スパニッシュ・オデッセイ

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エスペラント(4) 人称代名詞

2015-09-05 11:25:20 | エスペラント
  前回はエスペラントの1人称単数形 mi について述べたので、今回はその他の人称代名詞について述べよう。
 1人称複数形は英語では we だが、エスペラントでは ni である。英語とは全然関係ないが、ロマンス諸語では2人称複数の人称代名詞は n で始まっている。フランス語は nous、スペイン語は nosotros、そして、イタリア語は noi で、これが一番エスペラントに近い。
 2人称の代名詞は後述するとして、3人称の代名詞について紹介する。
 3人称単数男性は英語では he だが、エスペラントでは li で英語とは関係なさそうである。イタリア語では lui であり、ここから採られたようだ。
 3人称単数女性は ŝi (シ)で、英語との関連が伺える。
 英語の it に相当するのは ĝi (ヂ)であるが、ロマンス諸語とは関係なさそうである。
 3人称複数の代名詞は英語では、he, she, it がすべて they になるように、エスペラントでも ili だけである。これはフランス語の3人称複数の代名詞 ils に近い。
 さて、問題は2人称である。英語では you が単数と複数の両方で使われるように、エスペラントでも vi が単複両者に使われる。
 ただ、英語の本来の2人称単数の代名詞は thou だったが、現在では文語で、シェークスピアが好きな人にはおなじみの言葉である。つまり、you は本来、複数の代名詞だったのが、単数にも用いられるようになったのである。
 2人称の代名詞については「主なヨーロッパの言語の2人称の敬称」と「2人称の敬称(続)」を参照されたい。
 エスペラントでも、やはり聞き手に対する敬意の表現を考慮したのだろうか。英語は、大統領に対しても犬に対しても you と言うが、敬意は人称代名詞以外のところで表現されている。
 意味を明確にするために、エスペラントの2人称単数の代名詞は vi ではなく、ti (または、di)にしてほしかったのだが、ti (または、di)という単語が別にあるのだろうか。 


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