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思索 電子回路 論評等 byホロン commux@mail.goo.ne.jp

PIANO QUINTET SUITE

2007-10-23 23:04:53 | 音楽・映画
「大西順子」

概ね音楽はどんなものでも好きなのだが、ジャズだけが元来苦手で、そのことがずっと残念に思えてならなかった。これまでも、クラシックベースのジム・ホールの「アランフェス」や、ジャック・ルーシェの「バッハ」、それとややジャズの香りがするジョージ・ウィンストンなど、数えるほどしか聴いていない。それとて、さほど聴き入るほどのことも無かった。

しかし、この「PIANO QUINTET SUITE」は、こんな私をかなりジャズに近づけてくれた。大西順子の粒立ちのいいピアノ、洗練された現代タッチの楽想は聴いていてとても心地いい。ジャズが他の音楽と異なるのは、ブルーノートという独特の和音以外に、メロディーであれ、ハーモニーであれ、音の出ているその「瞬間」を聴くということにあると思う。どんなに魅惑的な響きも、それが現れた直後に消滅し後に何も残さない。また、その先を期待したり予想したりすることも無意味である。その点、他の音楽は開始から終了までの全体が大きな意味を持つ。取っつきにくいクラシックも、何度も聴いているうちに断片的な曲の記憶が次第に繋がり、いつの間にか最も好きな曲の一つになっているということも、曲全体の持つ意味が大きいからなのだと思う。クラシックのジャンルにも、ジャズ的な音の聴き方をする曲がある。ブルックナーがその最も典型的な例だろう。ブルックナーも全体として捉えることに、あまり意味は無く、それ故、まったく初めて聴く場合でも、瞬間の音を味わい深く聴くことができる。

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