欠陥建築バスターズ

土地・建物の調査研究が専門。日本の地震や災害に備えた建築や、不動産市場や世界経済の未来鳥瞰について述べています。

傾斜地に盛り土する大馬鹿者…熱海土石流事故と似た事故を見た経験

2021年07月26日 10時37分04秒 | 擁壁

国や行政は、国民のために働いているのでしょうか?

 

コロナ禍において、感染者が増える中、多額のマネーが動く商用オリンピックが開催されました。

 

 

日本は、地震や台風など、災害も多い国です。

 

オリンピックで無駄遣いせずに、災害に備えるため、あるいはコロナ対策など、もっと有意義にお金を使うことができると思うんですが…

 

 

 

日本政府が東京五輪を盛り上げたいと必死の最中、熱海市で山の土石流により、多くの被害者が出てしまいました。

 

この熱海市で起きた土石流は、普通の災害ではなく、人災と言って良いと思います。

 

その理由は、土石流で流された土砂のほとんどは、元々山にあった土砂ではなく、外部からダンプカーで運び込まれて、山の上部で盛られた盛り土であったからです。

 

実は、今回の事故とは比較にならないほど小さい規模の事故ですが、全く同じメカニズムの事故を、私は子供の頃見た経験があります。

 

 

 

それは、今から55年ほど前です。

川崎市内の丘の上に、50坪ほどの平地がありました。

 

その土地を、地元の在日の建設会社が購入しました。

 

その建設会社は、工事で出た残土を、費用を取って処理する仕事をしていました。

 

 

建設会社は、他の工事で出た残土を、この50坪ほどの平地から下の斜面に、毎日のように、大型ダンプカーで運んできては、斜面に捨てていました。

 

残土以外にも、コンクリートの瓦礫なども含まれていました。

 

 

 

この傾斜部分は、地元ヤクザの土地でしたが、この建設会社と関連があったので、自分の土地に残土を捨てていた格好でした。

 

そして、このような作業が10年ほど続きました。

 

最初は、50坪ほどしかなかった丘の上の平地は、200坪を超える平地に広がっていました。

 

 

 

その後、この土地は、別のヤクザが購入し、自分たちの建設会社で使うブルトーザーやダンプカーを置いていました。

 

 

 

それから年月が経過し、今から30年ほど前になりますが、ある嵐のような天候の日、大雨が降りました。

 

土地の造成によってできた平地のほとんどが、雨で流され、土石流となり、丘の下にあった平屋の県営住宅を押し流してしまいました。

 

一瞬にして、多くの住民が命を失いました。

 

 

さらに、この事故の後、救助に来た川崎市の消防局の隊員2名も土石流に流され、命を失いました。

 

 

 

この時の土石流は、数回発生しました。

 

 

死亡した隊員は、確か、2回目の土石流の時に、命を落としたと記憶しています。

 

 

今でも、泥の中から引きあげられた消防署隊員の顔を覚えています。

 

 

現場に駆け付けた消防車も、半分、泥に埋まって、あたりは泥だらけの状態でした。

 

 

今回起きた熱海の事故とよく似ていると感じます。

 

 

 

建設会社の中には、瓦礫や残土を捨てられそうな山の上の土地を購入するということがよくあります。

 

そして、山の下に向けて、コンクリートの瓦礫などを捨てたあと、次に残土を捨て、コンクリートの瓦礫を隠します。

 

これを繰り返すうちに、立派な平地ができてきます。

 

その後、その土地は第三者に売却してしまうのです。

 

 

 

「あとで、何が起きても、一切関係ない」と言うつもりなのでしょうか?

 

 

結局は、ヤクザの建設会社が、山の麓の住民たちの命を危険にする代わりに、他の工事で出た瓦礫や残土の処理費用として儲け、最後に造成した土地を売って儲けることになります。

 

 

最近は、行政(役所)も厳しくなってきたので、このような事故は少なくなりましたが、昔は多かったのです。

 

 

熱海の事故の場合、どのような理由で盛り土がされたのか、よく調査する必要があると思います。

 


  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする