徒然日記

街の小児科医のつれづれ日記です。

新型インフルエンザ(H5)の足音

2016年12月01日 08時25分32秒 | 小児科診療
 巷では季節性インフルエンザの流行が話題です。
 感染対策として手洗いを励行し、咳をしている方はマスクをするなど「咳エチケット」を守りましょう。
 日本人には馴染みの「うがい」は20分間隔でやらないと効果が無いと先日TVで放映されていました(^^;)。

 でも私は、少し前から「鳥インフルエンザ」のニュースが増えてきているのが気になっていました。
 そして最近、日本各地(青森県/新潟県)・世界各地で鳥インフルエンザによる家畜としての鳥の集団死〜殺処分が報告されています。

 何となく怖いけど、どこまで怖がればいいのか・・・?

 2009年にはじまった「新型インフルエンザ」はダークホースの「ブタインフルエンザ(H1)」でした。
 本命は「鳥インフルエンザ(H5)」とされていた状況を覆したのです。

 ただ、ブタインフルエンザは強毒性ではなく、被害は歴代の新型インフルエンザよりも少なく済みました。

 しかし、鳥インフルエンザの脅威が無くなったわけではありません。
 鳥インフルエンザは強毒性です。
 その強毒性を保ったまま、トリインフルエンザウイルスが人間に感染できるよう変異したら・・・それはそれはたいへんなことになります。
 「国民の5割以上が感染し、死亡率10%」などと予想されていますが、これが現実になると日本で500万人が死亡するという試算になります。

 かといって、現時点ではその気配はまだありません。
 人間にも感染例が報告されていますが、濃厚な接触をしていた人に限定されています。
 みなさん、正しい知識を持って正しく怖がりましょう。


■ 鳥インフル検出、新潟県上越市の養鶏場でも
(2016年12月01日:読売新聞)
 新潟県は30日、同県上越市の養鶏場の鶏の死骸から、高病原性とみられる鳥インフルエンザウイルス「H5亜型」が検出されたと発表した。
 県は国からの指示を受け、この養鶏場で飼育する23万羽の殺処分を1日から始める。県北部の関川村の養鶏場でも同様のウイルスが検出されており、殺処分される鶏の数は計54万羽に上る。米山隆一知事は「徹底的に対処して感染を封じ込め、予防に全力を尽くしたい」と述べた。
 県畜産課によると、上越市の採卵養鶏場で11月29日に40羽、30日に60羽の鶏が死んでいるのが見つかった。7羽について簡易検査を行い、6羽から陽性反応が出たため遺伝子検査を行った。今後、国に調査を依頼して詳しい遺伝子型を特定する。



■ <鳥インフル>青森で1万6500羽殺処分開始
(2016.11.29:河北新報)
 青森市内の家禽(かきん)農場で飼育していた食用アヒル(フランスガモ)からH5型の高病原性鳥インフルエンザウイルスが検出されたことを受け、青森県は29日未明、農場の全約1万6500羽の殺処分を始めた。国と県による疫学調査チームが同日、現地調査を行い、感染ルートを調べる。
 農場では県職員234人が29日午前0時25分から4班体制で殺処分を開始。午前7時半までに37%に当たる6150羽を処分した。敷地内では白い防護服にゴーグル姿の県職員が殺処分したアヒルを詰めた袋を積み上げる姿が見られた。
 同日午前、県庁で記者会見した高谷清孝県農林水産部次長は「ウイルス確認から24時間以内の午後9時45分までには全ての殺処分を終えたい」と話した。袋詰めしたアヒルは、72時間以内に近くの市有地に埋却処分する予定。
 県は農場の半径3キロ圏内を家禽や卵の移動制限区域に、10キロ圏内を搬出制限区域として区域外への持ち出しを禁じた。移動制限区域では4農場で約1万4000羽、搬出制限区域では3農場で約40万羽が飼育されている。県は3キロ圏の4農場に加え、発生農場から種卵の移動があった青森市内の1農場を対象に、同日午前から臨床・ウイルス検査を行っている。
 同日午前6時40分までに農場から10キロ圏の5カ所に畜産関係の車両を対象にした消毒ポイントを開設し、農場外への感染防止を図っている。
 鳥インフルエンザが発生した農場では27日から28日朝にかけてアヒル10羽が死んでいるのが見つかり、県に連絡。県の簡易検査で陽性反応があり、青森家畜保健衛生所が実施した遺伝子検査でH5型鳥インフルエンザの可能性が高いと判定された。

◎新潟では鶏31万羽
 新潟県関川村の養鶏場で鶏約40羽が死んでいるのが見つかり、同県は29日未明、鶏から強毒性で大量死につながるH5型の高病原性鳥インフルエンザウイルスを検出したと発表した。
 新潟県は、関川村の約31万羽の鶏の殺処分を始めた。新潟県に出動要請された陸上自衛隊も従事。県は12月2日まで24時間態勢で作業に当たる。
 養鶏場の半径10キロ内に約60の業者があり、約50万羽を飼育している。養鶏場の職員が28日、鶏約40羽が死んでいるのを確認。うち5羽の簡易検査で陽性反応が出たため、ウイルスの遺伝子を調べたところ、高病原性と確認された。
 政府は「まん延防止には初動対応が重要」として、29日午前に農林水産省の政務官や専門家らを新潟、青森両県に派遣。関係閣僚会議を開催し、菅義偉官房長官は「感染拡大防止に万全の対応をとりたい」と述べた。安倍晋三首相も徹底した防疫措置を迅速に進めるよう指示した。


■ 世宗市でも鳥インフル発生の疑い、採卵鶏70万羽殺処分準備=韓国
(2016年11月27日: 中央日報/中央日報日本語版)
高病原性鳥インフルエンザ拡散遮断に向け家禽類の一時移動中止命令が発動された中、世宗市(セジョンシ)でも鳥インフルエンザが発生した。
農林畜産食品部と世宗市が26日に明らかにしたところによると、世宗市全東面宝徳里(チョンドンミョン・ポドクリ)の採卵鶏農場で鶏280羽余りが死んだという通報が寄せられた。簡易検査で陽性反応が確認された。世宗市で疑い例の通報があったのは初めて。この農場の飼育数は70万羽に達する。高病原性であるかどうかの判断は29日ごろに出る予定だ。
世宗市は農場主と家禽類の移動を遮断し、周辺統制哨所設置、車両消毒用拠点消毒施設設置などの措置を下した。高病原性の確認に備え鶏70万羽に対する殺処分準備に入った。通報が寄せられた農場から半径3キロメートル以内には20軒の農家で2万7000羽、半径10キロメートル以内で68軒の農家で184万9000羽の家禽類を飼育している。
一方、農林畜産食品部は高病原性鳥インフルエンザがアヒルと採卵鶏農家を中心に急速に拡散していると判断し、26日午前0時から28日午前0時まで48時間にわたり家禽類と関連した人、車両、物品などを対象に一時移動中止命令を発令した状態だ。


 こちらはNHKの解説記事です;

■ News Up 鳥インフルエンザ 知っておくべき4つのこと
(11月30日:NHK)
 この秋、全国で感染の報告が相次ぐ「鳥インフルエンザ」。新潟県と青森県では養鶏場などで飼育されているニワトリやアヒルから鳥インフルエンザウイルスが検出されるなどして、50万羽以上の処分が行われることになりました。
 ひとたび感染が広がれば、養鶏農家などに多大な被害が出るのが鳥インフルエンザです。今、大切なのは、養鶏場での感染拡大をいかに抑えるかですが、鶏肉や卵は食べても大丈夫なのか。飼っているペットの鳥が感染することはないのか。気になる人も多いのではないでしょうか。知っておいていただきたい4つのポイントをまとめました。

◇ そもそも鳥インフルエンザって何?
 インフルエンザと聞くとまず思い出すのは、今月25日に全国的な流行期入りが発表されたヒトのインフルエンザです。ことしはA香港型と呼ばれるタイプのインフルエンザウイルスが主に流行していますが、実は、このウイルスも元はといえば、鳥インフルエンザでした。
 インフルエンザウイルス(A型)には、現在、144種類があるとされていて、いずれも元はカモなどの水鳥が体内にもっているものです。
 通常、水鳥の体内では、これらのウイルスは病気を引き起こしません。ところが鳥類に対して高い病原性を獲得した「H5型」や「H7型」と呼ばれる鳥インフルエンザウイルスを体内にもつ水鳥が、シベリアなどから南下する際、経由地となる日本などの水辺に立ち寄り、ふんをすると、その中には大量のウイルスが含まれていて、周囲にばらまかれます。これを野鳥などが体内に取り込むとウイルスが病原性を発揮し、臓器などがダメージを受けて死ぬのです。
 また問題は、野鳥やネズミなどの小動物によってこのウイルスが養鶏場などにも持ち込まれることがあることです。狭い空間に大量に鶏が飼われている養鶏場はウイルスが広まる格好の場所で、一気に感染が広まってしまいます。

◇ 人に感染するの? 鶏肉や卵は食べても大丈夫?
 農林水産省によりますと、日本では、これまで鶏肉や卵を食べて鳥インフルエンザにかかった例は、報告されていません。そもそも「H5型」か「H7型」の鳥インフルエンザウイルスが検出された農場では、同じ農場の家きんは殺処分するなどの対策がとられるため、ウイルスに感染した鶏肉や卵が市場に出回ることはないということです。
 また鳥インフルエンザウイルスは加熱すれば感染性がなくるということで、仮にウイルスが付着していたとしても、食品全体が70度以上になるように、肉の場合はピンク色の部分がなくなるまで加熱すればよいということです。

 このように通常、人には感染することがない鳥インフルエンザですが、世界的にみると感染例の報告があります。WHO=世界保健機関によりますと「H5N1型」と呼ばれる鳥インフルエンザには、エジプトや東南アジアなどを中心に2003年以降、856人が感染・発症、半数以上の452人が死亡しています。
 こうしたケースは、鳥インフルエンザにかかった鶏を調理しようと手で羽を取る際などにウイルスを含む粉末状のフンを大量に吸い込むなどした特殊な場合で、通常、日本では起こらないと考えられています。

◇ なぜことし? 一体どのようなルートで日本に?なぜことし? 一体どのようなルートで日本に?
 鳥インフルエンザは、ことし4月以降だけでもヨーロッパ各国や東南アジアからアフリカに至るまでさまざまな国の野鳥や家きん類から検出されています。いずれもその大もとは、シベリアなどに生息する渡り鳥と考えられています。これらの渡り鳥が、経由地に立ち寄った際、ウイルスを周囲に広げるのです。





 京都産業大学鳥インフルエンザ研究センターの大槻公一センター長によりますとこれらの渡り鳥が日本に入ってくるルートは、以下の3つがあるということです。
 まず、▽シベリアから北海道を経由するルート。次に▽シベリアから中国大陸を南下して朝鮮半島を経由するルート。そして、▽ロシアと中国の国境から直接日本海を越えて山陰地方などに来るルートです。
大槻センター長は、この秋の場合、鹿児島と鳥取で野鳥から検出されたケースでは、朝鮮半島経由のルートが、また、青森や新潟の養鶏場などから検出されたケースでは、シベリアから北海道を経由するルートで持ち込まれた可能性が考えられるということです。

 またこの秋、日本国内で多く検出されているのは「H5N6型」というタイプの鳥インフルエンザウイルスです。大槻センター長によりますとこのタイプはここ数年、中国国内で感染が広がっていました。このため中国大陸からシベリアに戻った渡り鳥どうしの間で感染が広まり、この秋、そのうちの一部が渡り鳥の南下にともなって日本に持ち込まれた可能性があると指摘しています。

◇ 今 気をつけるべき事は? ペットの鳥は大丈夫?
 鳥インフルエンザの対策で重要なのは、感染が確認された養鶏場からウイルスを広げないことです。
 国のマニュアルでは、▽高病原性鳥インフルエンザウイルスが検出された養鶏場から半径3キロ以内の養鶏場にニワトリや卵の移動を禁止するとともに、▽3キロから10キロの範囲にある養鶏場に対しては域外への出荷などを禁止する対策を行うことになっています。
 ただウイルスは、養鶏場を出入りする人や車などにも付着して広がることが知られていて、こうした感染の広がりを確実に抑えることが重要です。

 一方、自宅で鶏やペットの鳥を飼っているので、心配だという方がいらっしゃるかも知れません。
 農林水産省によりますと国内で鳥インフルエンザが発生したからといって、直ちに家庭などで飼っている鳥が感染するわけではなく、鳥を飼っている人は次のことに気をつければ心配はないということです。

▽鳥インフルエンザウイルスを運んでくる可能性がある野鳥が近くに来ないようにする。
▽飼っている場所はこまめに掃除し、フンはすぐに片づけ、こまめにエサや水を取り替える。
▽鳥の体やフンに触れた後は手洗い、うがいをする。口移しでエサをあげない。
そのうえで、農林水産省は飼っている鳥を野山に放したり、処分するようなことはしないでくださいと呼びかけています。
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