徒然日記

街の小児科医のつれづれ日記です。

熊本地震~災害医療活動状況

2016年04月19日 07時04分37秒 | 小児科診療
 各団体による災害医療の活動状況を日経メディカルの記事から拡散します。
 今回の災害は「災害が続く中での避難生活」という特殊な状況であり、安全な場所への移動の必要性が報じられ、始まっています。

■ DMATは157隊、DPATは13隊が活動中 熊本地震、各地で災害医療活動が展開中
2016/4/18:日経メディカル
 4月14日から熊本県を中心に相次いでいる地震を受け、被災地では随所で災害医療活動が展開されている。災害時派遣医療チーム(DMAT)は、17日22時時点で157隊が活動中。さらに80隊が移動中で、294隊が待機中となっている。

◇ 現地で対応に当たるDMAT隊(提供:米盛病院ER)
 厚生労働省の報告によれば、4月17日21時時点で厚労省が直接確認した医療施設62施設中、建物損壊のリスクがある医療機関4カ所、ライフライン(電気、ガス、水道)の供給に問題がある医療機関19カ所、連絡が取れない医療機関4カ所、問題がない医療機関38カ所だった。ただし、熊本県内において、患者受け入れ困難に陥っていた基幹病院の診療機能も、DMATの支援などにより、徐々に改善傾向にあるという。

◇ 熊本県内において、患者受け入れ困難に陥っていた主な医療機関の状況
(出典:厚生労働省「平成28年熊本県熊本地方を震源とする地震に係る厚生労働省の対応について」)
■基幹病院の診療機能は、DMATの支援等により、徐々に改善傾向
(1)熊本赤十字病院(490床)
震災発生直後に停電により患者受け入れ不可となり、その後も患者の殺到により、患者の受け入れ不可状態が続いていたが、ドクヘリ搬送、近隣病院への患者分散等により、状況は改善。(4/17 1:00)
(2)済生会熊本病院(400床)
4/16未明以降、患者の過剰状態となっていたが、済生会グループからの医師派遣やドクヘリによる患者搬送により、状況は改善。(4/17 1:00)
■患者の大量搬送を要する医療機関における対応
(1)熊本市民病院(437床)
倒壊の危険から、入院患者の他院への搬送が必要となったため、県内外の病院等に、救急車、ヘリ等で323人全員の患者搬送を実施済み。(4/16 14:45)
(2)熊本セントラル病院(308床)
4/16 1:30頃スプリンクラーが作動し、建物7階(東館、西館)がほぼ水浸しの状態となり、入院患者約200人(車いす約170人、ストレッチャー約30人)の他院への搬送が必要となった。このため、自衛隊、消防の協力を得て、全ての患者について、16日中に県内外の他の医療機関に患者搬送を実施済み。(4/16 23:00)
(3)東熊本病院(52 床)
病院のライフラインが途絶したため、入院患者43人を全て転院済み。(4/16)
(4)西村病院(96 床)
病院損壊により、入院患者96人を系列施設に転院済み。(4/16 14:00)
(5)くまもと森都総合病院(199 床)
病院損壊により、2病棟のうち1病棟使用不可。入院患者64人が転院または退院済み。(4/16 19:00)
自力で動けない患者94人をDMATで搬送調整中。(4/17 10:30)
自力で動けない患者13人をDMATにより搬送。残りの患者は、近隣の医療機関への転院を調整中。(4/17 17:00)


 熊本県内には透析病院が94施設あり、患者数は6393人。被災直後は27施設で透析対応が不可となったが、17日21時時点では25施設となっている。透析不可患者数も、約2000人から約1800人となっている。透析不可施設の患者は、透析用の水の確保、熊本県内の他の医療機関での受け入れにより、ほぼ県内で対応できているという。状況の悪化に備えて、日本透析医会、熊本県及び近隣県(福岡県、佐賀県、長崎県)と連携し、県外の医療機関への移送も調整中。18日に、熊本市内の病院の患者 10人を福岡県の病院に移送する予定。大分県内で透析対応不可となった施設はない。

 災害派遣精神医療チーム(DPAT)は、熊本県庁内にDPAT調整本部を立ち上げた。4月17日時点で、13隊が活動中。さらに、1隊が移動中、全国で10隊が準備中。病院のライフラインの途絶などのため、精神科病院の益城病院(熊本県益城町)と希望ヶ丘病院(熊本県御船町)において転院などが必要となった入院患者の転院支援は、熊本県精神科病院協会と連携し17日12時時点で完了している。その他4病院(対象患者数は約430人)からの転院依頼を受け、患者搬送について調整中で、順次転院などを実施中。転院の支援と並行し、避難所などで被災者の心のケアに当たっていく予定としている(早期介入を目指す新体制のDPATが活動中)。

 医薬品・医療機器の安定供給などに係る被害については、17日の時点で「なし」と報告している。本震後、熊本県に医薬品製造所がある24社中、1社から「すべての製品の製造ができず、製造再開の目処は立っていないが、在庫は一定程度確保されており、安定供給に支障を来すものがないか早急に確認中」との報告があった。17日11時時点で、残り23社のうち、13社からは問題発生なしとの連絡があり、10社については確認中だという。

 厚労省は15日、関係団体に対し被災地における医療従事者確保についての派遣協力を依頼。16日には、日本医師会災害医療チーム(JMAT)が現地での医療支援活動を開始。17日12時時点で、14チームが活動中。同じく16日、全日本病院協会災害時医療支援活動班(AMAT)が現地での医療支援活動を開始。社会福祉法人恩賜財団済生会も17日12時時点で3チームが活動中、1チームが移動中。国立病院機構では、避難所において医療支援を行う医療班をのべ6チーム(計30人)を15日から被災地に派遣。17日夕方現在で、5チーム(計25人)が活動中。現地対策本部および後方支援拠点を設置した熊本医療センター、大牟田病院、大分医療センターで現地対策を開始した。17日朝からは、四国グループ3施設から水・食品などの物資搬送を開始したと報告している。また、徳洲会医療救援隊(TMAT)は、3カ所の活動拠点で診療を行っていると報告している。

 国境なき医師団からは、現地の医療ニーズを調査するチーム(医師3人、非医療スタッフ2人)が17日深夜に現地入り。18日から、必要に応じて対応を進めるべく、情報収集と各方面との調整を行う。

 日本集団災害医学会学生部会は、発災と同時に熊本県の医学生の安否を確認。各大学のDMATのサポートを開始し、EMIS入力の補助や情報収集を継続している。今後は被災地の学生をサポートする形でボランティア情報や物資援助などの情報発信を行っていき、各サークルなどでのボランティアを支援していく方針だという。
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