明日できること今日はせず
人形作家・写真家 石塚公昭の身辺雑記
 



室生犀星は笑っているイメージはない。明治生まれの作家は、カメラの前ではそんな物であろう。しかし懐を金魚がすり抜ける時、笑顔でなくても不機嫌ではない、くらいの表情はしていて欲しい。土俵際まで押し込まれながら最後ウッチャれたのも、犀星にそんな表情をさせられたと思うからである。それだけで連休中閉じ込もっていた甲斐がある。子供の頃、缶蹴りなどして、路地の奥の小さな工場のすき間から見た薄暗い裸電球の下の老人の背中を見てゾッとし、こんな大人にだけはなりたくない、と思った私であったが。〝泣くな半ズボン姿の私よ。これで結構楽しいんだぜ。大体お前は気付いていないが、不治の病はすでに発症していたんだ。昨日赤いクレヨン握ったまま寝てシーツ汚して叱られたろう?〟 私の作品は特定の小説をターゲットにしている場合、未読の方には意味不明である、と言う危険をはらんでいる訳で、老人の懐からすり抜け現れる金魚。そして満更ではないらしい老人。7月の金魚坂の展示に顔を出してみようとお考えの方には是非『蜜のあはれ』を一読して頂き、せめて怪奇小説でない事を御理解の上お出で頂ければ幸いである。

旧HP

『タウン深川』明日出来ること今日はせず 連載第14回〝青春の日の一撃〟

深川江戸資料館ゴールデンウイーク特別展『深川モダン』~文化で見る近代のKOTO~ 泉鏡花、谷崎潤一郎、永井荷風(杉浦日向子コーナーには葛飾北斎像)

4月20日~5月6日(休4月22日)

『石塚公昭 幻想写真展 生き続ける作家た18年7/25~9/2 リコーイメージングスクエア銀座ギャラリーA.W.Pyoutubeこ2016年『深川の人形作家 石塚公昭の世界』 youtube



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