「マイコプラズマが流行しています」
との情報が繰り返しTVから流れてきます。
当院外来にも心配して受診される患者さんが増えてきた印象。
さて、マイコプラズマとそれ以外の風邪の咳を見分けることは可能なのでしょうか?
「迅速検査をすればいい」
と仰る方が居るかもしれませんが、
咳をしている患者さん全員に検査するのは現実的ではありません。
では私はどうしているかというと・・・
発症からの経過で大まかに判断しています。
その特徴は・・・
・咽頭痛で始まることが多い。
・熱の勢いは弱いことが多い(高熱が出ることもあります)。
・咳は発症後1週間経っても勢いが止まらない。
・比較的元気。
等が揃うと可能性が高いと考えています。
とくに咳の経過が大切で、
ふつうの風邪の咳のピークは発症後3-4日目頃ですが、
マイコプラズマの場合はそれを過ぎて勢いを増してきます。
上記項目からマイコプラズマが疑われると、
私はマイコプラズマに有効な抗菌薬(=抗生物質)を処方します。
そして、マイコプラズマに有効な抗菌薬は特殊なのです。
高齢者の肺炎に使用される抗菌薬は、
伝統的なペニシリン系、セフェム系が基本ですが、
これらはマイコプラズマには効きません。
近年主流になったキノロン系は有効ですが、
小児適応のある薬剤が少なくあまり選択されません。
マイコプラズマにはマクロライド系という種類の抗菌薬が有効で、
私はこれを選択して処方します。
しかし発症後1-2週間が既に経過して咳がひどくなっている場合は、
抗菌薬で菌を消失させても咳の勢いは止まらないのも、
マイコプラズマの特徴です。
そんな時、私は漢方薬を提案します。
顔を真っ赤にして咳き込む、
咳き込んで吐いてしまう・・・
実はこんな症状に効く漢方薬が存在します。
さて、最近の記事からマイコプラズマに関係するモノを拾ってみましょう。
▢ マイコプラズマ肺炎の見分け方 「3日目の咳がポイント」 医師が解説する症状と対策
(2024/10/2:テレ朝ニュース)より一部抜粋(下線は私が引きました);
▶ マイコプラズマ肺炎の見分け方 「3日目の咳がポイント」
いま急増しているマイコプラズマ肺炎は、風邪の症状とよく似ているということですが、どうやって見分ければいいのでしょうか。今年のマイコプラズマ肺炎の感染者数は、全国的に見ても去年の37倍と大流行しています。いとう王子神谷内科外科クリニックの伊藤博道院長に話を聞きます。
▶ 風邪とマイコプラズマ肺炎の見分け方
―風邪とマイコプラズマ肺炎の症状は非常によく似ています。発熱、咳、倦怠感、のどの傷み、鼻水などがあり、見極めが難しいとされています。自分が風邪なのか、マイコプラズマ肺炎なのか不安な人もいると思います。伊藤院長によると、見極め方のポイントは「3日目の咳」だということですが、これはどういうことでしょうか?
伊藤院長 「最初の1日目や2日目は、通常の風邪との見分けを付けるのがなかなか難しいです。3日目になると、風邪であれば自然に治ったり、市販薬で治る頃です。マイコプラズマ肺炎の場合、3日目から咳がひどくなることが多いです。かなり深いところから出るような咳や、痰が絡んだり、ゼーゼーしたり、胸の痛みを伴うような肺炎の症状が出てきたら要注意です」
▶ 厚生労働省が注意呼び掛け
―つまり、3日目以降に症状がひどくなった場合、マイコプラズマ肺炎を疑った方が良いと思いますが、医療機関を受診する目安も3日目か、もっと早い方が良いのでしょうか?
伊藤院長 「最初からマイコプラズマ肺炎だけを疑う場合、3日目で良いですが、他の病気もありますので、患者さんの立場になって見れば、つらい症状があれば、もちろん1日目や2日目でも相談していただいて大丈夫です」 「ただ、レントゲンで影が出てくるタイミング、あるいは抗原検査で陽性になりやすい時期は、新型コロナウイルスでもインフルエンザでも、1日目よりも2日目や3日目の方が検査結果がはっきり出るケースも多いです」 「症状が強ければ、最初に相談に来ていただく。症状が軽微であれば1日から2日様子を見て、いよいよこれは咳が深いところから出てくるようになって、悪い方向に向かっているという時点で受診をして、マイコプラズマ肺炎の検査をすることがよろしいかと思います」・・・
この記事でも「3日目の咳がポイント」と私の印象と同じ事を指摘していますね。