かまくらdeたんか   鹿取 未放

「かりん」鎌倉支部による渡辺松男の歌・馬場あき子の外国詠などの鑑賞

 

馬場あき子の外国詠 135(スペイン)

2014年02月14日 | 短歌一首鑑賞
   【西班牙 2 西班牙の青】『青い夜のことば』(1999年刊)P58
                 参加者:N・I、M・S、崎尾廣子、T・S、藤本満須子、T・H、渡部慧子、鹿取未放
                 レポーター:T・H
                   まとめ:鹿取未放


91 母たちは巨鯨 娘はガレの蝶 あした西班牙の陽にひかりあふ


(レポート)(2008年7月)
 ガレ:(1846~1942)フランスのガラス工芸家。アール・ヌーボー様式の代表者の一人。
 スペインの母親達は食べ物のせいか巨鯨のようだ。それに比し娘達は何と華奢で繊細な曲線を持ちスマートなことだろう。ガレの蝶細工のように美しくスペインの陽光の下、光り輝いている、と馬場は街を行き交う人々を眺めながら感慨にふけっている。(T・H)


(まとめ)(2008年7月)
 娘を「ガレの蝶」ととらえたのが的確である。若い女性はきゃしゃで美しく華麗なのである。豊かな体躯の母ときゃしゃな娘がお互いに陽光のもと輝いているのもよい。蝶のような美だけを肯定せず、あくまで母と子が等価であるところがよい。(鹿取)