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ちょっとだけスパイシー

心を観賞します

2010-08-11 | 本・映画・芸術
一か月以上、日本に滞在していた羅麗艶さんも、北京に帰る日が近づいてきた。
7月11日~25日は加古川、8月6日~8日は尼崎で
『中国障害者画家羅麗艶作品展』を開催した。
中でも尼崎労働福祉会館で開催された
『中国障害者画家羅麗艶作品展』
には、私や理事長、理事や絵を鑑賞された方々、
そして羅さんにも、深い感動を得ることができた作品展となった。

6日に行われた開会式でテープカットされた市会議員の挨拶の中で、
「障害者自らが企画して、障害者自らが芸術や文化交流を行う。
 これ以上のものはない国際交流活動だ」
と話された。
関西障害者国際交流協会、そして北京から来た羅麗艶さんにとって、
とてもありがたい言葉である。
テープカットが終わり絵画の鑑賞が始められたのだが、
絵を見ている最中に、一人の女性が涙をポロポロ流し始めた。
最初は綺麗で深い感動があったのだが、
観ているうちに自然と涙が出てきたと仰られた。
尼崎での作品展には、500人ほど羅麗艶さんの作品を鑑賞されたのだが、
他にも数名の方が涙を流された。
涙は流さずとも、鑑賞された方々すべてが、
深い感動を味わったはずだ。

作品展が終わった翌日、
ハオ地域活動支援センターで、
関西障害者国際交流協会の理事であり利用者でもある田中氏から、
ひとつの文章を頂いた。






心を観賞します
(中国障害者画家羅麗艶作品展)


 電話があった。
「ありがとうございました。初めての経験でした」と、
視覚障害者(途中失明)のTさん(女性)が、
「メール仲間に、『行くといいよ』って発信したら、
何人かから『ぜひとも伺います』の返信が来ました」と続けて話してくれた。

 8月6日(金)から8日(日)まで、尼崎市東難波町の労働福祉会館で、
『中国障害者画家羅麗艶作品展』が開催された。
主催したのはNPO法人 関西障害者国際交流協会(理事長田山華栄)。
羅麗艶さん(48歳女性)は1歳半のときポリオに感染し、
以後両下肢麻痺の重度障害を持つ画家。
中国の伝統的な密画を継承し、現在北京で活躍している。
歴史上の美人を描くのみならず、自然の風物を繊細な筆使い、鮮やかな色合いで表現する。

 失礼を省みず、「作品展に来ませんか」と声をかけたところ、
TさんとN(男性)さんがガイドヘルパーとともに会場に来てくれた。

 「羅さんが選んだ題材と、どんなことを考えながら描いたかをくみ取って下さい」とお願いしたら、
「心で観賞します」(Tさん)、
「説明をしっかりと聞いてイメージを高め、私も頭の中で描いてみます」(Nさん)と応えてくれた。

羅さんは丁寧に、一つひとつの作品を語ってくれた。
田山さんが懸命に通訳する。視力のない二人も必死に聞きいる。
約2時間30枚の作品を観賞したTさんNさんは、「楽しかったです」と深々と頭を下げて会場を後にした。
説明した羅さんと田山さんはそっと涙をぬぐった。
視力障害のふたりは確実に、作者の情熱と意欲を、それを伝えた人とともに共有することができた。
絵画展の観賞にこんな方法があったのだと思い知らされた。

 ふたりは作者の心を観賞していたし、作者と同じ感情の昂ぶりを頭の中に描いていた。
冒頭の電話は、その日の夜かかってきたというわけだ。
そして、視力障害のふたりは、通訳してくれた田山さんが
身長130センチ30キロの先天性脊椎カリエスによる重度障害者であることを、
まだ知らない。

『中国障害者画家羅麗艶作品展』は多くの人との出会いをもたらし、盛況のうちに終了した。
次の機会にはどんな新しい出会いがあるのでしょうか、そんなことを期待させる作品展だった。






たくさんの人に感動と出会いを与えた作品展だった。
羅麗艶さんにはこれからも元気で素晴らしい絵を、
私たちはこれかも素晴らしい芸術や文化の紹介、
そして出会いの場を作って行きたい。



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