徒然日記

街の小児科医のつれづれ日記です。

イギリスで百日咳が流行し乳児13人が死亡

2012年12月06日 07時32分31秒 | 小児科診療
イギリスの話題が続きます。
こんなニュースが飛び込んできました;

百日咳、20年ぶりの猛威―英国で乳児13人が死亡
(2012年 11月 30日)

 百日咳(whooping cough)が英国で猛威をふるっており、患者数はここ20年間で最多を記録し、そのうち13人の乳児が死亡したことが発表された。「デイリー・テレグラフ」紙が報じた。
 英健康管理協会「The Health Protection Agency」の報告によると、今年に入り10月までの合計で、およそ8000件の百日咳患者が確認されたという。この数字は、前回、流行した2008年の実に10倍に達している。
 今後も患者が増加すると見られている一方、実際の患者数はより多いのではないかと懸念されている。
 10月の時点で、イングランドとウェールズでの患者数は1614人とされ、中でも乳児においては免疫力が無いことから死亡にいたるケースが3件報告されたという。
 出産時に母親から新生児に感染するのを防ぐため、出産前3ヵ月の妊婦に向けて、百日咳の予防ワクチンを接種するよう英健康管理協会では呼びかけている。


百日咳は予防接種では四種混合(あるいは三種混合)に入っています。
生後3ヶ月と早期から可能なのは、それだけ乳児の重症度リスクが高いから。
頑固な咳発作にとどまらず、乳児期前半では無呼吸発作を起こして命の関わることもあるのです。

参考
百日咳罹患乳児の動画
百日咳罹患児の動画(Youtube)
百日咳に特有な咳発作の音声
・当院HP「ワクチンで予防できる感染症」の百日咳の項目。

最近は日本でも同時接種が普及してきました。
何本も注射をして大泣きする赤ちゃんをみるのは、お母さんにとって忍びないと思われます。
しかし、実際に病気にかかった時の怖さを知る我々小児科医は、どう秤にかけてもワクチンの方が有利と考えざるを得ません。
ひと泣きで命に関わる病気を予防できるのですから。

また、小児期にワクチン接種で免疫をつけても、百日咳予防効果は10年くらいしか持続せず、さらなる追加接種の必要性が認識され、欧米ではすでに実施されています。
しかし日本ではまだ対策がなされておらず、ここでも「ワクチン後進国日本」を痛感しする次第です。
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