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キリシタン用語(16)「アンジョ」

2017-09-24 08:34:58 | キリシタン用語
  天使はキリスト教の専売特許とは限らない。ユダヤ教にもイスラム教にも存在する。
 ユダヤ教の天使には背の高さが世界の大きさの半分に達するのもいるらしい。
 イスラム教の天使についても詳しくないので、ウィキペディア「天使」をご覧いただきたい。
 
 【ジブリールから啓示を受ける預言者ムハンマド(集史より)。ウィキペディア「天使」より】
 上の絵にはムハンマドと天使が描かれているが、イスラム教ではこのような絵は偶像崇拝につながりかねないので、禁止されているはずではないのか。
 出典の「集史」について調べてみると、これはモンゴル人によって書かれているので、ムハンマドも天使も平気で描かれているわけである。
 さて、キリシタン用語「アンジョ」はカクレキリシタンおよびその研究家以外にはあまりなじみがないのではないだろうか。筆者もキリシタン用語について調べていくうちに初めて知った言葉の一つである。
 「アンジョ」はこれまた、ポルトガル語 anjo に由来する。スペイン語の ángel (アンヘル)と同形だが発音が違うのかと思ったが、予想が外れた。
 「アンジョ」は『天地始之事』に頻出する。最初に現れるのは次の一節である。
 月ほしを御つくらす万のあんじよ思召すままにめしよせたもふ
 旧約聖書『創世記』には天使が月ほしをつくったという記述はなかったかと思うが、『天地始之事』は『創世記』とは別物であるので、かたいことは言わない。
 ところで、映画『沈黙 -Silence -』のころ(17世紀初頭)のキリシタンたちは「アンジョ」と聞いて、どんなイメージを持ったのだろうか。
 「天女」を思い浮かべたのではないかと想像する。
 
 「天女」は天使と違って、女である。また、神様の伝令の仕事をしているわけではない。しかし、「アンジョ」の「ジョ」が「女」に通じるので、やはり「天女」は日本版「天使」として捉えてもいいような気がするのである。 

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