2章第2節 民間経済の上に君臨する特殊法人

2015-06-28 06:09:26 | 石井紘基


官僚は自分たちの天下り先を確保するために、政治屋は利権のために特殊法人を作っている。その特殊法人に流される国民の税金は出資金や補助金として配られ、官僚・政治屋に吸い上げられている。当然経営は成り立つはずがなく、石井紘基氏が調べた時期で借金累計額は344兆円・・・・・・誰かに指摘されまずくなると清算するが、その際の借金は全て国民が背負うことになる。JRが民営化した際にあった27兆円の債務のうち23兆円は国民負担・・・・・・
以下、阿修羅さんのブログにより、刺殺された石井紘基氏の「日本が自滅する日」の第2章第2節を転載します転載します。




第二章 経済むしばむ“官企業”

第二節 特殊法人は法的には幽霊だ

 民間経済の上に君臨する特殊法人

 そもそも特殊法人とは、戦後経済復興のため短期・集中的に住宅、道路、鉄道等の基本的社会資本整備を行うために設けられたものであった。行政主導の社会資本整備は、初期の工業化時代には必要だったといえる。しかし、国営・公営形態は、経済が一定の発展段階に達すると逆に自由な競争を封じてしまう。

 ところが、わが国政府は、こうした官庁を動員した中央集権的、計画的経済支配から退こうとしなかった。経済への実権を放擲(ほうてき)しなかったばかりか、特殊法人を増やし、事業領域を広げ、関連公益法人や認可法人、孫会社、曾孫会社等をもって経済のあらゆる分野に行政企業の綱を張りめぐらしたのである。「甘い水」に味を占め、国と国民の未来への責任を放棄したのだ

 特殊法人の事業規模を図表2-3に示した。NTTやJRを含むが、総額で五二兆七六〇〇億円である。これら特殊法人の拡大は地下水脈のごとく政官権力内部でひたすら膨らんでいったため、国民の目には見えにくかった。

特殊法人の事業規模



しかし、私は平成六年、この実態は自由主義市場経済体制を空洞化し、事実上社会主義体制に移行するほど大規模でかつ質的な変化であると考えた。そして国会で調査を進め、平成八年四月には『官僚天国・日本破産』(道出版)を著して、国政調査権による実態調査の中間結果を公表し、わが国は「官営経済体制」 であると規定した。

 官企業としての特殊法人は巨悪である。巨悪である第一の理由は、特殊法人が民間経済の上に君臨し、経済の資源を行政の事務(行政の本来の仕事は事務である)に取りこんで利権の糧とし、国民の借金を増やし、公共(高狂)料金や将来への不安で国民の生活を圧迫していることだ。

 公団、事業団、公庫などの特殊法人が経済の領域から吸収している仕事は、金融、建設、住宅、運輸、不動産、流通、保険、食品、レジャーの各事業、鉄道、空港、道路その他の交通・運輸産業、農業・漁業・林業、その他通信、電力などほとんどの産業分野に及んでいる。

 進出していないのは自動車、電機、機械などの製造業ぐらいのものである (これらの分野では、権力の経済侵蝕がもたらした高コスト構造に悲鳴を上げて、生産地を海外に移転している)。しかも行政企業は、それぞれ進出した分野で支配的地位を占めているのだ。

 この結果、経済の衣を着た行政機関である特殊法人などはそのファミリーとともに市場(経済)を狭め、あるべき税収を減らして国家財政と国民経済に致命的打撃を与えている。


 特殊法人は行政機関ではない?

 巨悪である第二の理由は法的違法性にある。

 わが国は法治国家として行政機関の存立や民間機関の存在根拠が法律によって定められている。いうまでもなく行政機関は「公法」に属する行政法令によって定められ、公のために行う事務を司るものである。これに対して民間の団体・企業などは「私法」である民法や商法などに基づいて存立することになる。

 それでは、現在七七ある特殊法人とは、いったい、いかなる存在なのか。行政機関なのか民間団体なのか。行政法令を見ても民法や商法などをひもといても、どこにも特殊法人を定める条項は見当たらない。つまり特殊法人は法的に幽霊なのだ。

 本来すべての団体はどの法律によって設立されたかによって、行政機関か民間団体かに色分けされる。ところが、特殊法人の場合は上位の根拠法がなく、いきなり「日本道路公団設置法」「石油公団設置法」というようにそれぞれの「設置法」が作られた。

 どうしても、特殊法人という行政機関を作りたいのであれば、国家行政組織法を改正して、特殊法人というカテゴリーを明記しなければ法体系上、整合性がとれないし、適法性も保てない。しかし、それができなかったのは、行政の仕事でないこと(収益・投資活動)をやる団体を行政機関とすることは、法の建て前上、許されなかったからだ(憲法第七章)。それで、やむを得ず、法の孤島=「設置法」でごまかしたのである。

 しかし、いかにごまかそうとも「政策目標を達成するため」法律によって直接設置され、政府が人事権を有し、財投を含む政府予算で運営される以上、特殊法人は「(違法な)行政機関」と見なさざるを得ない。にもかかわらず国家行政組織法に規定はなく、政府は「行政機関ではない」といい逃れている。

 平成二年一一月一九日の衆議院行政改革特別委員会で私はこの点を追及した。特殊法人や独立行政法人について、その存立は「公法」によるのか「私法」によるのか、行政機関であるのか民間機関であるのか1との私の質問に対して、政府は二転三転の答弁を繰り返した揚げ句、旧総務庁の持永政務次官は「公法ではなく私法」によるもので「行政機関ではなく民間機関」だと答弁した。続訓弘(つづきくにひろ)総務庁長官もそれに同意した。

 しかし、その直後、政府参考人の河野昭氏(中央省庁等改革推進本部事務局長)があわてて答弁席に進み出て、大臣、政務次官の答弁を訂正し「公法法人である」が「行政機関ではない」と述べたのである。これによって、政府の立場はちんぷんかんぷんであることが判明した。この答弁によると、わが国には「行政機関ではなく公法法人」という概念の組織が、司法府でも立法府でも行政府でもない所に存在していたことになる。



 法が法を破壊している

 これらの「公法法人」は実際、数千にもおよぶ子会社、孫会社、系列公益法人などを作ってビジネスを展開している。いうまでもなくこれらの株式会社や財団法人などは、商法や民法によって存立する「私企業」「私的団体」として都合よく扱われている。

 わが日本という国は、国が設立し、国民の税金で運営されている「公法法人」が、その金を私企業などの私的所有団体に持ち出し処分することを、ある法律によっては禁じ、別の法律によっては認めている1そういう国なのである。まさに、特殊法人などを通じて法が法を破壊していることになる。

 特殊法人の経理は正確には誰にもわからない。どんなに借金が膨らもうと不良債権に漬かろうと、責任を問われる者がいない。民間企業のように「株主」に監視されることもないし、行政機関として議会で承認される必要もない

 たとえば、都市基盤整備公団からマンションを買った一七〇〇人(世帯)ほどの人々が現在、公団の住宅販売のやり方が詐欺的商法だと裁判に訴えているが、公団の方は「国の政策」なんだ、詳しいことをいう義務はない、と反論して通ってしまう。

 特殊法人には経営そのものに対する責任の主体がない。企業のように個人責任が問われない。一方、国会で国の機関が詐欺的行為で国民を騙していいのかと追及されると、「契約書を取り交わした。受託の価格は売り手と買い手の合意で決まる」などと「私的契約の自由」や「市場原理」を持ち出してくる。時と場合によって、行政機関のようにも振る舞い、民間企業のようにも振る舞うことができるのだ。

 関連法令はそれぞれの特殊法人を持っている省庁が所管しているので、自分に都合のよい勝手な法解釈がまかり通ってしまう。つまり、族議員と官庁だけの思いのままになる存在なのである。

 政府は特殊法人の不透明財務と借金残高のとほうもない増大に対する批判をかわすため、平成一三年度から「財投債」「財投機関債」を発行し、「市場」からの資金調達を行うことにしたが、この措置は笑止千万である。

 私は、この悪あがきを国会でも批判してきたが、案の定、一三年秋になってもさっぱり財投機関債(個別の特殊法人が発行する債券)の引き受け手がつかない。投資家は、「元本回収のリスクを評価できない」「破産法の摘要もない団体である以上債権は保証されない」と腰を引いている。当たり前のことである。幽霊の発行する借金の証文を受け取る者はいない。

 またそうした事情のうえに、借金の山、不良債権の蔵となっている特殊法人の債券など、自由主義市場経済であれば成り立つはずがないのだ。しかし、それでも官庁は関係機関に一兆円余り引き受けさせたようだ。これぞまさに、オール無責任の官制経済、護送船団国家の極みである。



 子会社、孫会社がどんどん増える

 特殊法人(や認可法人)はどんどん子会社(公益法人も含む)、孫会社などを作る。株式持ち合いの関連企業を含めるとファミリー企業は約二〇〇〇社にのぼる。

 その役職員数は本体を除いて少なくとも一〇〇万人と推計される。本体と合わせると一五〇万人である。政府が大半の株を保有している旧特殊法人であるJRやJT(日本たばこ産業)などを含めると、関連企業数はさらに一〇〇〇社以上増え、就業者数も数十万人増加する。

 特殊法人のなかには民間企業をほとんど丸がかえしているものもある。しかも、特殊法人の事業は公共事業や委託業務が多く、特殊法人によって生計を立てている企業は非常に多い。したがって、特殊法人関係の実質就業者数は二〇〇万人は下らないはずだ。

 特殊法人は資金調達は思いのままだし、株主に対する事業報告書の開示義務もなければ、経理内容も公開しない。国の財投計画の大半を受け入れて事業を展開し、膨大な下請けを抱える特殊法人は、いうなれば企業の王様だ。製造業を除くほぼ全産業分野に君臨している存在なのである。

 特殊法人こそ、日本の資本主義経済にまとわりつく〝締め殺しの木”(ファイカス)の親分格である。ファイカスにまとわりつかれた木は、成分を栄養として吸い取られ死んでしまう。日本経済は死に瀕しているのである。



 借金のツケは国民に回される

 旧総務庁は平成二年五月、特殊法人の一部について財務調査の結果を公表した。それによると、本州四国連絡橋公団については、道路事業だけで七二〇〇億円以上の債務超過となっている。瀬戸内海の狭い区間に三ルートもの橋を架けているので収支率が極めて悪い。一〇〇円の収入を得るのに二〇〇円以上の経費がかかり、利子が利子を生んでいるのである。

 石油公団も二百数十の探鉱事業のうち採算ラインにあるのが数個しかない。石油探鉱会社に出した財投の残高一兆五〇〇〇億円のうち七七〇〇億円以上は回収困難ということだ。

 もちろん、政府がこれまで出し続けてきた税金四兆一七〇〇億円は、まるで何事もなかったかのように掘った穴に消えてしまう(実際は、とっくに利権に消えている)。

 核燃料サイクル開発機構(旧動燃)は一兆六〇〇〇億円の欠損金が累積している。鉄建公団や空港公団の赤字も見通しは暗い、という。旧総務庁から報告のあった九法人とも、まともなものはない。

 国鉄清算事業団は平成二年三月末日をもって解散した。そのさい残された二七兆円の累積債務は全額が一般会計に付け替えられた。そのうち三兆円だけはたばこ税の増税分で償却することになったが、残り二四兆円は全額国民にツケ回しされた。

 いま、道路公団や都市基盤整備公団は「第二の国鉄」といわれている。それら特殊法人の赤字のツケは、国鉄の前例にならって国民に回される可能性が強い。特殊法人の借金残高は認可法人を含め三四四兆円であり、その金額は年々歳々膨らみ続けている。

 ここであらためて強調しておきたいのは、特殊法人の借金は国の借金以外の何ものでもないということである。なぜならば、公庫、公団、事業団といった特殊法人は国会の議決で設置された国の政策遂行機関であり、国の出資金や補助金で運営されているからである。

 特殊法人には財政投融資から毎年二五兆円もの融資がなされ、その利払い金や出資金として毎年四兆円以上の国費が注入されている。そのうえ、国鉄清算事業団をはじめとする特殊法人の清算金や欠損金は現実に国民の負担に転嫁されている。

 しかも、恐ろしいことに、特殊法人は一般企業のように倒産することがないため、借金はどこまでも際限なく膨らみ続ける。こうした事実だけからでも、特殊法人というものが、いかに巨大な利権装置であるかがわかる。それだけに、じつは政と官にとって、何としても守らねばならない砦なのである。

 節を改め、代表的な特殊法人について具体的な活動をみてみよう。

第二章 第二節 ここまで
 

・ 脱アホノミクス

2015-06-24 00:02:38 | 政治


昔、アメリカは素晴らしい国だと思っていた。誰もが平等に扱われ、自由経済主義が連ねかれ・・・・しかし、現在のアメリカは企業の利益のためなら、どこの国の経済でも国民生活でもどうなろうともなんとも思わない。ましてやどこの国民の生命が脅かされても企業が儲かればどうでもいい・・・・・そんな国の言いなりになっているアベシ政府・・・・・レベルが低いだけでなく、完全に狂っていますね。Yahooニュースビジネスより転載します。



浜矩子×水野和夫対談 
資本の野生化につき進む「アベノミクス」ならぬ「アホノミクス」
現代ビジネス 2015/6/21 11:01 浜矩子,水野和夫

右:浜矩子氏、左:水野和夫氏

写真右:浜矩子氏、左:水野和夫氏



『国民なき経済成長 脱・アホノミクスのすすめ』刊行記念対談
浜矩子×水野和夫 「野生化」する資本主義

 株価は上がっても生活的な実感に結びつかないアベノミクスに警鐘を鳴らしつづけるエコノミスト・浜矩子氏。最新刊の『国民なき経済成長』(角川新書)も話題を集めている浜氏が、同書を推薦し、『資本主義の終焉と歴史の危機』(集英社新書)などの著作がある水野和夫氏と対談。現代の経済状況を危惧する二人が「野生化」する資本主義の問題を語る。

 * * *
浜矩子

同志社大学大学院ビジネス研究科(同志社ビジネススクール)教授。1952年生まれ。一橋大学経済学部卒業。三菱総合研究所ロンドン駐在員事務所長、同研究所主席研究員を経て、2002年より現職。専門はマクロ経済分析、国際経済。



世界各国の横並びがもたらす国内の縦並び現象
 浜: このところ、世の中の諸問題が持つ方向性が少しより顕著に見えるようになったような気がします。2005年辺りから、私はグローバル時代には「横並びがもたらす縦並び現象」というものがあるように思ってきました。その辺を、どうもかの『21世紀の資本』のピケティ氏も感じていそうだということを発見して、おおいに気を良くしている次第です。

 グローバル時代の資本は最適・最効率を求めて地球をまたいで動く。資本が行った先は繁栄します。例えば、インドには海外からの問い合わせを受けるコールセンターが設立されて企業が繁栄している。これが、グローバル時代がもたらす横並び。一方、国境の内側では繁栄の流れに乗れた人と乗れなかった人の所得格差が開いている。内なる縦並び現象です。こういう問題に賢く対処できてこそ、国家・政府・政策の存在意義が評価されるのだと思います。

 ところが、現実には、国々は逆の方向で存在感を示そうとしている。つまり、強い者をより強くすることで生き残ろうという傾向を強めています。そのことが経済の基盤を崩すことになるのですが、それにまったく気がついていない。典型的なケースが、今の日本です。身も蓋もなく典型的。それが「アベノミクス」ならぬ「アホノミクス」です。

 水野: かつては南北問題という格差がありました。その時代は南側を見て見ない振りをしていれば良かった。ところが、オイルショックが起こって先進国の成長率がスローダウンするようになると、南側の所得水準を上げて市場をつくるようになると、その反動で国内に周辺をつくるようになった。それがグローバル化の正体です。

 資本主義であれ、封建時代であれ、古代も含めていつの時代でも、搾取する側の帝国搾取される周辺国が存在しないと成り立たない。ローマ時代は北アフリカから奴隷を連れて来て、周辺国を占領して「すべての道はローマに通ず」とばかり、すべての富をローマに集めた。さすがに近代化後は目に見える奴隷制度は廃止されましたが、西側先進国はセブン・シスターズと呼ばれる国際石油資本の手で原油を抑えることで富を独占した。そして近年では、数十億人の市場であるBRICsに目を付けたり、金融資本市場では「世界の富はウォール街に通ずる」という仕組みをつくったりしている。

 国内でも「努力すれば報われる」というおかしな標語を持ち出して格差を正当化しようとしています。労働の規制緩和という口実によって非正規雇用を増やし、意図的に落ちこぼれをつくろうとしている。労働者を永久に低賃金で固定化しようという企みです。資本主義は全員を豊かにする仕組みでは無いということに気がつかなければなりません。

 浜: 実にその通りですね。だからこそ、全員を豊かにする資本主義というものを生み出さないと、グローバル時代の向こう側には何も無いという恐ろしい終焉を迎えることになってしまうのだと思います。「資本主義の進化」こそ、大きなテーマになり得ると思います。

 ところが、「アホノミクス」が行っていること、アメリカやイギリスで行われていることを見ると、明らかな資本主義の後退現象が起こっている。マルクスが発見した「資本主義の再生産表式」は、モノを生産するメカニズムの中に資本が取り込まれていた。その過程で資本のメカニズムを順当に動かすためだというので、労働に対する搾取が起こった。そこに問題があったわけですが、少なくとも、マルクスが分析対象とした状況の中では、資本は一定の生産体制の中に組み込まれていた。

 ところが、現代の資本は資本主義的再生産メカニズムから飛び出て「野生化」しています。あるいは資本の「先祖返り」。この調子で行くと経済の基盤は破壊され、社会保障がズタズタになる。だが、それが成長戦略につながるのだという。

 ところが、実をいえば、今の時代において成長実績を上げているのは、むしろ、社会保障が手厚い北欧諸国です。成長率が高い国々は、手間を掛けて落ちこぼれを作らないように努力しています。「アホノミクス」のやり方とは全く正反対のアプローチが成長をもたらしている。そのことにチーム・アホノミクスは気がついているのでしょうか。


報われない人は努力していないという方便
 水野: 「努力した人が報われる」というおかしな標語がさかんに使われています。しかも上位10%の支配階級の人々は、報われた者しか努力していないと逆転の解釈をする。文句をいえば「努力をしていないから報われないのだ」と言う。因果関係を平気で逆転させる。

 イギリスの大航海時代の資本主義は海賊資本主義でした。イギリスの海賊が、宗派が違うポルトガルやスペインの船を襲って富を奪っても、その一部を国王に拠出すれば「合法」でした。資本主義の初期では、そのように超法規的な方法で資本を蓄積した者が支配階級となった。近代資本主義では、その時点で何も持っていない人は、支配階級には入れない。入り口の部分で選別が行われるからです。

 13世紀のローマ法では利子の上限を33.5%と定めた。しかし、ローマの外では暴利が幅をきかせた。借りた人は財産を取られて放り出させるだけ。剰余価値は資本家が持ち去り、労働者は生活に必要な分だけしか手にできなかったのです。

 浜: 資本主義の黎明期は、そうやってどんどん勢いが蓄積される時代で、労働者もそのおこぼれに預かることがさしあたり生活基盤の向上につながった。それこそ、唯一、「トリクルダウン」効果が多少とも実現した時代だったといえるかもしれませんね。

 資本主義が成熟してくると、黎明期と同じ論理では自己破壊的な方向へ向かうだけだということにチーム・アホノミクスは気がついていない。だから、ものすごく時代錯誤的なことを行っている。彼らのやっていることに比べれば、海賊資本主義のほうがまだましです(笑)。「弱きを助け強きをくじく」という考え方に基づいていたのですから。

 水野: 海賊を肯定するつもりはありませんが、彼らは彼らの中では富を平等に分けていた。平等社会を築いていました。

 浜: 海賊社会は共産主義社会と言ってもいいかもしれない(笑)。

水野

日本大学国際関係学部教授。博士(経済学)。1953年、愛知県生まれ。早稲田大学大学院経済学研究科修士課程修了。三菱UFJモルガン・スタンレー証券チーフエコノミストを経て、内閣府大臣官房審議官(経済財政分析担当)、内閣官房内閣審議官(国家戦略室)を歴任。



税金逃れをする企業がもてはやされる
 水野: グーグル、アマゾン、マイクロソフト、スターバックスといったグローバル企業がタックスヘイブンや軽課税国などを用いて過度の節税対策を行っていると批判されました。これらの企業が海賊なのか山賊なのかわかりませんが、各国のインフラを使って経済活動を行って利益を得たのだから、インフラの利用料として税金を納めるべきなのに踏み倒した。

 一方でアメリカ財務省は、米国発のグローバル企業から税金を取れないため、商務省が表に出て行って、外国企業から巨額な課徴金を取っている。アメリカ国内では商務省が山賊まがいのことをしています。

 浜: まるで追いはぎですね(笑)。ピケティ本のタイトルで面白いところは、21世紀の「資本」であり「資本主義」ではないところ。彼も資本の野生化という感覚を持っているのかも知れない。

 本の最後のほうで「国家はその社会性を復元すべし」ということを言っていて、それが重要なポイントと思います。資本の野生化を懸念する感覚があるからこそ、彼は幅広い資産課税の導入を提唱したのではないでしょうか。

 納税と受益は決して一対一の対応関係にあるのではない。だからこそ、「社会性」に関する認識が必要なわけです。いわんや、受益しているのに税金を払わないで済む道を追求する企業や人々がもてはやされる社会は間違っています。


技術の進歩とは逆に人間の精神は退化する
 水野: 恐らく人間はどんどん劣化しているのでしょう。技術は進化しているのに精神は退化している。だから、善悪の判断ができなくなっている。

 浜: 知性と精神性が退化すれば、要は野蛮になっていくわけですよね。公益性・公共性とはどういうものであるかが考えられなくなっている。人はなぜ税金を払わなければならないのかという常識すら失いつつある。その好例が本にも書いたことですが「ガバナンス」という言葉の意味の曲解です。ガバナンスとは、短期的に稼ぐ力を顕在化させることだということになっている。

 水野: それって企業でいえば経営会議のテーマですよ。

 浜: ガバナンスは、過度に収益ばかりを追求する企業経営に歯止めを掛けるために必要なことも、いつの間にか「稼ぐ力」を強化するためにガバナンスがあると解釈されてしまった。国も企業も公益性・公共性を忘れている。その先には人類の滅亡しかありません。「アホノミクス」の出現は、人類滅亡の時が迫っていることを告げているのかも知れない。

 だからこそ、私たちは資本主義の進化、資本主義の新たな夜明けというテーマを負い続けなければなりません。そこで水野先生、「資本主義の新たな夜明け」という本をお書きいただけませんか? 
 水野: とても興味深いテーマですよね(笑)。

 浜: 精神性を復権させることと、安倍政権が唱える「道徳教育」ほど、かけ離れている相互関係はありませんね。道徳心という概念が、今日において何と汚されているか

 だからこそ、『国民なき経済成長 脱・アホノミクスのすすめ』の超続編ともなる『資本主義の新たな夜明け』が必要なのです。水野先生、よろしくお願いいたします! 

 <了>











・ 知らぬは日本人ばかりなり

2015-06-21 02:07:59 | 原発事故


ドイツの風刺画です。メルケル首相の判断を分かりやすく説明しています。日本国土の3分の1くらいは放射能で汚染されていて、そこの土地で作られる作物は内部被ばくの要因になります。チェルノブイリ原発事故では住むことを禁止している地域でも、日本では平気で住まわそうとしています。単純に騙されている日本人のなんと多いことなんでしょう・・・・・飯山一朗さんブログより転載します。




貧すれば鈍死

風刺絵


日本以外の国では、東京オリンピックは開催できない!なんてことは、常識だ。
それは、上のような漫画をつかって、真実情報を広く自国民に知らせているからだ。

メルケル独首相が3月初旬に急遽来日して、放射能の問題と隣国との関係改善を安倍首相に進言したが、これに安倍総理は激怒。けんもほろろにメルケルを追い返してしまった。

離日して北京に行ったメルケル独首相は、安部首相の愚鈍(ぐどん)な認識度合いを習近平に克明に報告している。

この瞬間に、中国とドイツの「東京オリンピック不参加!」は決定されたのである。

これを受けて、ドイツのマスコミは、「日本は放射能が強すぎ、危険すぎるので、東京オリンピックは数千年ぐらい延期したほうがE~!」と、ドイツ国民に漫画で真実情報を伝え、日本にもメッセージを送ってきたのである。が、日本は、またもやシカトである。


    ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「知らぬは亭主ばかりなり」 というのは、女房の悪事(=不倫)を知らないのは、愚鈍(ぐどん)亭主だけで、み~んな誰でもが知っている!ってコトだ。
今の日本は…、安倍首相を筆頭に大半の日本人が、愚鈍(ぐどん)な亭主みたいな脳味噌になっているんだろうな~。

そ~ゆ~シトたちってのは、死んでいくのも早いんだろ~な~。
飯山 一郎

・ 渋谷反戦デモ

2015-06-15 23:25:15 | アベシ政府


高校生を含む若者が渋谷で反戦デモしました。素晴らしいことですね。今の60代以上の無責任なボケが多い中、若者たちが自分たちの国を守ろうと動き出しています。確かに60代以上は無我夢中で働いてきた人たちが多いでしょう。その働き蜂の間は世の中の事に関心を持つ余裕もなかった・・・・・しかし、ビジネスの世界から引退した後のボケぶりはひどすぎますね。これだけ酷い世の中を問題だと感じていない。それに引き替え、若者の中には将来の日本を気にかける者たちが出始めている。この若者たちを応援しなくては・・・・
ブログ「リュウマの一人ごと」より転載します。



若い世代中心の --女子高校生すら参加した-- 『渋谷反戦デモ』は 大きなインパクトを与えた。 若者の反対は 政権に大打撃を与えるだろう。   
『本当に止める』-- SEALDs --の活動は 立派だ。

 
 SEALDsさん たちが行った 渋谷での 反戦デモは 多くの『若者』が 参加をした。 この様子は あまり伝えられていないが、 政府も 日本会議も 「著名人」でもない若者たちがやる「デモ」が これほど大きく、勢いがあるものになろうとは 想像していなかったろう。 素晴らしい若者たちを 久しぶりに見た。 就職を考えると 不利になる危険を背負っての 彼らの純粋な活動に 拍手を送ろう。 昨日も言ったのだが、 このデモが広がって国会まで行くようになれば 「安倍政権」は 崩壊するだろう。
                                                      SEALDs @SEALDs_jpn   


本当に止める

本当に止める

日の丸も旭日旗も君が代がなくとも、「彼ら」は この国が大好きなのだ。

今年で戦後70年を迎えます。いままで映像でしか見たことがなかった「戦争」に私たちが参加することになります。国際協力だとか綺麗な言葉を並べても、自衛隊のリスクは確実に増えます。お父さんやお母さんが守ってきた憲法を、今度は私たちが守らなければなりません。
                                                          Toucan
@TouCAN55y
渋谷のデモ超楽しかったー!!


                                                          ochun 99
@ochun99
SEALDsのデモは、一つの隊列内でいろんな箇所を体験したし沿道で応援もした。
参加者は6,000人と誰かが言ってたけど、まあ久々にデモらしいデモ。ながーい隊列を見てじーんときた。"渋谷デモ"、やっぱりこれでしょ。

戦争反対デモ

道いっぱいに広がって 皆で 「主張する」 ---  「ストップ 安倍政権」だよね。


私たちはただ、大切な人を失いたくないんです。戦争の加害者にも、被害者にもなりたくないんです。このままでは、次の夏は戦後ではなく、戦前の夏として迎えることになります。そこで無関心な顔してる、あなたの声が一番必要なんです

反戦デモ

主権は 「一般国民にある」ことが お気に召さない人々には、皆で言うしかない

僕は安倍政権へ怒りをもってスピーチします。僕たちは平和に生きたいという願いをもっています。僕はパレスチナや中東の人たちを殺したくありません。自衛隊の人にも殺してほしくありません。もしこの法案が通っても日常が変わることはないかもしれません。だけど確実に日本は変わる。                            (引用終り)

                                                          wardaa @war_daa
渋谷デモ6000人すげー


                                                  
石田昌隆 @masataka_ishida
渋谷デモ。行きました。YOUTH AGAINST FASCISM。ANTI WAR。若い人がいっぱいです!


反戦デモ


                                                  
hinanyan @akarin4215
NHKの7時のニュース、香港のデモは伝えているが、渋谷のデモは伝えない。ここは日本やないんやろか?



                                    
くみこ@No nukes, No war @kumiko_sekioka
国営放送NHKがデモ報じずネット大炎上

反戦デモ

私が総理大臣なのです。」で なんでも決めてよいわけはない。 主権は国民にある。

                                                 

藁のうーさん@waranou_san
NHKは完全にアウト! このデモを報じない。 国民の声を聞かないのは今の政権と全く同じ。


                                                          トリさん@MinejiS
NHKは「国会包囲集会、渋谷デモ」より「香港デモ」が重要のようだ。香港デモはたっぷり時間を割いて報道したが、国会包囲集会や渋谷デモは一切報じず。 NHKのすぐそばで多くの人が声を上げていたのに「見ざる聞かざる言わざる」か。


                                               

サガワトシアキ @sgw_toshi
反戦デモ




・ いまさら農薬

2015-06-14 00:13:14 | 健康


日本政府が発表している日本人の平均寿命も本当かどうかも怪しいものですが、その平均寿命だけでなく健康寿命という数字も出ています。それによると人の世話にならないで生活できる健康寿命は男性で約70歳、女性で73歳だそうです。寿命までの10年ほどは誰かの世話にならんければならないようです。ガンで死亡する人は2人に一人と言われており、100年前の日本では考えられない数字です。国民の健康など全く意識のない官僚・政府が決めた仕組みのおかげで、長期間かけて農薬や添加物・放射能で体を不健康にしている結果が表れているのでしょう。
医者の内海聡さんがフェイスブックで農薬について書いています。以下転載します。




世界各国の農薬使用量

いまさら農薬

農薬がなぜダメなのかどれくらい危険なのかということは、ほとんどの人が理解できないようです。科学的にいえば農薬は精神薬と同じ強力無比な神経細胞毒で、脳細胞その他をどんどん死に至らしめることがわかっています。しかしここもほかの社会毒と同様すぐに影響が出ない、蓄積されていくというのがポイントで、しかも脳だけでなく脂肪が存在するあらゆる場所に蓄積されて、あとになって弊害をもたらすというのが共通しています。

中国の野菜が怖いといっている人が多いようですが、日本の野菜の方が怖いのです。日本は農薬消費量がハンパではなく、何十回もふるのは当たり前でこれは基準値が世界一高いから。日本人はゴミの野菜を食べているのですが、ほとんどの日本人は売られているからしょうがないと言います。あらゆる国で農薬の基準値がここまで高いのは日本だけであり、世界一バカが集まるナメラレタ奴隷国家が日本であるという言い方もできるでしょう。

農薬には大きく三種あり殺虫剤も農薬に含まれます。一つは有機リン系で神経系・呼吸器系に対する毒性化合物で、第二次世界大戦前後から殺虫剤として農薬に使われている。 農業用、家庭園芸用、殺虫剤または殺菌剤、除草剤として使用されて、その後、河川に流れ出し浄水場から水道水に入ってきます。「ホス(phos)」と付く農薬はたいてい有機リン剤で神経ガスとしてサリンはその親戚です。などが開発された。有機リンやサリンとアルツハイマーの薬は同じ作用機序である。木材防腐剤電車、バス、タクシー、航空機、などの、車内、機内、消毒に使用される。塩化ビニール、ウレタンフォーム、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、の可塑剤、難燃剤、ガソリンの添加剤、潤滑油添加剤、としても使われています。

ネオニコチノイド系は神経を興奮させ続けることで昆虫を死に至らしめる毒物で。最近、世界各地でミツバチが姿を消していることが話題になっています。フランス、イタリアなどでは使用が禁止されており、自然の山の水、何々山のわき水などにはすでに、大量のネオニコチノイドが混入しています。グリホサート系はいわゆるラウンドアップ (Roundup) といわれるもので除草剤です。遺伝子操作によりラウンドアップに耐性を有する作物とセット販売されていますが、有名なベトちゃんドクちゃんを生み出したのはベトナムでの245−T枯葉剤で、ラウンドアップはそれの類似品、その双方の毒物を作ったのがモンサント社です。

日本の使用量は常に世界一を争っており、韓国がその対抗馬で最近中国で農薬使用量が増えています。最近になって日本はさらに一部で農薬基準値が引き上げられ、とっても嬉しいことになっています。

・ 日本が自滅する日 第2章第1節 経済むしばむ“官企業”―特殊法人と公益法人など

2015-06-12 07:16:06 | 石井紘基


日本は自由経済主義だと思っていましたが、どうもそうではないらしい・・・・・刺殺された石井紘基氏が調べ上げた内容によると社会主義経済のようです。以前に勤務していた会社の経理部長が同じようなことを言っていました。その時もなるほどと思いましたが、石井紘基氏はそれを日本全体の数字を分析した結果としてまとめているため説得力があります。
以下、阿修羅さんのブログより転載します。



第二章 経済むしばむ“官企業”― 法人と公益法人など

第一節 日本は官制経済の国だ

 事業、開発のための法律が三〇〇

 わが国は“官制経済”の国だ。いや、社会主義経済の国といってもいい。金を上から下へと流しこみ、途中で政官権力が掬(すく)い上げる“流しそう麺”式の社会主義的計画経済の性格がきわめて強いのである。

 その第一の根拠は、法的な側面である。今日、わが国には「事業」「開発」「整備」等のための法律が約三〇〇を数えるに至っている。このほとんどは一九六〇年代以降制定されたかまたは改訂されたものである。わが国の全ての法律の数が一六〇〇に満たないことを思うと、いかに政治・行政が経済行為に介入し、実質的に市場を支配しているかがわかる。

 しかも、政令、省令、通達などによる事業展開はさらに膨大な量にのぼるばかりか、それぞれの法令や規則の中に無数の事業が盛り込まれている。今日、省庁が直接指揮をとる経済プロジェクト、経済関係事業の数がどれほどの量になるのかは、ほとんど想像を絶する。個々の事業を紙に書き出しただけでも、一省庁あたりダンボール何箱という単位の話である。

 横浜国立大学の花田頼明名誉教授は、わが国の権力による経済支配の手法について「日本の場合には許可制や免許制を取り、これらを通じて行政が関連企業を自分の世界に抱き込んで、一方では命令や行政指導を通じて規制しながら、他方では抱き込んでいる企業や業界を育成し保護していくというやり方を取っている」と指摘している。彼はこれをアメリカと対比して「アメリカではもともと規制はなく自由放任主義的に競争させることから出発しています」、自由競争の弊害に対しては「独立行政委員会をつくって、そこで審判という方法で行き過ぎを是正し……抑えていくというやり方をとっている」と説明している (『ジュリスト』一九九四年五月一日号)。

 つまり、アメリカでは、まず、市場があって、その上でルールが作られるが、日本では逆だというのだ。



 GDPに占める公的需要は極端に大きい

 わが国を“官制経済” の国とみなす第二の根拠は、経済に占める公的需要の大きさである。

 わが国経済の規模を国内総生産(GDP) で見れば五一〇兆円(平成一二年度名目)だが、このうち、一二一兆円は「政府消費支出」および「公的資本形成」といった、政府による直接の買い物、すなわち「公的需要」 である。これには特殊法人の建設・設備投資以外の支出や公益法人、第三セクターなどの事業に係る支出は含まれていない。このため、GDPに占める公的需要の全体は
もっと大きい
と推定される。

 また、国による歳出は一般会計と特別会計を合わせた純計で約二六〇兆円、地方公共団体の支出は(国とのやりとりを除いた)純計で九〇兆円である。したがって、国と地方を合わせた一般政府の支出は三五〇兆円となる (平成一二年度)。

 GDPは本来、付加価値の規模を示すものと考えられていて、この中には、政府による消費(支出)も含まれている。一般にGDP統計の中では、政府支出も付加価値を生み出すとされている。しかし、経済活動における付加価値は、本質的には市場における資本の運動の中で形成されるものであり、政府自らが資本の運動に参加することはできない。

 むしろ、政府による市場への関わりが強過ぎると(政府の消費=支出が多過ぎると)、政府が配分したお金で作られたものを、そのコストで政府が買うという性格が増し、市場における付加価値創出能力が減退する。つまり、市場経済の本来の機能が失われていく。したがって、わが国でGDP数値に対する政府歳出の割合が異常に高いということは、わが国市場経済の能力を判定するうえで重要なメルクマールとなる。

 わが国の一般政府歳出の中には、年金のように実際の消費(支出)ではなく、お金の移転として計上されているものもあり、そうした部分を除いたとしてもざっと三〇〇兆円規模の政府支出がある。GDP統計においても一二〇兆円超の政府支出がある。GDP統計の中身をお金の流れで捉えれば、政府消費に計上された支出の中には、再び民間最終消費支出の数値に現れて出てくるものもある。

 こうした事情を考慮したとき、いずれにしても、わが国においては、GDPの中に市場の成果といえる部分は微々たるものでしかないことがわかるのである。つまり、わが国は政府のマネーが大きすぎ、市場が著しく縮められ、資本の拡大再生産機能が働かなくなっているのだ。

 ちなみに国家予算とGDPの関係を国際的に対比してみると、フランスの場合、国家予算三一兆円に対してGDPが一六三兆円イギリスは国家予算四五・六兆円に対してGDPが一六四兆円ドイツは連邦政府予算四〇兆円に対してGDPが二四〇兆円(以上、一九九九年)と、いずれも中央政府の予算規模は、GDPの三〇%以内である。付加価値の規模を示すGDPと政府歳出との関係を国際比較してみればGDPに対する政府歳出比率の異常な大きさは浮き彫りになる。

 つまりわが国の経済では、政府に関連したおカネにかかわる部分が異常に大きく、市場経済活動の成果は極めて小さい



 資本主義の仮面を着けた社会主義

 市場経済にとってもう一つ恐ろしいことは、わが国ではGDPに近い額の郵貯・簡保・年金の積立金が政府資金として運用されており、しかも、この内二〇〇兆円を超える巨額の資金が債券や株式など有価証券市場に投入されていることである。

 そもそも資本主義経済の動脈ともいうべき内外の金融市場に対して大量の政府資金を動員することは、自由・自然な生きた市場を撹乱する。血管に血液型の異なる血液を輸血注入するに等しい行為である。否、危険な非加熱製剤の輸血といってもよいであろう。

 政府により金融市場に出される資金のうち、国際金融市場に当てられる資金量はざっと五〇兆円である。内訳は外為特会二八兆円、財政融資資金四〇〇〇億円、郵貯特会四兆六五〇〇億円、簡保特会四兆一五〇〇億円、年金資金運用基金一兆二六〇〇億円、簡保事業団(金額非公開だが、郵貯特会から一五兆円、簡保特会から一〇・五兆円受け入れる預託金の約三分の一と推測)八兆
円、農林中金七兆円(農林中金は現在は特殊法人でないとされているが、法律により特別に設置された官企業)、その他である。

 各国とも一定の外貨準備等により、国際金融市場への調整介入政策をとることはある。しかし、それは国家的な緊急かつ不測の事態への調整手段ないしは外交的必要性によるものである。それにしても自由競争と市場経済を前提としたルールは守られなければならない。最大の金融大国たるアメリカの場合でも、政府の外貨準備高はせいぜい七兆円程度(六六二億ドル)に過ぎない。これを見てもわが国は世界に特異な資本主義の仮面を着けた社会主義国(国家資本主義) であることがわかる。

 こうした政府の巨額の(借金)資金による国際証券市場への進出という財政・金融構造こそ、国内はもとより世界の金融市場を歪め、日本が世界経済の破壊者となる可能性を高めている。今後、郵貯、年金等の自主運用が進めばますます危供される。



 政府系金融はオール民間の一・二五倍の規模

 わが国経済の異常さを、具体的に金融事業についてみてみよう。

 わが国金融事業全体の中で政府系(行政)金融が占める量と割合はどれくらいだろうか。日銀の資金循環統計をはじめとする公表データで集計すると、民間の都銀、地銀、第二地銀、信金、信組、その他の貸金業の融資総額は図表2-1の通り約五二〇兆円である。

 これに対して行政による金融事業の規模は融資残高約六五〇兆円、つまり、民間金融の一・二五倍に達している(図表2-2)。しかも、官は民間金融機関の運営を細かく干渉する。つまり、わが国の民間銀行は、仕事を取り上げられ、規制され、かわりに公的資金という人工呼吸器をあてがわれているのに等しい。

民間金融機関貸出残高


公的金融機関融資残高



 不動産事業の一一%は官企業が独占

「官」 の進出が「民」を衰退させている例として、さらに不動産・住宅事業を挙げよう。「官」 の雄であり、規模においては世界一のディベロッパーである都市基盤整備公団の不動産部門の事業費支出は、一兆二三〇〇億円である (総資産一七兆五六九〇億円)。そしてこの公団の直接の子会社における不動産事業の合計は、一八三〇億円である。さらに、各省庁の傘下にある特殊法人・公益法人、その子会社が土地取得事業などを行っている (平成一二年度)。

 たとえば、(財)民間都市開発推進機構の土地取得事業費は一五〇〇億円、(財) 日本勤労者住宅協会は六四五億円、(特)地域振興整備公団が三二〇億円などだ。また、(特)雇用・能力開発機構の住宅事業は三八二億円、地方住宅供給公社は七一〇〇億円、地方土地公社は一兆一〇〇〇億円、その他運輸施設整備事業団なども相当額の事業展開を行っている。ちなみに、地方土地公社は都道府県と指定都市及び市区町村に一五九四社あり、保有土地は金額ベースで八兆三〇〇〇億円である。「官」 の企業の場合、性格上 「売り」 「買い」 「賃貸」 のいずれかに偏る場合があり、正確な数字の計上は困難であるが、その事業規模は年間およそ三兆五〇〇〇億円と推計される。これに対して民間不動産会社の (売上げ)事業総額は、「財務金融統計月報」
(財務省) によると約三二兆三七〇〇億円である。

 したがって、全不動産事業の約一一%が行政企業によって占められていることになる。

 最近民間が弱っていくなか、派手な土地買収でとくに目立つのは米国の企業と都市基盤整備公団と(財)民都機構だ。一方、住宅建設戸数においてみれば、官企業によるものが民間を庄倒している。すなわち、都市基盤整備公団はこれまで賃貸住宅で七七万戸、分譲住宅で二八万戸を供給した。

 さらに、地方住宅公社がこれまでに供給した賃貸および分譲住宅は七五万三〇〇〇戸にのぼり、同じく雇用促進事業団が一四万五〇〇〇戸で、これに公務員住宅等を加えると、昭和三〇年代以降、官が供給した住宅はざっと、二〇〇万戸に達する。その補修・管理を含む関連事業も、官の系列企業が独占してきたのだから、民間市場への影響は、はかり知れないものがある。


 市場原理が機能しない経済

 それにしても、日本はいつからこのような、市場が機能しない国、政と官が結託して利権をほしいままにして民を圧迫する国になってしまったのだろうか。来生(きすぎ)新・横浜国立大学教授の『産業経済論』(ぎょうせい、平成八年)によりつつ、振り返ってみよう。

 国家と市場、権力と市場の関係について考え抜かれた著書によれば、敗戦からの復興過程では、希少な外貨のコントロール権を行政が握り、それを最終的な担保として強権的な政治主導型の経済運営が行われた。国内的にも、重要な物資については官僚主導の計画経済が行われた。

 高度成長経済も基本的には政官主導による重工業主体の産業政策が追求されたが、この時代までの政策は今日の直接介入とは異なっていた。権力といえども、産業との協力の下に、あくまで産業そのものの発展を目指す「誘導」「育成」がキーワードだった。

 したがって、この過程では政官主導とはいえ、経団連や商工会議所の財界リーダーたちが日本丸の船頭となっていた。他方では中小企業が活力を発揮した。だからこそ「経済は一流」といわれ、市場経済体制が花開くかに見えたのだ。

 戦後経済でもっとも重大な転換期は、その後の一九七〇年代であった。この時期以降の日本経済について来生氏は「市場を支える勢力が完全に経済運営の主導権を獲得しつつある時代」とみているが、それは誤りだと私は考えている。市場から後退し、自立的な企業同士の民主的かつ公正な競争による自由経済体制を築くべき政治・行政権力が、むしろ力を増したのだ。

 この時期、政官権力は正面から民に対抗するのではなく、新たな協調を求めたようにも見える。しかし、実際は、そうしたポーズをとりながらも、一方で行政指導、経営規制を拡大し、他方で自ら行政企業(官企業) の大群を率いて市場に侵入していった。それだけでなく権力は、自ら法令にょり産業ごとの開発プロジェクトを打ち出し、大規模な事業経営を展開した。

 こうして、市場は、「政官の行政経済」に侵蝕され、自主性と主体的活力を殺(そ)がれ、権力に対して完全に敗北した。政治家と官僚が結託した支配は、一九八〇年代後半以降、どんどん強められていった。そして、ついに、日本経済は市場原理が機能しないものとなったのである。

 資本主義経済で「必然」とされた寡占化、過当競争、失業、恐慌などを克服するものとして、二〇世紀にケインズ経済学が登場した。不況が深刻な恐慌に至らないよう、政府や中央銀行が時宜を得た景気対策や金融政策などを発動し、それによって資本主義経済は息を吹き返した。

 政府の経済政策は独占の制限、労働・雇用対策、税政策などにもおよび、それとともに中央銀行による金融政策の重要性も高まった。日本の公共事業政策が効果を発揮した時期もあった。

 主要国首脳会議(G8)や主要七カ国蔵相・中央銀行総裁会議(G7)など、政府の経済政策を国際的に調整するシステムも確立されていった。

 しかし、こうした政府による経済政策や国際的相互作用も、それが有数であり、意義あるものであるためには、その国の経済が自由競争を原理としたものであり、資本主義経済の本質を維持していることが前提条件となる。かりに、その国が金融においても産業においても、自由競争の要因が薄い国になったとしたら、あるいは、経済活動に拡大再生産の資質が失われた国だったとしたら、あらゆる経済対策は景気や雇用問題を解決する力を持たない。一九九〇年代の日本経済が陥ったのは、まさにこうした病弊なのである。政府は公共事業などで、「史上最大規模」の“景気対策”を重ねる。日銀は金融機関に対して「借りてくれ」と懇願するようなウルトラ金融緩和政策をとる。しかし、財政、金融の両面でいくら力んでも、景気はよくならない。その理由は、経済そのものの存立基盤が失われているからなのだ。

 このように、わが国を非効率な社会主義経済にしてしまった機構面での大きな要因は、特殊法人や公益法人を中心とする“行政企業群”、略して“官企業”である。以下、節を改め、特殊法人とはどんな性格のものであるか、主要な特殊法人は、どんな活動をしているか、そして、公益法人とはどんなものか、をみてゆくことにしよう。

第二章 第一節 ここまで

・ 事故賠償をめぐって「もっと本気で住民に対しての賠償などをすれば・・・・

2015-06-10 22:30:16 | 原発事故


原子力の専門家で大学教授を引退した小出裕章さんがラジオファーラムで発言しています。自民党と官僚は、万が一原発事故が起きても、その賠償は国民がするような法律を作っています・・・・建設することで利権にありつき、運営することで利権にありつき、事故が飽きても責任は取らずにその付けを国民に回す・・・・・こんな法律が平然とまかり通る国会とはなんなんでしょうね・・・・キチガイ集団としか言いようがない。

立地開発をするにあたっても国民の税金を使って買収し、原発を運営することにより高い電気代を国民からかき集め、事故の保証金も国民が払った高い電気代からねん出し、事故後の賠償金も国民が負担・・・・・いい加減に国民をばかにしていますね。

刺殺された石井紘基氏が調べ上げた内容を見ていると、官僚と政治屋のあくどさはあきれるばかりです。ブログの中で「日本の自滅する日」に掲載しています。




事故賠償をめぐって「もっと本気で住民に対しての賠償などをすれば、日本の国家が倒産してしまうほどの被害が出ていると私は思っています」〜第125回小出裕章ジャーナル
ラジオ放送日 2015年5月29日〜6月5日
Web公開 5月30日

小出裕章


谷岡理香:
政府は未だに「原発は安いんだ」「安価なんだ」と言い続けています。今回の原発事故の損害賠償をめぐっては、その政府と電力会社が互いに責任を押しつけ合っているという現状もあります。私達には負担は、今後どのような形で出てくるのでしょうか? 今日は、「原発事故の賠償費と除染費の利息は国民負担」、このことをテーマにお送りします。小出さんと電話が繋がっています。小出さん、今日も宜しくお願い致します。

小出さん:
はい、こちらこそよろしくお願いします。

谷岡:
まず、原発事故が起きた場合の保険金について、改めて教えて下さい。

小出さん:
皆さん今、日本というこの国で生きていて、さまざまな保険にご自分で加入しているだろうと思いますし、企業にしても様々な保険に入って、何か事あった時にはその保険でまかなうというのが、いわゆる資本主義という世界の原則なのですね。

しかし、原子力発電所というものが、万一であっても事故が起きてしまえば、国家が倒産するほどの被害が出るということは、原子力の専門家はみんな承知していました。当然ひとつの企業でそんな被害の賠償ができるわけはありませんし、保険会社もそんなものに関しては、契約を結ばないということになっていたわけです。

そのため、いわゆる資本主義を標榜する国としては大変異例なことに、日本では原子力損害賠償法という法律が作られまして、万一の事故の時に備えて、電力会社は当初は50億円でしたけれども。1961年だったと思います。その法律ができたのは。その時は、50億円だったと思いますが、だんだんだんだんお金が上がってきまして、今は1200億円の賠償金を用意しておけば、あとは国が国会の議決を経て面倒を見るという、そういうあり得ないような法律で守られてきたのです。ですから電力会社としては、とにかく1200億円だけ準備をしておけば、あとは国がやってくれるんだというそういうつもりで今日まで来てしまったということになりました。

谷岡:
電力会社にとったら1200億円さえ準備すれば、あとは国。でもそうしますと、東京電力のあの福島の原発事故での損害額とその賠償は、どういうふうになっているんでしょうか?

小出さん:
原子力損害賠償法の定めに従えば、まずは東京電力は用意しておいた1200億円の賠償金を払うということになって、それを超えたものは、国が国会の議決で面倒を見ると、先程聞いて頂いた通りなのです。

谷岡:
そうですね、はい。

小出さん:
一応、その原子力損害賠償法では、責任は無限責任だということに決められていますので、本当であれば、東京電力が全てを賠償すべきなのですけれども、でも、国が国会で議決をすれば、いくらでもまたそれが出せるということになってしまっているわけです。

実際に、今のところは多分10兆円、あるいはそれを超えるぐらいのお金がかかるだろうと、国の方は言っているわけですが、私自身は多分そんなことでは到底足りない。何十兆円ものお金がかかるだろうし、もっと本気で住民に対しての賠償などをすれば、日本の国家が倒産してしまうほどの被害が出ていると私は思っています。

いずれにしても、東京電力が全部を負担するなんてことは到底できないわけですから、現状では政府が原子力損害賠償廃炉等支援機構という組織をつくりまして、国のお金を東電に回しているという状態になっています。一応数十年かけて、東電を含む電力会社から返済を受けるという計画になってはいます。そして会計検査院の試算では、最大で1200億円、1300億円ぐらいの金利が、国民負担になるという試算を出しています。

でも私、先程聞いて頂いたように、国や東京電力の考えている賠償額よりも、はるかに巨額の賠償額が実際には必要になると思いますので、おそらく何千億円というような金利が、これから国民の負担になっていくんだろうと思います。


谷岡:
はい。なんかちょっと気が遠くなるようなお話をして頂きましたが、そういった状況の中で、今、電力会社と国がこの賠償をめぐって押しつけ合いをしているわけですが、これはどういうことなのか、もうちょっと説明して頂けますか?

小出さん:
もともと日本の原子力というのは、国がやるのだと言って決めたのですね。そして今、聞いて頂いたように、原子力損害賠償法というような法外な法律をつくったり、あるいは電気事業法で電力会社の利益を完璧に補償する。原子力をやればやるだけ儲かるというような仕組みを作って、電力会社を原子力に引き込んだのです。

そのため日本の原子力は国策民営と言われるようになってきました。つまり国が重大な責任を持っていたわけですし、それを引き受けた電力会社が、仮に何か事故を起こしたとしても、やはり国に責任があるということは、私としては当然のことだろうと思います。ですから、事故が起きたとしても、電力会社としても国の方が「お前が引き込んだんではないか」というように、もちろん思っているわけですし、国の方も自分の責任をしっかりと認識してるわけですから、ある程度はやはり仕方がないだろうと。電力会社を守ってやらなければいけないというようなことも思っているわけです。

そのため今、起きているように、国が東京電力を生き延びさせて、倒産をさせることのないように支えながら、そのツケを国民に回していくというようなことをやっているわけです。先程から聞いて頂いてるように、もし本当に被害の賠償しようと思えば、東京電力など何十回倒産しても足りないわけですけれども、実際には国がそれを支援して、東京電力を生き延びさせて、東京電力は既に黒字にまたなっているというそういう状態になって、結局誰も責任をとらないまま、一切のツケを国民に押しつけながらみんなが生き延びて、国も東京電力も生き延びていくというそういうことをやっているわけです。

谷岡:
国も東京電力も組織はあるけれども、人はどんどん変わっていくわけですよね? おっしゃったように、誰も責任をとらないっていうそこが本当に重く響きます。でも大事なことは、もうほんとに今、被害を受け続けてる方がいて、その方がどうやって救済されるか。そして、私達も明日そうならない保障はどこにもないわけですが、今後のことを考えると、小出さんはどのようにお考えですか?

小出さん:
福島第一原子力発電所の事故で、今現在もたくさんの人が故郷を追われて流浪化しているわけですし、本当であれば、放射性管理区域に指定しなければいけない汚染地帯に、人々がそのまま捨てられて生活を余儀なくさせられているわけです。事故から既に4年以上経ちましたけれども、そんな状況がずっと続いている。もっとちゃんと国として救済をしなければいけないと思うのですけれども、それをやろうとすると、国が倒産するほどのお金になってしまうということになっているわけです。

4年経った今でも、原子力緊急事態宣言というものは撤回されないまま、未だに緊急事態が続いている。そして、被害者も苦難にあえいでいるという大変なことになっているわけで、もしそんなことをきちっと賠償しようと思えば、原子力発電なんてどれだけ高いものか全く分からないほどになってしまうということだと思います。

谷岡:
ほんとに原発は安いだっていうのはどこから来るのかっていうのは、本当に伺っていて気持ちが重くなります。それから、福島も分断の中に来ていて声を挙げられない方がいますが、私達がなんとか何度でも何度でも繰り返し発言していかなければいけないなって、改めて思いました。小出さん、どうもありがとうございました。

小出さん:
こちらこそ、ありがとうございました。

・ 国家安全保障担当内閣総理大臣補佐官 集団的自衛権について10代に女性に叱られる

2015-06-10 22:27:05 | アベシ政府


ツィッター上で集団的自衛権について面白いものがあります。集団的自衛権を推し進めているアベシの側近である国家保障担当内閣総理大臣補佐官の礒崎陽輔と十代の女の子がバトル・・・・・。女の子の方が論理的ですね・・・・・それを見ている人達からも女の子に軍配が上がるコメントが続いています。このやり取りもFaceBookにアップロードされており、多くの人から礒崎のレベルの低さにあきれる声と、10代の女の子にエールを送る声が多くあります。コテンパンにやられた礒崎陽輔は敵前逃亡! 以下、転載します。


礒崎陽輔

なおみ



礒崎陽輔 @isozaki_yousuke 2015-06-09 09:33:20

集団的自衛権とは、隣の家で出火して、自主防災組織が消防車を呼び、初期消火に努めている中、「うちにはまだ延焼していないので、後ろから応援します。」と言って消火活動に加わらないで、我が家を本当に守れるのかという課題なのです。



ほなみ @hnm_3433 2015-06-09 10:20:19

バカをさらけ出して恥ずかしくないんですか。分かりやすく解説じゃなくて都合良く解説お疲れ様です。その説明全部論破されて終わりますよ。集団的自衛権と個別的自衛権の違いを勉強してください。議論はそこからです。 twitter.com/isozaki_yousuk…



礒崎陽輔 @isozaki_yousuke 2015-06-09 10:26:55

それは、私におっしゃっているのですか。「バカ」とまでおっしゃってくれていますので、是非あなたの高邁な理論を教えてください。中身の理由を言わないで結論だけ「バカ」と言うのは、「××」ですよ。お待ちしています。 twitter.com/hnm_3433/statu…



ほなみ @hnm_3433 2015-06-09 11:01:37

まず例えが下手。戦争と火事は全く別物だし笑戦争は火事と違って少しでも他国の戦争に加担すれ自国も危険に晒す。当たり前だろ。しかもその解説は個別的自衛権で十分対応可能です。集団的自衛権と個別的自衛権を勉強してくれないと議論できません twitter.com/isozaki_yousuk…



ほなみ @hnm_3433 2015-06-09 11:04:02

火事と戦争を同等にして例えるのがまずおかしい。わかる?火事には攻撃してくる敵がいない。戦争は殺し合い。それに少しでも加担すれば危険なのわかるよね?それが分からないなら本当に脳みそ腐ってんじゃない? twitter.com/isozaki_yousuk…



ほなみ @hnm_3433 2015-06-09 11:08:43

火事は消化すれば解決する。殺し合いは必要ない。戦争は違うよね?殺し合って何万人何十万人何百万人が死んでくんだよ。それに日本が加担するってことだよ。バカって図星すぎてカチンときたのかな?笑 twitter.com/isozaki_yousuk…



礒崎陽輔 ✔@isozaki_yousuke

あなたも「例え話」というのが分からないのですか。「例え話」は、本来の話と異なる話から、本来の話の理解を促すものですよね。自衛権の行使は、我が国の国民の生命、身体を守るためにするのでしょ。あなたこそ、一から勉強し直してください。 https://twitter.com/hnm_3433/status/608092158097133568 …
2015年6月9日 11:08



ほなみ @hnm_3433 2015-06-09 11:10:33

例え話は同等の物で例えないと例えにならないんだよ。わかりますか?あとその自衛権の行使は個別的自衛権で対応可能だよって。そこ勉強しろよ。 twitter.com/isozaki_yousuk… twitter.com/isozaki_yousuk…



礒崎陽輔 @isozaki_yousuke 2015-06-09 11:12:45

個別的自衛権は、我が国が直接武力攻撃を受けないと、行使できません。だから、それまで、他国が我が国を守るために戦ってくれている中で、指をくわえて見ていていいのですかという話です。もう少し上品な言葉を使いましょうね。 twitter.com/hnm_3433/statu…



やまブし(羊の皮を被ったヤギ) @neo_yamabusi 2015-06-09 11:12:55
一般ユーザーの意見に反応するのは結構だけど10代の女の子に、この大人げなさ。世間の最大注目集めている法案担当の総理大臣補佐官が、だよ。
twitter.com/isozaki_yousuk…

白川結紀 @shirakawayuuki 2015-06-09 11:12:58
バカが厳しい批判をされてムキになっている。 pic.twitter.com/jUeUKzeBxy

やまブし(羊の皮を被ったヤギ) @neo_yamabusi 2015-06-09 11:13:51
閣僚席から女性議員相手になると口とがらせてヤジ飛ばす親分と変わらんのやな。

やまブし(羊の皮を被ったヤギ) @neo_yamabusi 2015-06-09 11:15:54
個別自衛権で対応できるだろうと、いきなり革新的結論突きつけられる、総理補佐官。

DesBaleRRRna @Dethtooldo 2015-06-09 11:16:17
十代女子にdisられてマジギレする首相補佐官。そしてさらに返り討ちに遭ってる。

ほなみ @hnm_3433 2015-06-09 11:17:00

日本を守る戦い?は?大丈夫かこいつは。日本を守る戦争はいつ始まるのでしょうか。アメリカに言われるがまま集団的自衛権行使容認しよーとしてる今の日本で本当に日本が守れるとでも?笑バカすぎてつらい。こんなんが政治家でいいのか。 twitter.com/isozaki_yousuk…



みわ_まん子髭兄貴(リア充) @MiwananaFFS 2015-06-09 11:17:32
十代女子バカにしてる証左。いつまでも女子供見くびってると痛い目に合うよ。

bulldozexxx @bcxxx 2015-06-09 11:18:06
「相手が未成年とは知らなかった。ついカッとなってやった。今は反省している。」
http://t.co/CEdVFwHwp1.

北風くるみ(30Aから20Aへ) @kitakazekurumi 2015-06-09 11:18:30
@hnm_3433 @isozaki_yousuke
いや、むしろ放火犯であるアメリカの手をがっしりと押さえ、「これ以上火をつけるのをやめなさい」と諭すのが日本の役目です。
一緒に火を付けて回るのが集団的自衛権。

twitter.com/isozaki_yousuk…

dai @sd_dai 2015-06-09 11:18:55
「高慢な理論」を学生に追求してひたすら論破することに生きがいを求める内閣総理大臣補佐官
そして論破されるのは自分

Masayuki Kusakabe @pfd1212 2015-06-09 11:20:11
「個別的自衛権は、我が国が直接武力攻撃を受けないと、行使できません。」

そうです。それが日本国憲法で規定されているのですから。よって憲法を法律で捻じ曲げてはなりません。 twitter.com/isozaki_yousuk…

ほなみ @hnm_3433 2015-06-09 11:20:18

やばい。頭悪いし、中学生でも論破できるレベルの政治家。バカって言われて図星すぎて言い返して結果どんまい笑笑笑



しゅんすけ @sunaf_kin_R 2015-06-09 11:24:57
@hnm_3433 大臣補佐官がしばき倒されて「あなたも例え話がわからないのですか」で逃げてコールド負けね。
その前に「反論」がコピペ過ぎて話になんないけど。

ほなみ @hnm_3433 2015-06-09 11:25:38

どの国がどんな理由で日本を守る戦いをしているのでしょうか。そしてどの国がどんな理由で日本を守る戦争をする原因を作るのでしょうか。日本に何かあるなら日本に攻撃するでしょう。それは個別的自衛権で十分。んで?他に何か? twitter.com/isozaki_yousuk…



やまブし(羊の皮を被ったヤギ) @neo_yamabusi 2015-06-09 11:27:26
面倒くさそうな大人の男性には対応しない、とのこと。

twitter.com/Dethtooldo/sta… twitter.com/zeflos/status/…


DesBaleRRRna @Dethtooldo 2015-06-09 11:19:49
「××」ってなんだよ。いい年したオヤジ議員が伏字なんか使って、姑息で低劣だな。
あんた、オレには一度も返事したことないけど、まさか相手を見て態度を変えてんの?
https://t.co/8td280Ss4g.

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・ 戦争に巻き込まれない・・・という嘘

2015-06-09 15:28:56 | アベシ政府
アベシが「日本は戦争に巻き込まれることは、断じてありません」と云っている意味が分かりました。
一般の人々が戦争と考えていることを、「戦争だとは認めていない」ために、戦争に巻き込まれることは無いと断言しているのです。
アベシ内閣の国家安全保障担当内閣総理大臣補佐官である礒崎陽輔が次のようにツィッターに書いています。

礒崎陽輔


フェイスブックの北川 高嗣さんの言葉を借りると、
「戦争」はパリ不戦条約以来「禁止」されているので、戦争は起こるはずもなく巻き込まれることは無い・・・・とアベシ政権は考えているそうです。

言葉遊びが大好きで、人をだますのを得意とするアベシ・・・・・福島原発事故の汚染水についても、オリンピック誘致の際に世界中に向けて「汚染水はアンダーコントロール」されていると云っていた。また、国民の生活や安全を守るために「積極的平和主義」を貫くといい、積極的とは攻められる前にこちらから攻めて行き、相手を叩きのめし日本国内に攻めて来れなくすることを言っている。

アベノミクスなどは世界中で笑いものになっているにもかかわらず、経済は好転していると嘘八百・・・国民の多くは、物価が上がり税金・保険料等が上がり、年金は下がり給与は上がらず生活が苦しくなっている。毎年発行する国債の累計額は1000兆円を超えているが一向に改善に兆しはなし・・・・毎年国債を発行し続けているけれど、官僚の天下り先は減る気配は無し・・・・
このあたりについては、ブログの中で「日本が自滅する日」を掲載しはじめています。

選挙前にはTPPに参加せずが、積極的に参加・・・・
公約


民主党から政権交代する際に国会で党首同士が約束した「国会議員の定数削減」は知らん顔・・・・
原発を稼働せずに電力をまかなうと云っていたが、今は積極的に稼働させ、稼働期間も延長・・・・

公約


アベシ自身もおかしいが、そんな内閣をどうすることもできない自民党も相当おかしい・・・・
もっとも、これだけおかしな日本にしたのも、官僚と自民党がグルになってやったこと・・・・・
それと一緒の業界もおかしいが、こんな世界をなんとも思っていない日本人のなんと多いことか・・・・グーミン(遇民)!




・ 日本が自滅する日 第1章第4節 50兆円をバラ撒く補助金制度

2015-06-05 23:42:28 | 石井紘基


国民から税金・保険料などの名目で集めた金は、官僚が補助金の名目で好き放題にばら撒いている。それが官僚の権力を維持し、それにつながる政治屋の寄付金のもとでもあり、官僚の天下り先との接点になっている・・・・・以下、阿修羅さんのブログより刺殺された石井紘基氏の「日本が自滅する日」の第1章第4節を転載します。



第四節 五〇兆円をバラ撒く補助金制度

 国民の金で国民を囲いこむ制度

 わが国予算の中の「補助金」は約五〇兆円超である。五〇兆円といえば一年分の国税収入を超える金額だ。わが国の予算制度の基本は、政府が税金と郵便貯金や年金の積立金等を用いて行う「補助金」 の配分である。他の先進諸国のように、国民のために、主に福祉や教育、医療、治安、防衛に必要な事務経費だけを使うのではない。同様に、地方自治体がそれぞれ独自の徴税をし、税収の範囲内で必要に応じて使うのでもない。政府が民の生活を“補い、助ける”のだ。

 後に見るように「公共事業」予算も三〇兆円であり、その大部が団体への補助として配分されることを考えれば、わが国では予算は大方、補助金として使われているといえる。「補助金」とは、法律(補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律) によれば、「補助金」「負担金」、及び(利子) 「補給金」とその他「給付金」である。「地方交付税交付金」「援助金」「国際分担金等」も一種の「補助金」 である。「給付金」とは、七九本の「政令」にそれぞれ定められている「交付金」「給付金」「委託費」「助成金」などである。

 さらに、これらの他に、行政企業に出される「出資金」や「資本金」も明らかな「補助金」というべきである。それぞれの違いについてはあまり論ずる意味はない。「補助金」は、公益法人や特殊法人、業界団体、一般企業に直接支払われるものと、公共事業補助金のように建設費、整備費等の一定割合として地方公共団体や公益法人、特殊法人等を経由して出されるものに大別される。

 国・地方から「補助金」を受ける団体・企業などは数万(社)にのぼる。業界などを通じて間接的に補助金の“恩恵”にあずかる企業・団体はざっと二〇〇~三〇〇万(社)に達している。「財政調査会」が出している『補助金総覧』はA四判八四〇頁にも及ぶ大部なものであり、「補助金」の種目が非常に細かく分類されている。よく見ると同じ団体にたくさんの項目から支出されている。交付先の事業の一部始終をつかみ、金額の増減も自在にコントロールされるわけである。同時にあうんの呼吸で二重取りや不正使用が起こり易く、事実そうした事例も数多くある。

 平成一二年度一般会計の「補助金」総額は、「国際分担金」の二四〇〇億円を除いて二〇兆七〇〇〇億円。ODAの援助金を含めると二〇兆九四〇〇億円となっている。同じく「特別会計」の方は七兆余円。「地方交付税交付金」を含めると「特別会計」全体で二九兆九〇〇〇億円である。したがって平成一二年度予算の「補助金」の総合計は約五一兆円となる。これに特殊法人、認可法人が独自に支出する「補助金」を加えると、全般的な補助金はさらに一〇兆円程度は増えるだろう。一般会計の旧通産省分を例にとってみよう。『総覧』の該当欄には八五種類ほどの「補助金」が列記されている。さらに同数程度の細目があげられている。交付対象は特殊法人、財団法人(以下、(財)と略す)、認可法人、地方公共団体などのほか、多数の業界団体、商工団体、民間企業などである。団体等の職員の給与補助だけで二二〇〇人分を計上するなど、団体ぐるみ業界ぐるみで“面倒”をみている。

 支援している業界団体である(財)日中経済協会、(財)交流協会、(社) ロシア東欧貿易協会、(社)日タイ経済協力協会などの国際貿易関係団体の下には、それぞれ数百社の企業が参加している。同じく補助金を出しているのは、認可法人の産業基盤整備基金と情報処理振興事業協会や、特殊法人の新エネルギー・産業技術総合開発機構、日本貿易振興会、金属鉱業事業団、中小企業総合事業団などだが、それらの大部分はそれぞれ数百の子会社、関係会社を持っている。

 また「補助金」項目のなかにある「地域新産業創出総合支援事業補助金」「新規産業創造情報技術開発費補助金」「情報処理振興対策費補助金」等々は、大企業から中小企業までの個別の各企業に対して補助金を出し、政官権力が直接手を差しのべる、いわば“嗅ぎ薬”の役割を果たす。 少なくとも旧通産省だけで合わせて数十万社という企業に対して直接間接の支援を行っているのだから、お金をもらった企業側としても役所に頭があがる訳はない。首輪で繋がれている状態といってよい。

 こうして企業はいつも政治家を通して要望し、役所の様子を見ている。家畜や池の鯉のように常にお役人の一挙手一投足を見守り、新しい「事業予算」や「補助金」情報があれば政治家を介して瞬時に跳びつくのである。それが多くの企業のビヘイビアである。

 同じ「補助金」でも、一般会計の「補助金」と、特別会計のそれとのあいだには建て前上、若干の区別がある。つまり、一般会計の補助金が事務・管理関係の補助や経済支援に支出されるのに対して、特別会計の補助金は事業費等に支出されている。特別会計ごとの補助金額は、道路整備特別会計二兆円弱、治水特別会計九五〇〇億円、石炭・石油特別会計四〇〇〇億円、食糧管理特別会計、国有林特別会計各二八〇〇億円前後、厚生保険特別会計八〇〇億円、港湾整備特別会計六〇〇億円等々であり、支出先は一般会計の場合とほぼ同じである。

 通常多くの特殊法人、公益法人、地方公共団体等は一般会計、特別会計の両方から補助金を受け、二つの予算書を持っている。行政機関の財務に投資的ビジネスを合体させることは憲法や財政法にそぐわないからだ。正確には彼らの団体は少なくとも三つの予算書を持っている。「一般会計」と「特別会計」、もう一つは、二つを合体させた実際の運営のための公にできない予算書なのである。

 こうして政治と官庁は「補助金」を通して各種業界団体と個別企業を縛りつけ、天下り行政企業を増殖させる。そして、発注される「補助金」付きの“事業”を通して同じように“民間”を支配する。また“民間”企業の多くは官公需を通して生き延びるのである。



 集金、集票の道具

 このように「補助金」が広くビジネス領域に行きわたるということは一見政府が企業の経済活動を助けているように見えるが、じつは政治との主従関係を決定づけることになるとともに、政治が経済の本来の機能を換骨奪胎することになる。 俄然、政治家の“顔”が大きな役割を果たす世界が出現し、ビジネス界が集金と集票、天下りの道具となり、経済そのものが機能マヒに陥るのである。

 今日の日本経済、日本社会では「補助金」が「主食」となりつつあるといっても過言ではない。「補助金」の行く先を、大都市圏と地方に分けると、最近は相当に大都市圏にも広がってきたが、まだ地方の方が厚い。そもそも「補助金」の名分が、経済力の強い大都市圏から経済力の弱い地方にカネを回す予算編成上の役割とされてきたからだ。

 しかし、カネの最終的な落ち着き先という意味からいえば、大型“公共事業〟の「補助金」などは地方を経由して結局は大都市(大企業) へ戻ってくるものが多い。「補助金」支出も、また省庁による行政権限の行使として行われるため、各業界団体は日本中から中央省庁へ陳情に参上する。国会議員がそれぞれの陳情団長の役割を担う。政府の予算編成作業には二つのピークがある。八月末の各省庁概算要求締め切りと、一二月の財務省による予算編成である。これらの時期に全国から殺到する霞が問詣での人波は、さながら聖地巡礼のごとき風景である。天の恵み、お上の恩恵をさずかりに来るのである。

 国の予算を補助金で編成するということは、国民を縛ることにつながる。与党議員にとっては、政治献金を召し上げ、票をも確保する道具となる。 この国で支配的な民意は、お上の恵みへの「待望」である。地方の人たちにとってみれば、政治家の顔はカネの力を連想させる。政治家は、乾ききった地方経済の大地に、補助金という恵みの雨をもたらすことのできる魔術師なのだ。

 日本の地方は、農業も漁業も商業も自立的活力を失っている。あらゆる営みを中央省庁に管理され続けたからである。補助金の注入がなければ生きていけないように仕組まれているのが地方経済である。地方で補助金と無縁に生活できる職場は郵便局、電話局、市役所の三つに、あとは学校と商店の店員しかない。 市役所職員や学校教員の給与は、税金から支出される。郵便局は官営企業であり、電話局もかつては公共企業体だった。商店の場合、店員は補助金を意識しないですむが、経営者はそうはいかない。

 こうしてみると、地方ではもはや「官」に頼らなければ生きていけない構図が完成しているといえる。国から流れてくる補助金が主食となってしまったのである。 補助金はうわべでは「オアシス」のようにみえるが、本当は「エサのついた釣り針」である。この事実を人々は気付こうとしない。釣り針はエサに隠れているから気付かないという理屈はあるかもしれないが……。

 しかし、エサに喰いつくと、必ず上納金を納めなければならない。その上納金にはお札(ふだ)もついていく。選挙のときの「票」である。票を上納金とともに差し出すというのは、自分の身体を献上するのと同じことである。こうして、権力構造は社会の隅々に生活意識として貰徹し、維持されている、ということになる。

 地方経済が官従属になりきってしまっていることはすでに指摘した。一九九〇年代にはその官従属体質が、中央にも浸透してきたことを指摘しなければならない。つまり日本経済全体が、官従属となっているのである。

 平成一一年度以降の予算編成では、環境、情報通信、福祉、中小企業対策などにあてる特別枠が設けられた。このため、これまで目立って土木建設業界で行われていた受注のための工作に、他の業界も拍車をかけるようになった。土建業界の官従属体質が、他の産業にも広がる傾向を助長することになったのである。

 予算を補助金として支出するという手法のネライは、政・官のエゲツない税金“かすめ取り”にあるが、その結果は民間経済の活力を損なうという、さらにとんでもない効果をもたらした。最近、政府はイメージが悪くなった公共事業から、予算配分を他の投資に移そうとしている。

 しかし、それも、補助金などの財政のシステムが変わらなければ意味はない。IT産業の振興、ベンチャーの育成、福祉産業へのシフト、雇用対策予算など、耳ざわりはよさそうだが、カネの流れる仕組みは同じだ。しょせん、経済に役立つはずがない。問題は予算をどこに付けるか、ではないのである。



 農水省の事務次官と技官、宿命の対決
 補助金と政治の関係をめぐって、以下主に農業行政の問題をとりあげるのは、農林水産省が中央省庁の中でもっとも政治に強い存在だからである。政治に「最強」なのは旧大蔵省、現在の財務省に決まっていると考える方が多いかもしれない。 確かに予算配分権限をタテに、国会議員にさえアタマを下げさせるのが財務省高級官僚である。しかし、それとは別種の、都道府県、市町村などを通じて末端の有権者をどの程度つかんでいるか、という尺度で見た場合、農水省こそ政治に強いのだ。

 そうした力は、かつては参議院選挙全国区の得票で測ることができた。各省庁がOBを候補者に立てて得票を競った結果が、そのまま省庁の「強さ」を示したものだった。 最後の全国区選挙となった昭和五五年の参院選で、得票数上位一〇位以内に入った候補者のうち、事実上のタレント候補でないのは、八位の岡部三郎氏と一〇位の大河原太一郎氏の二人だけである。この二人はともに農水省のキャリア官僚OBである。

 その後、全国区は比例区に変更されたが、農水省は毎回、必ずといっていいほど、二人の当選を確保している。農水行政が末端の有権者まで締め付ける強い力量を持っていることを示す、何よりの証拠といっていい。 農水省OB候補たちの略歴を見てみると、興味深い事実に気づく。比例区に出馬するコンビが、一人は事務官出身、もう一人は農業土木技官出身なのである。

 大河原太一郎氏(東大法学部卒、事務次官で退官)と岡部三郎氏(東大農学部卒、構造改善局次長で退官) の五五年当選のコンビ、石川弘氏(東大法学部卒、事務次官で退官)と須藤良太郎氏(東大農学部卒、構造改善局次長で退官) の平成元年当選のコンビといった具合だ。

 このような組み合わせになるのは農水省の官僚構成と深くからんでいる。農水省の技官は、人事上の差別構造に押し込められている。官僚トップの事務次官はもちろん、局長にもなれないのだ。技官たちは官僚人生の大半を構造改善局(平成一三年度から農村振興局に改名)ですごし、最高ボストは構造改善局次長。それに次ぐのが同局建設部長だ。ともに官僚の世界で「中二階」と呼ばれる、局長と課長の間のポストにすぎない。

 建設省の場合、事務次官は、事務官と技官が交代で就く。しかも技官のトップのために事務次官と同格の技監というポストも用意されている。これと比較すると、農水省の技官の待遇はあまりにみじめともいえる。 その代わりに農水省の技官たちは、構造改善局を「独立王国」とすることに成功した。構造改善局も局長や農政・計画両部長、総務課長は事務官である。しかし構造改善局の仕事の中核である農業公共事業について、彼らは口を出せない。

 公共事業=土木工事に関することは、予算要求から工事の実施まで、すべて技官が取り仕切る。予算だけではない。技官の世界は人事においても独立王国である。農水省の人事担当課は大臣官房秘書課だが、技官の人事は技官グループが取り仕切り、勝手に決める。

 事務官と技官の差別の構造が温存されているという歪んだ構図が、参院選での農水省の強さを保証することになる。すなわち、通常の省庁なら一人しか出せない比例区候補を農水省だけは二人出せる。事務官・技官双方の代表である。

 技官OBの候補を支えるのは、土地改良政治連盟(土政連)である。ちなみに事務官OBには農協政治連盟(農政連)、その他の系列団体がつく。一般に農協(政治面では農政連)は日本最大・最強の集票マシーンだといわれるが、土政連は農政連をはるかに上回る力を持っている。

 土政連も農政連も、会員は農家であり、末端ではほとんどの農家が重複加盟している。そこで個々の農家の奪い合いが激しい。特定の農家が、土政連の推す候補の後援会員となり、そのルートで自民党員になるか、それとも農政連の推す候補の後援会員となるか。参院選の前年には必ず「身内の争い」が展開され、この争奪戦があるからこそ農水省の集票マシーンは強いのだといわれる。

 農水省官僚にとって、日本農業の将来像などどうでもいい。農水省の「縄張り」を維持すればそれでいいのである。縄張りの中で最も重要なものが財務省から獲得する予算であり、参院比例区での農水省OBの議席も、その一つといえる。日本の省庁はどこでも“政策なき縄張り行政〟であるが、農水省が最も著しい。私が日本の農政を「ノー政」と呼ぶ理由はそこにある。



 ノー政の補助金に群がる“名士”たち
 土政連を理解するには、「土地改良区」を知らなければならない。土地改良区は、「農用地の改良、開発、保全及び集団化に関する事業を適正かつ円滑に実施する」ため、昭和二四年に制定された土地改良法に基づいて設立されたものである。当時は敗戦後の食糧難の時代であったから、「農用地の改良、開発」などが必要だったが、コメをはじめとして国産農産物が過剰となった現在でも、こんな法律が残っていること自体がおかしいのだ。だが、現在もますます盛んなのである。

 土地改良区は、この法律によって農家が一五人以上集まれば結成できると定められており、公益法人と位置づけられている。土地改良区はほとんどすべての市町村にあるだけでなく、秋田県田沢疏水土地改良区や福島県安積疏水土地改良区といった、特定の事業に関わる土地改良区もある。その数は全国で七七〇〇にものぼる。

 これらは都道府県レベルでは「○○県土地連(略称・県土連)」を構成している。県土連の役割については後に述べる。全土連はその上に立つ全国組織であり、政治家、官僚と土建業界、それに農民の関係を調整することが役割である。表向きの業務は、全国の土地改良施設の維持・管理、資金管理、技術指導などとなっている。国と都道府県から毎年補助金が出ている。

 全土連と表裏一体の土政連が、参院選のたびに、構造改善局次長を擁して選挙戦を戦う。自民党の課すノルマに沿って後援会員や自民党員を集めるのである。その作業が、政官業の癒着の構図を三年に一度、確認・点検することになる。 全土連=土政連に群がる人々こそ、農業予算という大をな餌に群がるハイエナたちである。再び強調するが、日本に「農政」はない。莫大な補助金をばらまくだけの「ノー政」があるだけだ。ノーは無策のNOでもあり、ノーテンキのノーでもある。

 以下で、「ノー政」の構図とそれに群がる政治家の行動様式を解明するつもりだが、それには農水省予算とその大半を占める補助金について知らねばならない。 農水省の年間予算は約二兆五五〇〇億円で、そのうち二兆円は補助金として配られている。これ以外に、いわゆるウルグアイラウンド対策予算が八年間で六兆円あった時期もある。

 農水省の補助金は、団体への援助金と、土木工事に化けて消化される「公共事業」予算に二分される。その公共事業と補助金配分の権限を主に握っているのが構造改善局である。 農水省の補助金には、潅漑排水事業補助金(年間約一〇〇〇件)、圃場(ほじょう)整備事業補助金(年間一千数百件)、土地改良事業補助金(年間約一〇〇〇件)、農道整備事業補助金(年間約一〇〇〇件)、集落排水事業補助金(年間数千件)などがある。

 これら数千項目にわたる補助金の一つ一つを農水省と財務省が査定し配分額を決める。公共事業の場合、地方公共団体が主体となるものであっても、国の補助が付かなければ実施されない。このシステムの下で、地方のごく細かな畔道(あぜみち)の改修や排水施設の整備にまで、農水省が権限を握ることとなっている。

 補助金は原則として、都道府県・市長村を通じて各団体に渡るのだが、農水省から直接行くものも少なくない。たとえば、いわゆる農協五連向けである。農協五連とは、「全農(全国農業協同組合連合会)」「全中(全国農業協同組合中央会)」「全共連(全国共済農業協同組合)」「全厚生(全国厚生農業協同組合連合会)」「農林中金(農林漁業中央金庫)」のことで、県段階でも同じ組織をもっている。

 全農には二億円全中には一〇億円の補助金が出ている。前に述べた全土連への補助金は四八億円(平成一三年度)だ(全土連に対しては都道府県からもほぼ同額の補助金が出ている)。その他の業界や個別団体では(財)全国土地改良資金協会(二〇〇億円)、(社)配合飼料供給安定機構(一〇〇億円)など九二の団体に出されている。九二の団体の中には、(社)国際食糧農業協会、(社)国際農林業協力協会など海外に関する団体が一五もあり、大半が外務省など他省庁からも補助金を受けている。

 農水省が全農に出している農業構造改善の補助金の中に、「農業基盤確立事業」と称するものがある。乾燥貯蔵施設や精米貯蔵施設(ライスセンター)などの機械に対して二分の一を補助するものだ。施設は全農が事業主から委託されて建設するのだが、事業主(単位農協や生産組合)にも補助金が出る(両方に補助金が出る二重払いである)。そのさい全農は補助金のうちから、きわめて高い手数料も受け取る。たとえば新潟県広神村の施設は七%に設定されていた。

 会計検査院はこうした実態を調査し、平成二年八月、四億五〇〇〇万円の払い過ぎを指摘した。また、平成二年末には、農水省職員一八人が「業者との癒着」を理由に処分された。業者らと海外旅行や会食を重ねたためで、うち五人は、減給処分だった。

 構造改善局農業経営課の課長補佐は平成七年以降、三二回も業者と会食し、うち一七回は代金をまったく払っていなかった。この補佐はさらに「費用は負担した」というものの、業者と一緒に韓国に旅行していた。また、別の同局農政課課長補佐は、同省の外郭団体「ふるさと情報センター」に計九回で総額約四〇万円(推定)をつけ回ししていた。 処分を受けた中にはキャリア官僚三人が含まれており、高木勇樹事務次官も「職員に相当の裁量をゆだねていた点で(構造的な)問題があった」と認めざるをえなかった。


“公共事業”予算の箇所付けと国会議員の手柄
 補助金の「箇所付け」というものをご存じだろうか。補助事業の一つひとつがどこで実施されるのかを決める作業である。何万ヵ所というその「箇所付け」が省庁によって決まった瞬間、国会議員たちは省庁から示された「表」を基に競って自分の選挙区に電話をし、FAXを入れる。これこそが国会議員の「業績」なのである。

 国の補助事業を獲得したい市町村にしてみると、当該の事業を、まず都道府県の予算要求の重点項目にすべり込ませ、次に八月の概算要求の段階で各省庁の要求の中に入れ、そして各省庁と財務省の折衝で箇所付けが決まる。

 この各段階で市町村は国会議員の「お世話になる」。箇所付けが決まった瞬間に電話することによって国会議員は、自分の貢献がいかに大きかったかを実証できる。なかには役所への口利きもしていないのに自分の手柄にしてしまうちゃっかり者の議員もいる。このことは役所の方もよく心得ていて、選挙区ごとに仕分けして一覧表を議員に手渡す。

 支援した議員たちは、市町村に対し自らの系列の業者に発注するよう圧力をかける。業者は国会議員に時期を違え「上納金」を差し出す。その金額は、請負額の三%とも五%ともいわれている。 上納金だけでなく建設業者たちは、選挙のたびに集票でも議員に貢献する。大は全国レベルのゼネコンから小は個人経営の零細な土建業者まで、「われわれの営業は政治」と口をそろえる。どのレベルの土建業者も、厳しい価格競争がある民需だけではやっていけない。価格査定が甘く、しかも競争のない談合の世界である官需こそが儲けを支える。これこそ利権政治の構図である。

 地方で金持ちになり、よい暮らしをするにはどうすればよいか。農業団体でのし上がるか、与党の政治家とつき合って献金することだ。土木なら公共事業農畜産業なら補助金がある。こうして“名士”となった人は数知れないし、権勢を誇った政治家も枚挙に暇がない。こうした白アリたちを繁殖させた政治が、日本を潰してしまったのである。

 国民の立場からすれば、数万にのぼる中央省庁の補助金査定などまったく不要である。徴税も予算編成も、はじめから地方のものとすればよく、地方の細かな事業は市町村や民間法人に自由にやらせればいい。そうすれば、多くの不要な事業は行われなくなる。政治家の省庁への「顔」も不要になるから、莫大な利権と無駄遣いが消える。政治と行政はすっきりする。「官公需政治」という長らく続いている日本の政治システムを崩すには、「地方分権」という革命が必要になる。分権のかけ声だけは大きくなっているが、実効のある分権は、けっして行われない。その背景には土建屋政治と補助金でできあがった既得権益があるのだ



 土地改良予算は政治家に流れる
 土地改良区には必ず政治団体が付いている。改良区の構成員たちが「○○県土地連政治連盟」と名乗る政治団体、「土政連」を組織するのである。これが都道府県段階では「県土連」を、全国レベルでは「全土連」を組織していることはすでに述べた。

 この土政連が、年間一兆数千億円の土地改良予算の一部を政党や政治家が吸い取るパイプ役となる。他の公共事業とともにそれを受けた業者から、政治家たちが吸血鬼のようにピンバネする。農業予算は農家に行くのではなく、実際は土建業者、天下り官僚、政治家の三者が山分けしているのである。

 全国各地の土政連はまた、自民党への入党活動や党費肩代わり、政治団体への会費納入を行っている。このことは平成七年から私が国会で明らかにしてきたことだ。 土政連は、国の予算で運営されている土地改良のおカネを迂回して政治に回す団体であるが、迂回さえもさせずに、直接、全国の土地改良区が特定の政党の党費を支払っていたり、政治団体におカネを回していたことも判明した。

 二〇〇一年四月、私たちの追及に対して農水省はこの実態を調査し、「土地改良法違反」であることを正式に認めた。私は同僚三名の衆議院議員とともに「業務上横領罪」で東京地検などに告発したのである。

 私の別の調査では、農業土木族の国会議員がこうした公金を公然と受けとっていた。埼玉県土連の会長を務めている三ツ林弥太郎前衆院議員は、平成八年度だけで県土連から四五一万円、葛西用水路改良区(理事長を務めている)から三一四万円、庄内古川悪水路改良区(理事長を務めている)から八四万円の計八四九万余円を受けている。国会議員の収支報告などで表に出ている分だけでこの有様なのだ。

 浦田勝参院議員(熊本県)や鹿熊安正参院議員(富山県)、石橋一弥衆院議員(千葉県)、青木幹雄参院議員(島根県、小渕恵三改造内閣の官房長官)、農水省OBの須藤良太郎参院議員などもこの面で繋がりの強い議員たちである。 こうした報酬とは別に、土政連は多数の政治家に政治献金を行っている。たとえば須藤良太郎氏の場合は二〇〇〇万円(平成六年)を受けている。

 土地改良予算は平成五年度から一四年度までの九力年計画で四一兆円規模となっている。これら土地改良事業を推進するのが、農水省の技官である。技官は研究職まで含めると六〇〇〇人以上おり、土地改良、潅漑排水、開墾、干拓、圃場整備、農業用ダムなどの設計・審査・技術指導・監督などの権限を持つ。受注先の企業にとって絶対に逆らえない存在で、「神様」と呼ばれている。

 大手ゼネコンから中小コンサルタント会社まで、関連業界への天下りは二〇〇〇人以上(ノンキャリを含む)といわれる。平成五年のゼネコン汚職事件のとき、事務官の農水省首脳は「建設業界への天下りは自粛する」と語ったが、天下りの実態の説明を報道関係から求められると、「五階(構造改善局)に聞いてくれ」と述べたという。結局、天下り自粛など実行されていない。要するに、構造改善局(現・農村振興局) には事務官は関与できないのだ。

 巨額の予算を握る技官たちは、補助金行政と政敵家対応のプロである。予算の箇所づけのさい、「はがし」という細かい芸当をもちいる。 事実上決まっている政府案のうち、あらかじめ一部の事業を書き込まずに削っておいて、政治家が地元代表を引き連れて財務省に陳情すれば「復活」するというものだ。政治家に花を持たせる場面を用意しておくのである。こうして官僚たちは族議員を手なずける。

 構造改善局の予算はほとんどが、OBの天下り先となっているコンサルタント会社や建設会社に流れる。私が関東農政局について調査したところ、天下り企業への発注率は九割以上だった。天下りの受け入れを減らした企業には、パタッと仕事が来なくなる。それは 「見事なものだ」と多くのゼネコン関係者が証言するほど徹底されている。

 毎年一兆二〇〇〇億円にのぼる構造改善局予算を自由に動かすのは、全土連を中心にした政・官・業連合の集団である。そのボスが元参院議員で全土連会長を務める“土地改良のドン”梶木又三氏だ。 梶木氏こそ、農水省技官OB参院議員の草分けである。京都帝大農学部農林工学科を出て農林省に入り、農地局建設部長で退官。昭和四六年の参院選で当選し、参院議員を三期つとめた。環境庁長官などを経て自民党参院幹事長となり、平成元年の参院選を機に引退した。

 その辣腕(らつわん)ぶりを示すものが、全国土地改良資金協会の存在である。梶木氏引退の翌平成二年に設立され、梶木氏が理事長に就任した。基本財産は一億円で、農水省と全土連が五〇〇〇万円ずつ拠出した。農水省からは別に平成六年度までに一〇〇〇億円が支出され、三年度までにさらに一〇〇〇億円出された。

 この団体の主たる目的は、「土地改良区を支援すること」である。いってみれば、公共事業のお先棒を担いでくれている単位土地改良区に対して、利子補給などの形でお駄賃をやるのである。土地改良などの農業公共事業は、表向き「受益者負担」の形をとっているが、その受益者負担分についてはこの利子補給などで面倒を見ているのだ。完全な二重払いである。 そうでもしなければ、公共事業は維持できない。「受益者」とされる農家は、その負担分の借金にあえいでおり、新しい負担など引き受けようとしないからだ。農家を無理やり受益者に仕立て上げて公共事業を維持するのが、この資金協会の役割である。まるで「やらせ」だ。農業公共事業は、しょせん政治と役所の都合で行われる“狡凶(こうきょう)”事業であることを証明している。

 資金協会の常勤役員である専務理事は農水省の天下りである。



 生産性向上に役立たない農業構造改善事業
 全土連と単位土地改良区をつなぐ(県)土連の会長には、農水系国会議員や県議、知事などが据わっている例も多い。(県)土連は単位改良区から事業実績に応じた賦課金を徴収する。

 土連の仕事は、改良区への技術指導との建て前であるが、実際には建設および維持・補修のコンサルタント業務が主である。市町村の改良区から事業の設計委託が回ってくる。土連は、適当な建設コンサルタントを選び、設計・工事を丸投げ発注する。丸投げする対象となる建設コンサルタントは、なれ合いの構図で決まっていくことはいうまでもない。

 土連と密接な関係にあるのが、(社)土地改良建設業協会である。名前の通り、土地改良事業と関係の深い土建業者の団体で、両者が組んですべてを仕切るため、協会に入っている業者以外にはまず仕事は与えられない。

 工事が分配され予算が業者に渡った段階で、土政連の出番となる。各業者の公共工事契約実績に合わせて寄付を集めるのだ。業者の差し出す寄付金は当然受注の見返りである。公共事業の見積もりは甘いから、寄付金を「上納」しても十分儲かる。また「上納」しなければ来年度の予算は保証されないのである。この寄付金は、経理上使途不明金として処理される。 土政連、土連に寄付を出す業者は、都道府県、市町村レベルの農業土木関係職員の天下り先でもある。こうして都道府県・市町村段階の自治体もまた、「中央」と同様の官尊民卑体質にはまっていく。

 農業振興、農地保全の名目で税金がこのように使われ、世界一コストの高い農地事業を生んでいる。他方、農家には受益者負担が背負わされる。改良事業・整備事業の農家負担は三〇〇坪(一反歩=一〇〇〇平方メートル)あたり七万円から二五万円だといわれる。そこで最近では 「農地事業を正規にやると高くつく」と、農家が個人で事業を発注するケースが増えているという。

 国道や県道で十分な地域に、立派な農道が延々と走っている。公共下水道のすぐ隣に、並行して農業用の排水施設が作られる。これらは重複した投資であって、典型的な無駄である。さらには利用価値のない農道空港が各所に建設されている。結局、農業構造改善事業は、政治家・官僚・土建業者以外、誰のためにもなっていないのである。

 農産物の輸入自由化の波を受けて、日本の農業は大きな変革を迫られている。どの分野でも、競争力が強く、経営基盤が安定した、自立した農家を育てなければならないはずだ。それなのに農水省は、農業生産のコストを上げ、農家を生かさず殺さずの状態にしておいて、補助金の鎖で縛りつける政策をとっている。なぜか。それこそが、官僚機構と政治家の生き延びる道だからである。

 その典型がコメの減反政策である。都市近郊農家もコメどころも、丹精して美味いコメを作ろうと努力している農家も、会社勤務の片手間に「休日農業」でコメを作っている農家も、すべて一律に減反を課し、その見返りに補助金を支給する。こんなことが、日本のコメ農業の未来につながらないことは、子どもでもわかる。



新橋の天下御免の政官業伏魔殿
 東京都港区新橋五ノ三四ノ四に、農業土木会館という五階建てのビルがある。表札が出ている部屋は一部で、表札のない部屋も多い。 表札が出ているのは、土地改良建設協会(社団法人)、全国土地改良政治連盟(政治団体)、土地改良人自由国民会議(政治団体)、土地改良測量設計技術協会(社団法人)、農業土木事業協会(社団法人)、農業土木機械化協会(社団法人)、日本農業土木コンサルタンツ(株式会社)、農業農村整備情報総合センター(社団法人)、海外農業開発コンサルタンツ(社団法人)などだ。ほとんど農業利権にからんだ団体で、この薄汚いビルは天下御免の「政官業伏魔殿」といえる。

 私はこれらの団体間の金の流れを調べてみた。以下に書くのは旧自治省に届けられた分だけだから、実際に裏で還流している使途不明金は計り知れない。

 全国土地改良政治連盟の平成七年度の収支報告書によれば、収入は一億一六八二万円(うち七年度に受け入れた収入は五五八四万円)。その内訳は、全国五四の土地改良政治連盟から各三〇万円ずつなどで一六五〇万円。個人会員からの会費が二六〇八万円などとなっている。支出の部では、全国一五三の土地改良政治連盟に、それぞれ一〇万円から五〇万円ずつ配られている。

 次に、土地改良人自由国民会議の政治資金収支報告書を調べてみる。平成七年度収入は六四二四万円(前年度繰り越しを含め七〇〇〇万円)。妙なことに、この収入の大部分に当たる六四二〇万八〇〇〇円が、自由民主党の政治資金団体である自由国民会議から入っている。そのうち約二二〇〇万円が、全国土地改良政治連盟(一二一四万円)、宮崎県農業農村建設政治連盟(三八〇万円)、自由民主党福岡県土地改良支部(一七四万円)、自由民主党岩手県土地改良支部(一三九万二〇〇〇円)などに配られている。

 カネの流れは、きわめて複雑だ。土地改良人自由国民会議という団体は事務経費ゼロ。どうやら自民党の政治資金団体から金を受け取って、地方の自民党「土地連」一家に配っているトンネル団体のようだ。 さらに妙なことが出てきた。全国土地改良政治連盟の前述以外の支出である四五一三万六〇〇〇円は、自由国民会議への立替金とされている。ところが、自由国民会議の収支報告書にはこれについて影も形も出てこない

 自由国民会議からの収入として記載されている六四二〇万八〇〇〇円のうち、四五一三万六〇〇〇円が未収であるということが考えられる。かりに、その未収分を立て替えという形で計上したとしても、自由国民会議の収支報告には、実際に支払った金額と立て替えてもらった金額が計上されなければならないはずだ。しかし、その計上もなされていない。今日に至るも修正もされてい
ない。四五一三万六〇〇〇円がどこかに消えてしまっているのである。旧自治省も、私の国会での追及に違法の疑いを認めた。

 冒頭に述べたように、農水省は参院選の比例区で事務官と技官の二人を当選させてきた。ところが、平成一〇年の参院選で「異変」が起きた。恒例となっていた事務官のトップ、次官経験者の立候補が実現しなかったのである。原因は、その六年前の平成四年選挙のさいの名簿順位が、岡部氏五位、大河原氏一〇位と、それまでとは逆転したことにあるといわれている。

 このことが事務官のプライドを傷つけた。大河原氏は平成六年に成立した村山富市内閣の農相に起用されたほどの大物だ。その大河原氏が、構造改善局次長にすぎなかった岡部氏の後塵を拝することに、事務官たちは我慢ができなかったに違いない。このため後継者選びは難航した。

 大河原氏が引退を表明し、何人かの候補者が浮上したが、いつの間にか消えた。迷走を続けた揚げ句、元農水省農蚕園芸局長の日出英輔氏に落ち着いたが、次官を出す伝統は絶たれてしまった。こうした事務官の自民党に対する抵抗をよそ目に、技官の方は早々と後継者を決めていた。技官トップの構造改善局次長だった佐藤昭郎氏である。自民党候補者名簿の順位は、佐藤氏八位で、
日出氏は九位。この選挙でも技官は事務官に勝った。この技官の勝利こそ、農業土木をめぐる政官業癒着が健在であることを示している。



 農地拡大のご褒美としてもらった夢の橋

 補助金を受けるために求められるのは、基本的には官僚への忠誠心である。ここで、官僚への忠義だてによって生まれた想像もできないようなケースを一つ紹介しょう。とは言っても無数にある類似のケースの中のひとつで、これだけを採りあげるのははばかられるのだが……。それは鹿児島県最北端の東町にかかった伊唐大橋である。

 東町は、八代海(不知火海)に浮かぶ一八の島々で構成される島の町で、町役場は長島にある。伊唐島は、長島の北東に浮かぶ面積約三七〇ヘクタール、周囲一八キロの小島で、約一二〇戸、三〇〇人が住んでいる。じゃがいもの産地として知られ、東京や大阪にも出荷している。 伊唐大橋は全長六七五メートルで、平成八年八月に開通した。着工以来、六年かけ、総工費は一二三億円にのぼった。つまり、伊唐島の住民一世帯につき一億円以上のカネが注ぎ込まれた計算になる。東町も鹿児島県も財政が豊かなわけではない。それなのにどうして、この橋が架かったのだろうか。

 建造費の内訳は、国が五〇%、県が約四九%、町は約一%となっている。県はその拠出額の九五%について地方債を発行した。つまり、大半を借金で賄ったのである。その借金の元利返済額の八割は、地方交付税があてられる。地方交付税は本来、一定の配分方式で地方自治体に配分する金だから、すべての都道府県・市町村が少額ずつ損をしていることになる。その分、鹿児島県は得をしたことになる。

 橋の紹介看板には「農林漁業用揮発油税財源振替農道整備事業」とある。揮発油税(ガソリン税)は本来、旧建設省所管の特定財源として道路特会に入れられる。しかし、農水省はその一部は農機具用ガソリンからの税収だとして、農家に還元すると主張。その分の使途は農水省が決めることになったという経緯がある。

 地方交付税、特会など、財政のからくりをフルに利用して、この「夢の橋」ができた。通行量は、計画段階では一日五〇〇~一五〇〇台とされていたが、開通後の実測では、平均三〇〇台程度しかない。一時間に一二台強、五分に一台が通るだけということになる。

 東町が伊唐大橋をかけたいと陳情し始めたのは一九七〇年代だった。一九八〇年代に入ると、橋を架けるには「農道橋」しかないと、陳情の対象を農水省に絞った。すると、農水省の側から、島の農地を増やせば「農産物を運ぶ橋」として説得材料になるという示唆があった。 東町は伊唐島の農家に、橋を架けるための農地拡大を呼びかけた。当初は三割が反対だった。「橋はありがたいが、労力と金銭の負担が増える」「農地を増やされても、年寄りばかりで担い手がいない」という理由だった。

 最終的には町職員が説得に回り、全世帯に協力させた。島の農地面積は、九〇ヘクタールから一七一ヘクタールへと、倍近くに拡大した。伊唐島の住民は、農業を見捨てず、逆に農地を拡大した。農水省という「お上」に忠実だったのである。そのご褒美として、農道橋というプレゼントをもらったのだ。

 旧国土庁は平成一〇年、全国の離島架橋の投資効果を分厚いリポートにまとめたが、その中に伊唐大橋の利点も強調されている。「島の農地面積は、造成前の九〇ヘクタールと合わせて一七一ヘクタールとなりほぼ一〇〇%作付けされている」という記述だ。橋をかけさせるための戦術が、逆に橋によるメリットとされているのである。

 平成七年には、東町の女子高生が、橋の建造が進んでいることに感謝する作文を書き、国税庁の「税を知る週間」作文コンクールに応募した。そして、「一本の橋が欲しい。国民の方々が納めてくださった税金のおかげで、伊唐島の人の生活は必ず変わります」という文章で国税庁長官賞を射止めた。

 こうして「夢の橋」伊唐大橋を肯定する神話がどんどん作られていくのである。

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