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思索 電子回路 論評等 byホロン commux@mail.goo.ne.jp

FETの話② 2SK30A

2009-12-08 21:11:27 | 電子回路
古から現在に至り、特にオーディオ用として最もよく使用されている不朽の名作Nch-FET:2SK30Aの特性を見てみましょう。

「FETの話①」にて、FETはG-S間電圧が0Vの時にもっとも大きなドレイン電流を流すとお話しましたが、このときのドレイン電流をIDssといいます。IDはドレイン電流、ssはG-S間電圧が0VつまりG-SショートのSです。実際には、このIDssにはかなりのばらつきがあり、2SK30Aもこの大きさによってランク分けされています。特性図の下にランク(単位:mA)を示していますが、例えばGRランクでも2.6~6.5mAものばらつきがあるのですね。

右側の特性図を見てください。VDS=10VにおいてVGSが0Vの時の最も大きなIDssは6mAくらいです。このカーブを示すものはGRランク、反対に最も小さな0.4mAくらいのものはRランクということです。

トランジスタの場合は、動作領域においてベース-エミッタ間電圧が必ず0.6~0.7Vになりますから回路の定数設定が簡単にできました。しかしFETの場合は上記のようにゲート-ソース間電圧を一定値として考えることができません。よってFETを使って増幅回路を設計する場合は、必ずIDssを測ってデータシートのID-VGS特性と照合することになります。多くの場合、トランジスタでもFETでも、どちらを使っても増幅回路は実現できますが、設計が楽なトランジスタが多用されるのでしょう。

関連記事:
「FETの話①」2009-12-07
「FETの話③ 増幅回路」2009-12-09

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3 コメント

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FETまでやってたんですね! (kaoaru)
2013-01-08 15:52:21
実を言うと、「真空管」がわかったほうがFETは理解しやすいです。

アナログアンプに使う場合、バイポーラトランジスタと決定的に違うのは「負バイアス」をかけることです。

FETならば、ゲートに印加するのはゼロ以下のバイアス、ということです。

IDSSというのは、所謂「漏れ電流」を指します。FETを分別する際はそのIDSSでやっておくといいと思います。

FETの場合はバイポーラトランジスタほどバラツキは大きくならないので、結構、データシートをアテにできます^^;

真空管とFET、実に共通要因が多いデバイスです・・・。
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真空管 (ホロン)
2013-01-08 21:32:50
実は真空管はまったくの未体験ゾーンなのです。その昔KT88プッシュプルのパワーアンプを持ってました。実にいい音をしていました。オーディオの世界は謎が多いですが、これもいまだに大いなる謎です。だって素子としての物理特性はトランジスタの方がずっといいですよね。今の目標は出力段にトランジスタかMOS-FETを使って、古のあの音に勝つことです。でも真空管アンプの音ってなんでいいんでしょうねえ...。

いま、あえてJ-FETを使う意味があるのはオーディオの世界のみじゃないかと、勝手に想像しています。
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J-FETを使う意味 (kaoaru)
2013-01-09 17:05:09
そうなんです。

J-FETは、それがたとえ2SK30Aであっても、バイポーラトランジスタよりも音がやわらかく感じるのです。

それ以外でも現役な分野は「ギターイフェクタ」ですね!

未だにガレージメーカみたいなところが製造販売しているのは「アナログ」です・・・というか、ギターイフェクタの場合はアナログでないといけないケースが多いですねぇ~!

2SK30Aも入手しづらくなってますが・・・。
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