もし何かの才能があって、しかもルックスも抜群で、みんなにちやほやされるような生活を送っていたら…こいつのようになるんだろうか。
ライトニング・マックィーン。
彼はカー・レースの最高峰ピストン・カップに出場するレーシングカー。ルーキーながら天才的な実力と圧倒的な人気を誇っていた。
だが、性格は「自信過剰」で「ルックスばかり」気にしていて「自分のことしか考えない」ヤツだった。
そんなマックィーンがとあることから、ルート66沿いのさびれた田舎町へ迷いこんでしまう。
マックィーンは猛スピードで田舎町を抜け出ようとしたが、保安官シェリフに見つかり、スピード違反で捕まりそうになる。
パニックにおちいったマックィーンは町の道路をメチャクチャに破壊してしまい、道路の補修を済ますまで町に足止めされることになるが…。
小さな田舎町ラジエーター・スプリングスで足止めをくらったマックィーンは、とにかくカリフォルニアに行きたいがために、いい加減に道路を補修する。全く責任感なんてないのだ。
だが様々な車と接し、様々な経験を重ねていくうちに、責任感が芽生え、車(?)を思いやることを知り、友情の素晴らしさを学んでいく…。
レッカー車のメーターと二人で、いねむりトラクター達を冷やかしにいくシーンはほのぼのとしていてよかった。
学生の頃、誰でも友達とあんないたずらをしたであろう。
友達のいないマックイーンはそんなこともしたことがなかったに違いない。
サリーとドライブに行くシーンも印象的だった。
常にスピードだけを要求されていたマックイーンが、ゆっくりと走ることの喜びを味わうところだ。
あのトンネルを抜けた時の景色の素晴らしさに鳥肌がたった。
その風景…ここに載せようと思ったけど、あれは劇場で観るべきものなので載せるのはやめました。とにかく素晴らしい~~!!
さすがPIXAR!!
「さすがPIXAR!!」なところはそれだけじゃあない。
ルート66沿いの風景描写は空間が感じられて、とってもリアルで美しい。
それから車の表情や質感。これも車によってそれぞれ違うのだ。
ピストン・カップでフルスピードで走る、レース・シーンも迫力満点でホンモノ顔負けである。
でも何と言っても…この映画のいいところは、愛情にあふれているところ。
作り手の映画やキャラクターへの愛情がたっぷり感じられて、とっても優しい気持ちになる。
また、たかだか10分の短縮のために作られた高速のお蔭で、時代に取り残されてしまったルート66や、そこに住む人々への愛惜の思いが込められていていて、見ていて「ぐっ」っときてしまうのだ。
まあ私が一番「ぐっ」ときたのは、レースのハイライトのシーンだけど。
あそこでハンカチのお世話になりやした、ハイ。号泣。
主人公は車だけれど、誰が観ても楽しめる、完成度の高い、いい映画だと思う。