エスペラントの文法はやはりヨーロッパ諸語に基づいているが、英語よりももっと簡素化されている。
語順は英語のように固定されていない。 SVO でも SOV でも OSV でもよい。
そのわけは、対格(目的格)にある。
対格(目的格)の名詞や代名詞には語尾に n がつく。1人称単数代名詞 mi を例にとると、主格は mi、所有格は mia、対格は min で、他の人称代名詞も同様の変化をする。エスペラントの場合は、代名詞だけでなく、名詞の対格にも n を付けるわけである。名詞だけでなく、対格の名詞を修飾する形容詞にも語尾に n を付けなければならない。この点は英語の方が簡単でよい。
スペイン語にも似たような現象はある。エスペラントのように対格の語尾に n を付けるのではなく、対格の名詞の前に a (英語の to に相当)を付けるのである。
たとえば、“Juan ama María” とやると、どちらがどちらを愛しているのかわからない。英語なら、“John loves Mary”は 「John が Mary を愛している」ことになるのだが。
“Juan ama a María”にして、やっと「Juan の方が María を愛している」ことがはっきりするわけである。
“A Juan ama María”と、目的語と主語を倒置した言い方もできる。
スペイン語も英語の SVO 構文のような語順が一般的であるが、必ずしも語順で意味が決まるわけではない。
amar (愛する)という動詞の主語と目的語の両方が人の場合、対格表示が必要になる。解釈が1通りしかないような場合は、対格表示の a は不要である。
語順が自由であれば、対格表示のための何かが必要だろうが、英語や中国語のように語順を固定すると、エスペラントの対格表示の n は不要になる。
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“A Juan ama María”と、目的語と主語を倒置した言い方もできる。
スペイン語も英語の SVO 構文のような語順が一般的であるが、必ずしも語順で意味が決まるわけではない。
amar (愛する)という動詞の主語と目的語の両方が人の場合、対格表示が必要になる。解釈が1通りしかないような場合は、対格表示の a は不要である。
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