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キリシタン用語(18)天主

2018-05-06 15:58:50 | キリシタン用語
 平成30年(2018年)5月4日に、日本国政府は国連教育科学文化機関(ユネスコ)諮問機関の国際記念物遺跡会議(イコモス)が、「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」(長崎県、熊本県の12資産)を世界文化遺産に登録するよう勧告したと発表した。
 ここでは「潜伏キリシタン」という用語が使われているが、いわゆる「隠れキリシタン」のことである。
 「関連遺産」とは具体的には、「島原・天草一揆」の戦場になった「原城跡」や「大浦天主堂」などのことである。
 島原の乱の「原城跡」については「島原の乱と聖ヤコブ」でも触れているので、そちらをご覧いただきたい。
 今回のメインは「大浦天主堂」の「天主」である。実は、これは外来語である。ポルトガル語 Deus(英 God、西 Dios:ラテン語も Deus)から日本語になったキリシタン用語である。「ダイウス、デウス(泥烏須、提宇須、天有主)、天主」などと表記される(小学館『西和中辞典』)。
 「天にまします我らの父(主)」から「天主」になったのではなく、「デウス」という音が先にあり、それがこの祈りの言葉に結び付けられたものと考えるのが妥当だろう。
  さて、本来なら、キリシタン用語のトップは「天主」にすべきであったが、盲点であった。カトリックのことを「天主教」とも呼ぶが、「デウス教」がなまったものである。英語を使えば「ゴッド教」、完全に日本語にするなら、「神様教」といったところである。
 ところで、外国語の音に漢字を当てはめるのを音訳というが、代表例は「治具」(英 jig)、合羽(ポ capa:スペイン語も同形。 英 cape)である。「画廊」(gallery)、「簿記」(bookkeeping)、などもこれに当たるようなことをどこかで読んだ気がするが、出典がはっきりしない。
 どうも話があちこち飛ぶが、「天主」といえば「天守閣」を連想する。「天守(閣)」という語がもとになって「天主」という漢字が当てられたのかとも考えられる。そこで、ウィキペディア「天守」を調べてみたところ、「天守」の語源には意外にも「天主(ゼウス)を楼閣内に祀ったからというキリスト教思想に由来する説」もあるとのこと(注:「ゼウス」は「デウス」の誤り)。他にも諸説あるので、リンクを参照されたい。
 それにしても、「デウス」説はいかにも取ってつけたようで、にわかには信じがたい。

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