スパニッシュ・オデッセイ

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エスペラント(3)

2015-09-04 08:26:17 | エスペラント
  エスペラントの語彙はロマンス語(フランス語・スペイン語等)から多く採用されているので、スペイン語を知っていれば、学習は簡単である。
 例を挙げる。
 Saluton   こんにちは(等)。スペイン語の“salud”(健康。「乾杯」の意味も)に関連付けられる。
 Mi estas Tanaka.  私は田中です。
 主語の“mi” は英語の“me”を連想させるが、スペイン語にも“mi”という形はある。英語の“my”に相当する。また、“mí”というアクセント記号をつけた形もあり、こちらは前置詞格で、英語の“me”に相当する。ニューギニアのピジン語でも「私」は“mi” である。
 “Mi estas Tanaka”はちゃんとしたスペイン語では“Yo soy Tanaka.”だが、エスペラントの“estas”はスペイン語の“estás”(動詞 “estar”の直説法現在2人称単数の活用形)を連想させる。スペイン語には英語の be動詞に相当するものが2つあり、永続的な属性(国籍、性別、職業など)をあらわすときには“ser”、一時的な状態のときは “estar” (英 “stay” の関連語)を使う(細かいルールはもちろんある)ので、“Mi estas Tanaka”は、スペイン語の感覚では「私は(一時的に)田中です」(一時的に田中さんにだれかの霊が乗り移っているのだろうか)といったところだろう。
 ちなみに、アクセント記号のない“estas”はスペイン語では英語“these”に相当する“estos”の女性形である。エスペラントの“mi estas”はそのままでスペイン語の単語になっていて、英語に逐語訳すると“my these”になるが、“estas” が複数形なので、“mi”も複数形の“mis”にしなければならない。ただ、英語の“my these”という言い方が変であるように、“mis estas” もやっぱり変である。英語では“these +名詞+ of mine”と言わなければならないように、スペイン語でも“estas +名詞+ mías”にしなければならない。 
  ということで、“Mi estas Tanaka”は、ブロークン・スパニッシュとして理解はされそうである。


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