かまくらdeたんか   鹿取 未放

「かりん」鎌倉支部による渡辺松男の歌・馬場あき子の外国詠などの鑑賞

 

馬場あき子の外国詠 133(スペイン)

2014年02月12日 | 短歌一首鑑賞
 ◆小高賢さんがお亡くなりになりました。謹んでご冥福をお祈りします。

   この線より下がることなしと襟たてて国会前に来る金曜日
             小高 賢「かりん」2014年2月号
   ハンタイの声あげるたび身の内に奔る恥(やさ)しさ顕つ午後八時



   【西班牙 2 西班牙の青】『青い夜のことば』(1999年刊)P57
                 参加者:N・I、M・S、崎尾廣子、T・S、藤本満須子、T・H、渡部慧子、鹿取未放
                 レポーター:T・H
                   まとめ:鹿取未放


89 集団の猥雑の色の中にゐる安けさ存在のなき存在の色

(レポート)(2008年7月)
 馬場はやっと美術鑑賞の時を終了して館外に出た。グループの中のいろいろな色に囲まれて、そこには埋没する安らぎもあるが何か存在のなき存在の色?もあって落ち着かない。旅行中の東洋人、そのような人々は多く、常に生き生きとしているものなのだが、そのような人々の中にあって、馬場は美術館の中での、そのヨーロッパの人々の強烈な個性から解放されて、やっとほっとしているのではないか。(T・H)


(まとめ)(2008年7月)
 これは一つ一つの絵に緊張して向かい合っていた美術館から解放された場面であろう。色といっているが、服装の様々な色をさしているだけではないだろう。個というものを集団の中に埋没させてみんなでいる気安さ。もちろんそれはある意味で恐ろしいのだが、美術館で一人一人個性の強い画家と緊張して向き合った後では何ともここちよいのである。(鹿取)