「今日は雨、降るんだろうか?」
そんなことを考えながら、会社のドアを開けると、見慣れたような見慣れないような警察関係と思しき人が数人、そこかしこと動き回っていた。
「何事なの?」と私は同僚のミサ子に小声で聞いてみる。
「うん、なんでもうちの倉庫で死体がみつかったんだって。倉庫の隅におかれていたトランクから黒く腐った腕が出ていたらしいよ」とミサ子。
「吉田さんだ!!」と私はとっさに思った。
でも何故?私はトランクをしっかり閉めたはずだが…。
一瞬あの夜のことがフラッシュバックする。
そのことに気をとられていて、私は一人の刑事が近づいてくるのに気がつかなかった。
「大野さんですね?ちょっとお話をお聞きしたいのですが」
私はビクっとなって後ろを振り向いた。
人のよさそうならっきょう顔の刑事が、にこにこしながら、でも眼だけは笑わずに話しかけてきた。
「今日、こちらの会社の倉庫で死体が見つかったのですが、こちらで働いていた吉田栄二さんではないかと思われるんですよ。で、吉田栄二さんについてちょっとお話をうかがいたいのですが…」
私の心臓はばくばく言いだした。
ああ、なんて答えたらいいんだろう。
へたなことを言ったら怪しまれるに決まっている。
何年も使っていないあの倉庫に一体誰が入っていってあれを見つけたのだろう。
こんな時、俳優だったらしれっとした顔で嘘を並べ、もっともらしいことを言えるんだろうけれど…。
いや、しかし待てよ、私は昨日吉田さんに会ったはずだ。
無理な仕事を頼まれて、私はさんざん文句を言ったはずだ。
「昨日、仕事を頼まれて…ちょっと喧嘩みたいな感じになりましたけど…」
「大野さん、吉田さんの死体は黒く腐っていて誰だか判別できないくらいなのです。亡くなってから何週間もたっていると思われるんです」
らっきょう顔が怪訝な顔で私を見ているのがわかった。
そうだ、私が殺したんだから…でも昨日私は確かに彼と話をした。
「これは夢?」
何が現実で、何が現実でないのか全くわからない。
でも何週間も前に私は確かに彼を殺した。そしてばらばらにしてトランクに詰め込んだ…。
それでいながら私は昨日確かに彼と話をしたのだ。彼から渡されたデータが今手元にあるのだから。
ああ、どうしよう。
変な女だって思われたかしら。
私が殺したってばれたかしら。
このまま知らぬ存ぜぬで通せば、逃げ切れるかしら。
全身が心臓になったように、ばくばくばくばく音をたてる…。
そして眼が覚めた。
でも頭が完全には覚醒していなかった。
一瞬、私が本当に吉田さんを殺したのではないかと思って、しばらく布団の中で昨日のことを思い起こしてみる。
「吉田さんは昨日、文句を言いながら、見積作っていたよなあ。生きてた生きてた。それにうちの会社に何年も使ってない倉庫なんてないもんね…。ああイヤな夢だった」
今回の夢で私は少なからずショックを受けた。
(夢の中で)人を殺したのに、全く罪悪感を感じていなかったからだ。
それより「このまま黙っていれば、逃げ切れるかも。いや、でも警察は見抜いていて私を泳がせて証拠を掴むつもりなのかも。だったら自首した方がいいんだろうか。けれど私が捕まったら、家族は世間からどんな目で見られることか…。やっぱりこのまましらをきりとおすしかない」
なんてことを真剣に考えていたのだ。
私は夢の中で一瞬だけど、本当の犯罪者になっていたような気がした。
しかし夢の中とは言え、全く罪悪感を感じないなんて…。
ちょっと凹んだ…。
こんな夢を見るなんて、ノリエガちゃんの変な(?)映画の見すぎかしら…。
どうせならノリエガちゃんが登場してくれればよかったのに~~~~~~!!!
残念!!!
(本当に凹んでいるのか自分…)
そんなことを考えながら、会社のドアを開けると、見慣れたような見慣れないような警察関係と思しき人が数人、そこかしこと動き回っていた。
「何事なの?」と私は同僚のミサ子に小声で聞いてみる。
「うん、なんでもうちの倉庫で死体がみつかったんだって。倉庫の隅におかれていたトランクから黒く腐った腕が出ていたらしいよ」とミサ子。
「吉田さんだ!!」と私はとっさに思った。
でも何故?私はトランクをしっかり閉めたはずだが…。
一瞬あの夜のことがフラッシュバックする。
そのことに気をとられていて、私は一人の刑事が近づいてくるのに気がつかなかった。
「大野さんですね?ちょっとお話をお聞きしたいのですが」
私はビクっとなって後ろを振り向いた。
人のよさそうならっきょう顔の刑事が、にこにこしながら、でも眼だけは笑わずに話しかけてきた。
「今日、こちらの会社の倉庫で死体が見つかったのですが、こちらで働いていた吉田栄二さんではないかと思われるんですよ。で、吉田栄二さんについてちょっとお話をうかがいたいのですが…」
私の心臓はばくばく言いだした。
ああ、なんて答えたらいいんだろう。
へたなことを言ったら怪しまれるに決まっている。
何年も使っていないあの倉庫に一体誰が入っていってあれを見つけたのだろう。
こんな時、俳優だったらしれっとした顔で嘘を並べ、もっともらしいことを言えるんだろうけれど…。
いや、しかし待てよ、私は昨日吉田さんに会ったはずだ。
無理な仕事を頼まれて、私はさんざん文句を言ったはずだ。
「昨日、仕事を頼まれて…ちょっと喧嘩みたいな感じになりましたけど…」
「大野さん、吉田さんの死体は黒く腐っていて誰だか判別できないくらいなのです。亡くなってから何週間もたっていると思われるんです」
らっきょう顔が怪訝な顔で私を見ているのがわかった。
そうだ、私が殺したんだから…でも昨日私は確かに彼と話をした。
「これは夢?」
何が現実で、何が現実でないのか全くわからない。
でも何週間も前に私は確かに彼を殺した。そしてばらばらにしてトランクに詰め込んだ…。
それでいながら私は昨日確かに彼と話をしたのだ。彼から渡されたデータが今手元にあるのだから。
ああ、どうしよう。
変な女だって思われたかしら。
私が殺したってばれたかしら。
このまま知らぬ存ぜぬで通せば、逃げ切れるかしら。
全身が心臓になったように、ばくばくばくばく音をたてる…。
そして眼が覚めた。
でも頭が完全には覚醒していなかった。
一瞬、私が本当に吉田さんを殺したのではないかと思って、しばらく布団の中で昨日のことを思い起こしてみる。
「吉田さんは昨日、文句を言いながら、見積作っていたよなあ。生きてた生きてた。それにうちの会社に何年も使ってない倉庫なんてないもんね…。ああイヤな夢だった」
今回の夢で私は少なからずショックを受けた。
(夢の中で)人を殺したのに、全く罪悪感を感じていなかったからだ。
それより「このまま黙っていれば、逃げ切れるかも。いや、でも警察は見抜いていて私を泳がせて証拠を掴むつもりなのかも。だったら自首した方がいいんだろうか。けれど私が捕まったら、家族は世間からどんな目で見られることか…。やっぱりこのまましらをきりとおすしかない」
なんてことを真剣に考えていたのだ。
私は夢の中で一瞬だけど、本当の犯罪者になっていたような気がした。
しかし夢の中とは言え、全く罪悪感を感じないなんて…。
ちょっと凹んだ…。
こんな夢を見るなんて、ノリエガちゃんの変な(?)映画の見すぎかしら…。
どうせならノリエガちゃんが登場してくれればよかったのに~~~~~~!!!
残念!!!
(本当に凹んでいるのか自分…)