どっと屋Mの續・鼓腹撃壌

引き続き⋯フリーCG屋のショーモナイ日常(笑)

加藤典洋さん、逝去

2019年05月21日 21時05分00秒 | 話題
え?あの人だよね?...ってちょっと驚きました。

「シン・ゴジラ」公開時、世間的にも話題を喚び、映画評論家やオタク・マニア以外の政界・ジャーナリスト・社会文芸学者なども物を言わずにはいられなかった...私も雑多にいろんな評論文を読みあさりましたけど、そんな中でもかなり印象深い文章を書いた人が加藤さんでした。

早稲田大学名誉教授にして文芸評論家とのことですが、個人的にはよく知りませんし、他の著作も触れていませんので、多くを語ることはできません。

ゴジラについては昔から大ファンだったようで、「シン・ゴジラ」以前にも「さようなら、ゴジラたち――戦後から遠く離れて」という本も出されています。

全てが新しくなった「シン・ゴジラ」も大いに楽しまれたようで、「『シン・ゴジラ』、私はこう読む Kindle版」や「『シン・ゴジラ』をどう観るか」に寄稿されています。

総監督・庵野秀明さんも映画会社と戦って勝ち取った作品の神髄を見事に見抜いている...そんな一文をご紹介します。
人間なので、本来ならいろいろな喜怒哀楽を抱くはず。だけれど、そこからあえて深みを取り去ることで、別の新しいリアリティ ーを取り出すことに成功しているのです。街も人間も空も雲も同じ線で描かれる、という意味で、実にアニメ的な手法で私たちを引き込んでいると感じました。
<中略>
死体はいっさい出てこない。血もどこにも流れない。汚濁、見たくないものは全部、視界から隠され、抑圧されている。その抑圧されたものが全部、ゴジラに集約されている。そしてそのゴジラが、すべての画面に現れないものの体現者として、大量の血を流し、苦しみながら歩む。あれは野村萬斎の動きを記録してCG化したらしいですね。お金がかかっています(笑 )。まさに「修羅」が「四月の気層のひかりの底を/唾しはぎしりゆきき」しているのです。

上記全文ネットで公開されており、こちらで読むことが出来ます。

享年71歳ですか...もうちょっと色んなお話しを聞いてみたい方でしたね。

ご冥福をお祈りします。

合掌。