明日できること今日はせず
人形作家・写真家 石塚公昭の身辺雑記
 



『現世(うつしよ)は夢 夜の夢こそまこと』は江戸川乱歩が色紙などに好んで書いた言葉である。97年私の最初の作家シリーズ初個展のタイトルは『夜の夢こそまこと展』。ご健在であった長男の平井隆太郎先生の許可を頂き、来ても頂いた。 私の最初の出版も『乱歩 夜の夢こそまこと』(パロル社)であった。私自体、物心ついて以来読んで字の如しであり、今は夜の夢を頭から取り出す為に、念写のつもりで被写体を作っては撮影している訳である。一方乱歩本人はと言うと、蝋燭一本で蔵の中で執筆どころか実利にたけ、実はバランス感覚に優れていた人物であり、知った時は、ミック・ジャガーがステージを走り回っているのを観て唖然とした時のような気分であった。〝話しが違うよ〟それはともかく。 手元に〝うつしよはゆめ夜のゆめこそまこと〟と書かれた短冊がある。乱歩というより乳歩みたいなサイン。私が初めて乱歩で仕事をさせて頂いた元東京創元社の戸川安宣さんは、中学生の時、叔父さんづてに、自分の名前入りの乱歩直筆の夜の夢こそまことの色紙をお持ちなのを知っており、その時惜しくも乱歩に会いそびれた話しも伺っていたので、画像をお送りしたところ、比べてみたがホンモノだと思う、との事であった。拙著『乱歩 夜の夢こそまこと』の後書きに、私が今の私であるのも乱歩にも責任の一端が無いとは言えない、みたいな事を書いた。今まで雨の日にスーパーなどに置いてある、傘を入れるビニールを切って入れていたが、そうと判れば短冊掛けでも用意し、一生見える所に掲げておこうと思う。

旧HP

『タウン深川』明日出来ること今日はせず 連載第14回〝青春の日の一撃〟

『石塚公昭 幻想写真展 生き続ける作家た18年7/25~9/2 リコーイメージングスクエア銀座ギャラリーA.W.Pyoutubeこ2016年『深川の人形作家 石塚公昭の世界』 youtube



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