徒然日記

街の小児科医のつれづれ日記です。

子どもが生まれると○○も生まれる

2013年03月24日 07時14分20秒 | 日記
 最近、長谷川義史さんの絵本が気に入っています。
 独特の「ヘタウマ絵」+大人も子どもも楽しめるストーリーが魅力。
 「おかあさんの手」(まえはら三桃:作、長谷川義史:絵)という絵本を読んでいて、この不思議なフレーズに出会いました。

 さて、○○に当てはまる答えは「おかあさん」です。
 「はじめて赤ちゃんを抱っこしたときにおかあさんが生まれるのよ」と続きます。

 なるほど。

 と、そんなところに以下のニュースを見つけました;

母と同居で父も子育て 理化学研 マウス実験で解明
2013年3月21日:中日新聞
 父マウスが子育てするのは、相方の母マウスと一緒に過ごすことにより、本来なら子を攻撃する信号を伝える神経回路が働かなくなったためだとする研究成果を理化学研究所のチームがまとめ20日、米科学誌に発表した。
 直ちに人には当てはまらないが、刀川夏詩子(たちかわかしこ)研究員は「哺乳類が父親として行動するようになる神経のメカニズム解明につながる成果だ」としている。
 母マウスの妊娠中から同居した父マウスは、自分の子以外の子マウスでも体をなめるなどの子育てをする。一方、交尾の経験がない独身の雄は、子マウスを見ると直ちに攻撃。子を排除して雌を自分のものにしようとする行動とみられる。
 チームは、独身の雄と父マウスをそれぞれ子と一緒にして神経回路を調べた。独身の雄は、鼻の奥の下側にあり、子が出すフェロモンを受け取る神経細胞が稼働。そこから脳の攻撃行動に関与する部位に回路がつながり活性化していた。
 父では、この神経細胞が働かず、フェロモンの情報が伝わらなかった。独身の雄もこの神経細胞を切除すると、子を攻撃しなくなるばかりか、自分の子でなくても子育てするようになった。
 チームは、父マウスは交尾や妊娠中の同居などを経験することで、ホルモン量が変化して神経回路に影響が表れ、自らの子を殺さないよう攻撃行動が抑えられるとみている。


 というわけで、母性も父性もあかちゃんを抱くことによりスイッチが入るのですね。
 もともと持っていた遺伝子でも、その発現は環境に左右されるという現象は「エピジェネティクス」の分野の考え方ですね。

<参考>「福岡伸一教授が語るエピジェネティクス入門


 当院では待合室用に毎月3冊絵本が自動的に宅配されるサービスにも加入していますが、こちらの絵本は赤ちゃん心を忘れた大人の私(?)にはピンときません。

 長谷川義史さん関連で、小学校低学年のお子さんには以下の2冊もお勧めです;

■ 「おでん おんせんにいく」(中川 ひろたか:著、長谷川 義史:イラスト)
■ 「れいぞうこのなつやすみ」(村上 しいこ :著、 長谷川 義史 :イラスト)

 とくにおでんの話は大人にも面白すぎます。
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