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思索 電子回路 論評等 byホロン commux@mail.goo.ne.jp

【もぐら叩き】による品質の向上と事故低減

2010-07-02 22:43:53 | 安全・品質
品質および安全性向上のための方法として「モグラ叩きゲーム」を考えてみるのも一興である。

この時、穴から顔を出すモグラが品質不良であり怪我等の事故である。
また、モグラおよびモグラが顔を出す穴をハンマーで叩けば、モグラは出てこれないものとする。

プレーヤがまず最初にやることは、モグラが出てきそうな穴を見当を付けて、あらかじめ叩いておくことである。工場における実際の作業工程においては、不具合の発生しやすい箇所、事故が起こりやすい箇所はある程度想定することができるので、それに対しては事前に手を打つのは当然であろう。この時の手法としてリスクアセスメントなる方法を用いてもいっこうにかまわない。

さて、ゲームスタート。
あらかじめ塞いでおいた穴以外の穴から。モグラがぴょこぴょこと顔を出す。ここで、このゲームの本質を知らない人は、事前に塞いだ穴意外のところからモグラが顔を出すとは何たる不手際かと思うだろう。しかしこれは当然のことが起こっているに過ぎない。品質不良や事故は必ず想定外の所に発生するものなのだ。

そもそも、どのような作業工程であれ、そこに潜む不具合や事故のすべてを想定することは不可能である。未然に防止できたとしても、せいぜい1割程度であろう。なぜならば、根拠に基づいて想定することが極めて難しいからだ。

さて、このゲームの本質を知っているプレーヤは落ち着いたものである。まず最初に顔を出したモグラを確実に叩く。これによって、このモグラが出ることは2度とない。また、この最初に出たモグラの性質から、その他のモグラが出てきそうな穴を根拠を持って想定できるので、あらかじめその穴を叩いて潰してしまう。これはかなり確度の高い予防保全となる。

しばらくすると、また別の穴からモグラが顔を出す。これも確実に叩き潰す。あとはこれの繰返し。結果としてすべてのモグラは沈黙してしまう。これがもっとも最短時間、低コストで最大の効果を上げる品質保証、安全保障の方法である。

品質の国際基準であるISO9000がこの“再発防止”という手法が最も確実性が高いものと規定していること、また全世界の工場がやはりこの方法を持って品質保証、安全保障を行っているという事実が、方法としての妥当性を示していると言えるだろう。

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