徒然日記

街の小児科医のつれづれ日記です。

熊本地震~災害時のアレルギー対策

2016年04月18日 07時33分20秒 | 小児科診療
 まずは小児アレルギー学会作成のパンフレットを紹介します;
□ 「災害時のこどものアレルギー疾患対応パンフレット

 次は、小児科医のMLからの情報提供です。

 被災地の食物アレルギーの子どもたちへ。
 食材が、熊本市中央区にある「国立病院機構熊本医療センター」で4月17日から無料配布されているそうです。食物アレルギーの子どもが食べられるよう日本小児アレルギー学会が提供した小麦や卵を使わないクッキーやミルクそれにベビーフードなど、段ボール25箱分の食品が配布されます。

■ 食物アレルギーの子ども支援 食品を無料配付
2016年4月17日:NHK
地震で大きな被害を受けた熊本市で食物アレルギーの子どもたちを支援しようと小麦や卵を使わない食品の無料配布が始まりました。
無料の配布が行われているのは熊本市中央区にある「国立病院機構熊本医療センター」です。
食物アレルギーの子どもが食べられるよう日本小児アレルギー学会が提供した小麦や卵を使わないクッキーやミルクそれにベビーフードなど、段ボール25箱分の食品が配布されます。病院の総合案内のカウンターで、子ども1人につき5つまで無料で受け取ることができるということです。
5年前の東日本大震災ではアレルギーの子どもが避難所で食べたものでショック症状を起こしたケースも報告されています。
日本小児アレルギー学会の藤澤隆夫理事長は「避難所ではアレルギーに対応した食品が手に入らない場合があるので用意した食品で少しでも安心してもらいたい」と話しています。食品の数には限りがあるため、なくなり次第、配布は終了するということです。

◇ 食物アレルギーの相談窓口を設置
食物アレルギーがある子どもが避難所などの食事で誤って原因物質が含まれる食べ物を食べてしまう事故を防ごうと、小児科の医師などでつくる学会が災害時の対応をまとめたパンフレットをホームページで公開するとともに、相談窓口を開設しました。
相談窓口を開設したのは、小児科の医師などで作る「日本小児アレルギー学会」です。
相次ぐ地震を受けて、食物アレルギーがある子どもが避難所などの食事で誤って原因物質が含まれる食べ物を食べてしまう事故を防ごうと、ホームページに、メールで相談を受け付ける窓口を開設しました。
この学会は、東日本大震災のあと、食物アレルギーなど、子どものアレルギーへの災害時の対応についてまとめたパンフレットを公開しています。
この中では、避難所などの炊きだしに使われる食材にアレルギーの原因物質が含まれているかどうか分からないことがあるため、周囲の人が食物アレルギーがある人がいないか声をかけ、食べられない食材の聞き取りをしたり、アレルギーがある人の分の食材を分けて、家族が調理したりできるよう、配慮を求めています。窓口では、子どものぜん息やアトピー性皮膚炎についての相談も受け付けています。

★ 相談窓口のメールアドレス: sup_jasp@jspaci.jp
★ 日本小児アレルギー学会ホームページ: http://www.jspaci.jp/


 朝日新聞の記事より;

■ ぜんそく・アレルギーの子ども、避難生活での注意点は
2016年4月17日:朝日新聞


 東日本大震災の際、食物アレルギー対策に奔走・活躍した「ヘルシーハット」代表の三田さんの講演会記録です(会場は熊本市);

■ 避難所でアレルギーどうする? 選べぬ配給の食べ物、ダニやほこり問題に
熊本日日新聞:2011年11月19日
 災害が発生し、普段通りの食生活ができなくなった時に、食物アレルギーがある人はどう対応するか。宮城県仙台市でアレルギー対応食品の専門店を経営し、東日本大震災の被災者を支援している三田久美さん(56)が熊本市で講演。支援を受けるための連絡先の確保や備蓄の重要性を訴えた。
 専門店「ヘルシーハット」を経営する三田さんは、アレルギーの子を持つ親らの会「あっぷるんるんくらぶ」(仙台市)の代表も務める。
 三田さんは12日、熊本市男女共同参画センターはあもにいで講演し、「アレルギーで牛乳と卵、小麦粉が食べられないと、避難所で食べられる物はかなり限られる」と強調。
 震災直後に避難所で配られた食料は、菓子パンやスナック菓子が中心。炊き出しのみそ汁には魚介類や肉類が入っており、アレルギーがある人には食べられなかった。せっかく届いた缶詰に原材料表示がないものもあったという。「しばらく白ご飯しか食べられなかったという被災者がいた」と三田さん。
 三田さんの店舗も被害を受けたが、震災翌日に再開し、被災者の生活を支えた。道路状況が改善した震災1週間後からは、三田さんらスタッフが避難所を回り、アレルギーの人が食べられる自社製造のおかずやおやつのほか、せっけんなどのスキンケア用品、ダニ防止のシーツなどを届けて喜ばれたという。
 日ごろから、どう備えるか-。三田さんは「アレルギーがある人は、緊急時の炊き出しを食べられない前提で準備しておく必要がある」と言う。レトルトのおかゆやご飯が便利で、自分で調理するためのカセットコンロや鍋も必要だ。
 避難所の毛布がほこりっぽく、せきやくしゃみがひどくなる人もいた。「シーツやカバー、スキンケア用品などは必需品。最低1週間分は備蓄しておきたい」と三田さん。
 アレルギーがあることを普段から周囲に話しておくことも大事という。「我慢を強いられる避難所で、アレルギーを申し出るのは難しい。以前から周囲に話していた人は、食べられる物を優先的に回してもらっていたようだ」
 「あっぷるんるんくらぶ」など約40団体でつくる「アレルギーの会全国連絡会」は、震災当日から支援に動いたという。三田さんは「緊急時に支援を受けるためにも、親の会などを存続させ、連絡先を確保してほしい」と呼び掛ける。
 問い合わせは、講演会を企画した池田照子さんTEL090(3736)7195=午後7時以降。



<参考>
□ いのちを守る「アレルギー対応食品」の備蓄が進んでいます(宮城16/04/07)
□ ハートネットTV 「誰もが助かるために 避難所生活を支える」(NHK)
□ チョイス病気になったとき「子どもの食物アレルギー」(NHK)

■ 「災害時における食物アレルギーをもつ児童支援とその社会的ネットワークに関する実証研究」(松本祥子:東北福祉大学)
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