新型コロナウイルス感染症流行拡大に歯止めが利かず、
現在2度目の「緊急事態宣言」中です。
しかし、人間の行動を制限することには限界があり、終息のスピードは鈍いのが現状。
それを解決するのは、
① ワクチン接種
② 特効薬開発
であることは誰の目にも明らかです。
そして、②の開発が足踏み状態の現在、
①のワクチン開発が先発して開発され、新型コロナウイルス登場から一年を起たずに実用化されました。
このスピードは、今までのワクチン業界では考えられなかった速さです。
そして有効率が軒並み90%以上と高い数字です。
ワクチン専門家はワクチンが実用化されるまで少なくとも1年以上、有効率については季節性インフルエンザワクチンと同程度(50〜70%)と予想していたようです。
この2点に関しては、ワクチン業界の常識をよい意味で破りました。
その理由として、ワクチンの種類が異なることが挙げられます。
市場に出回っている、例えばファイザー社のワクチンは「mRNA」を使用した、人類が初めて使うタイプです。
初めての試み、未知のものだから危険?
というと、そういうことはありません。
ワクチンが開発されるまでには動物実験や治験など厳しい項目をクリアすることが義務づけられていますが、それを成し遂げたワクチンだけが認可されるので、安全性は検証済みです。
現在の最先端の科学を信じましょう。
しかし、新型コロナワクチン、「◯◯人にアナフィラキシー症状が出た」など、不安を煽るマスコミ情報が連日報道されています。
ああ、またマスコミの悪いクセが始まった・・・
と医療関係者はあきれています。
偏った情報ではなく、メリットもデメリットも省略せずに正確に報道し、
各個人に判断を委ねる、というスタンスが望ましいですね。
例えば・・・
新型コロナワクチンは期待された以上に有効である、
たしかに100%安全とは言えない、
でも従来の他のワクチンと比較して危険度が高いわけでもない、
十分な体制を整えて接種すれば心配ない、
そして現時点ではワクチンが新型コロナ窩を抜け出す最善の方法である
といったところでしょうか。
マスコミは、
① 接種する事によるリスク(まれな健康被害)
② 接種しない事によるリスク(感染拡大〜経済崩壊)
を正確に伝えて、読者・視聴者に判断を仰ぐ姿勢を貫いていただきたい。
そんな中、メディアでもようやく自浄作用が働き始めたようです。
■ 新型コロナ「反ワクチン報道」にある根深いメディアの問題
(2021/1/23、ニッポン放送)より抜粋
ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(1月22日放送)にジャーナリストの佐々木俊尚が出演。2月中旬に日本に届く新型コロナウイルス感染症ワクチンについてのメディアの報道姿勢について論じた。
□ 新型コロナウイルスのワクチン~第1弾は2月中旬に到着
政府関係者は1月21日、確保を進める新型コロナウイルス感染症ワクチンの第1弾として、ファイザー製1万回分超が2月中旬に日本に届く見通しであることを明らかにした。また、菅総理大臣はこれに先立つ参院本会議の代表質問で、「全体として3億1千万回分を確保できる見込みだ」と述べている。この量は1月20日に正式契約を発表したアメリカのファイザー製を含め、政府が契約した欧米3社の合計の供給量を意味する。
飯田)ファイザーから1億4400万回分、アストラゼネカ1億2千万回分、モデルナ5千万回分ということです。
佐々木)1人2回打たなくてはいけないので、2億4千万回分くらい必要と考えると、それを上回っているのでいいのではないでしょうか。若干遅れ気味なのは心配ですね。アメリカは12月から打ち始めて、イギリスは2月までに1500万人に打つと言っています。アメリカとイギリスは人口の2%くらいですが、イスラエルは20%に達しています。しかも効果が出て来ていて、感染者が減っているということです。全世界で4千万~5千万はすでに打っているのです。バイデン大統領も打っているし、ローマ法王も打っている。そこでいまのところ報告されている副反応というのは、いわゆるワクチン一般にあるようなアナフィラキシーショックとか、発熱、悪寒、患部の痛みなどです。深刻な副反応はいまのところ報告されていません。日本人口の半分くらいの人が打っているのに、その程度で済んでいる。しかも、このスピードで開発するということは驚異的な話なのです。
飯田)そうですよね。
□ 各メディアから続々と登場する「反ワクチン」報道
佐々木)とても素晴らしいのですが、なぜか日本国内ではメディアの報道が異常な方向に進みつつある。
AERAが、 『医師1726人の本音、ワクチン「いますぐ接種」は3割』 ~『AERA』2021年1月25日号(1月18日発売) ……という記事を出しました。“お医者さんなのにわずか3割しか打つ人がいない”ということを書いています。
週刊新潮は、 『コロナワクチンを「絶対に打ちたくない」と医師が言うワケ』 ~『週刊新潮』2021年2021年1月28日号(1月21日発売) ……と言う記事を出しました。
毎日新聞が、(配信)元の記事はオリコンニュースなのですが、 『新型コロナワクチン、6割超「受けたくない」女子高生100人にアンケート』 ~『オリコンニュース』2021年1月20日配信記事 ……と。女子高生に聞いてどうするのかと思うのですが。
飯田)サンプルも100人では全体を表しませんし。
佐々木)さらにTBSは、 『「自分たちは実験台?」ワクチン接種優先の医療現場から不安の声』 ~『TBS NEWS』2021年1月21日配信記事 ……という報道をしています。
毎日新聞、TBS、AERAは朝日新聞です。そして週刊新潮という、いわゆる新聞、雑誌、テレビから続々と反ワクチンの記事が登場しているという異常な状況になっているのです。
飯田)多いですね。
□ 世論の反発にそれぞれ反ワクチン記事を削除
佐々木)これには医療業界の人が猛反発をして、みんなすごく怒っているのです。その背景には、子宮頸がんワクチン、HPVワクチンですね。これに対して2010年代前半に朝日新聞が「副反応で人が死んでいる」というようなキャンペーンをやった結果、厚生労働省が接種勧奨、要するに接種をおすすめするのをやめてしまって、結果的に日本だけが子宮頸がんで死ぬ人が年間何千人もいるということになってしまったのです。その強い反省があるから、「今回は反ワクチンにならないようにしよう」とみんなが言っていたのに、朝日新聞のAERAがまた同じことをやり始めたということで、みんなすごく怒っています。結果的にAERAは見出しを差し替えました。
飯田)「見出しがネガティブに見られるとは思わなかった」という編集者のツイートがありましたが、「思わなかったのかい!」という。
佐々木)「~ワクチンすぐ接種3割」とあったものを、 『医師1726人の本音 コロナ「夏までに収束」1割未満、ワクチン「接種」「種類により接種」は6割』 ~『AERA.dot』2021年1月21日配信記事 より 佐々木)……に変えています。
元のデータはそうなのです。自分よりも先に打って欲しい、「重症者の人や高齢者の人を優先して欲しい」と言っている人が3割くらい。そして「自分がすぐ接種したい」人が3割なので、合わせると6割と。それを当初の見出しでは、わざわざ「ワクチンを接種したい人は3割しかいない」という見出しにしていたということです。
毎日新聞は掲載したオリコンニュースの記事を(毎日新聞WEBサイトから)削除し、ツイッターも削除。新潮も「コロナワクチンを『絶対に打ちたくない』と医師が言うワケ」という記事を(WEBサイト『デイリー新潮』から)削除。さすがに今回は世論の反発に抗しきれずに、皆さん撤退しつつあるという状況です。
□ マスコミが反ワクチン報道になった理由~歪んだ社会正義の問題
佐々木)なぜ新聞、テレビ、雑誌のマスコミがここまで反ワクチンなのか。これは誰もわからない、不思議で仕方がありません。ツイッターなどを見ると、皆さんおっしゃっているのが、「視聴率を稼ぐためならそれでもいいのか」とか、「新聞を売るためならそれでいいのか」と言っている人がいます。
飯田)そうですね。
佐々木)もちろん会社としては儲けなくてはいけないというのはありますが、毎日新聞出身でずっと社会部で記者をやっていた身からすれば、そこまで金のことは考えていません。それぞれの記者、もしくはデスククラス、彼らがいちばん重心を置いているのは「社会正義」なのです。ですから、今回の問題はお金や利益のためという話ではなくて、「歪んだ社会正義の問題」なのです。
飯田)なるほど。
□ 高度経済成長期の経済大国へのメディアの批判姿勢
佐々木)ではなぜこの歪んだ社会正義、反ワクチンに行ってしまうのかは、なかなか分析が難しいのです。個人の経験から言うと、高度経済成長があった1960年~1970年の時代、日本は「電子立国」という言葉もあるくらい、テクノロジー中心で社会を回していた。1970年の大阪万博で「人類の進歩」、「科学万歳」と謳った世界で来たわけではないですか。それはそれで、我々の国に豊さをもたらし、経済大国になったのだけれども、それに対して批判的な姿勢を持つメディアというのが、当時の基調だったのです。
飯田)豊かさは物質だけではないと。
□ テクノロジー分野で位置を失った日本
佐々木)そうです。物質的豊かさ、テクノロジーをガーンと駆動させる、それは少しやり過ぎなのではないかという批判的精神は、それはそれとして当時有効だったのです。あまりにも社会が科学万能主義になっていましたから。しかし、2000年に入るころから、これが失速して、もはや科学、テクノロジーに関して、例えばAIなどはすべて中国やアメリカに行ってしまって、日本のエレクトロニクスは惨憺たる状況になり、いまやテクノロジー分野で日本が消費財として生き残らせているのは自動車だけという状況です。 飯田)そうですね。
佐々木)その上、日本はテクノロジーが嫌いな人が増えてしまった結果、AIも産業界に浸透せず、いろいろなものが遅れてしまっている。いまこそ我々はもう1回科学的な視点を持ち直して、テクノロジーを駆動して行くという社会をつくり直さなくてはいけないということが言われ続けているのです。そういう状況なのに、未だに「テクノロジーはけしからん」と言っていれば、何となく済んでしまっているのがメディアなのですよ。
□ 批判しやすいところに向かってしまうメディアの問題
飯田)なるほど。80年代に薬害エイズとか、ある意味「テクノロジーの暴走ではないか」というような議論があって、あの辺りの成功体験というようなものがメディアの根底にありますか?
佐々木)ありますね。副反応の問題もそうなのですが、少しでも被害が出ていれば、それは追及しやすいのです。今回のコロナも同じです。すぐ「後手後手だ。政府は何をやっているのだ」と言うのですが、後手後手になるのは当たり前です。先手を打ったら皆さん褒めるのかと。安倍首相が昨年(2020年)2月の時点で、学校の休校を要請したら、皆さん怒っていたではないですか。
飯田)怒っていましたね。
佐々木)結果的にそれで悪かったかというと、それほど悪い施策ではなかったと思うのですよね。だから、結局先手を打てないし、リアルタイムでジャストな政策を打てるはずがないのだから、すべて後手後手になる。それを「後手後手だ」と言っておけば、何となく「言った気になってしまう」というのがメディアの問題です。批判しやすいところをどんどん批判しようとすると、すぐに副反応などという方向に行ってしまうところが問題なのではないかと思います。これはかなり根深いですよ。