私の聞き違いでなければ来年1月か2月のふげん社での個展は、三島由紀夫へのオマージュ『男の死』が中心になるはずである。もう間もなく6月。そろそろ制作を開始しなければならない。自分がしでかした事とはいえ、被写体制作と撮影の二刀流は、案外大変なのである。 こればかりは三島にただウケることしか考えられず、観ていただく方々を置き去りにしてしまう事になるのは致し方ない。などと多少客観的になれるのも、前回の『男の死』では一作も売れなかったせいであろう。 三島にとって日本版『聖セバスチャンの殉教』たる『椿説弓張月』の武藤太の惨殺シーンがハイライトになるはずで、陰影を出さない浮世絵、日本画調でなければ描けないであろうモチーフである、と言う意味でも、円朝から始めたここ2年の成果とならなければならない。 陰影が無ければ艶もない。芳年などの無惨絵、血みどろ絵は、いくら血みどろになろうと血は模様の如くただベタ塗りなだけで、顔をしかめる事もない。それと同様、歌舞伎の形式も、どんな凄惨な仇討ち場面も、庶民が拍手喝采で観ることができる。 一方、私がかつて三島を226事件の将校に見立てた時考えた〝どこでもドア〟ならぬ〝どこでも血だらけ〟で戒厳令下の帝都東京で三島にウケようと血をサービスし過ぎたが、陰影も艶もある世界だと、ざっとこの調子であり、確かにこれもまた私がしでかした事とはいえ、喜びそうなのは三島くらいである。
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『タウン深川』明日出来ること今日はせず 連載第14回〝青春の日の一撃〟
『石塚公昭 幻想写真展 生き続ける作家た18年7/25~9/2 リコーイメージングスクエア銀座ギャラリーA.W.Pyoutubeこ2016年『深川の人形作家 石塚公昭の世界』 youtube