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キリシタン用語(10) 「サクラメント」

2017-09-14 17:33:24 | キリシタン用語
  最近では「ゆるしの秘蹟」という名になっている、いわゆる「告白」はキリシタン用語では英語の confession に相当するポルトガル語 confissão に由来することは前回述べた。
 この正式名称はラテン語で Sacramentum Poenitentiae et Reconciliationis、英語で Sacrament of Penance and Reconciliation というが、英語 sacrament に相当するポルトガル語 sacramento (スペイン語も同源同形)からキリシタン用語の「サクラメント」になった。「サカラメント」という語形もある。日本語訳は「秘蹟」であるが、最近は「秘跡」とも表記される。
 この言葉は映画『沈黙 -Silence -』には出てこなかったような気がする。キリシタンたちは「桜」に関連付けて、すぐに覚えたことだろう。 
 sacrament (西 sacramento) の関連語には次のようなものがある。
 sacred (西 sagrado 女性形は sagrada。Sagrada Familia は「聖家族」。)
 sacrifice (西 【動詞」sacrificar, 【名詞】sacrificio)
 ところで、カリフォルニア州の州都はロサンゼルス(Los Angeles)でもサンフランシスコ(San Francisco)でもなく、サクラメントである。都会ではあるが、大都会というほどではなく、日本人にはあまりなじみがないと思う。当然、「ゆるしの秘蹟」の「サクラメント」に由来する。
 
 【サクラメント川近くからのサクラメント市風景。ウィキペディア「サクラメント(カリフォルニア)」より】
 カリフォルニアはかつてはメキシコ領であり、地名にはロサンゼルスやサンフランシスコをはじめ、スペイン語名のものが多い。「サクラメント」もその中の一つである。そうすると、当然 Sacramento と語末に o をつけなければならない。英語の普通名詞が sacrament なので、アメリカ人でも間違える人が多いのではないかと想像する。
 同様につづりを間違えそうな都市がフロリダ州にある「オーランド」である。「○○ランド」の連想で Orland と書いてしまいそうだが、Orlando と語末に o をつけなければならない。「オーランド・ブルーム」という俳優がいるが、つづりを間違えるようではファンの資格はない。
   
 それはともかく、サクラメントにしてもオーランドにしても、スペル・ミスを防ぐためにカタカナ表記は「サクラメントー」や「オーランドー」にすべきではなかろうか。実際、ヴァージニア・ウルフの作品“Orlando”は「オーランドー」と表記されている。

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