ある産婦人科医のひとりごと

産婦人科医療のあれこれ。日記など。

尾鷲総合病院、産婦人科医を2人確保

2006年10月15日 | 地域周産期医療

コメント(私見)

私自身も、常勤の産婦人科医の数を何とかして1人でも増やしたいと思って、八方手を尽くしてリクルートの努力をしていますが、日本中どこもかしこも産婦人科医不足で必死になって医師を探していて、厳しい医師争奪戦が繰り広げられていて医師の確保は本当に至難の業です。医療関係者でもない尾鷲市長が、よくぞ2人も産婦人科医を探し出してきたものだとつくづく感心します。

産婦人科病棟が次々に閉鎖されていますが、辞めるまで病院でバリバリ働いていた経験豊富な産婦人科医が日本のそこかしこに多く存在しているはずです。働きやすい魅力ある職場環境があれば、多くの人がまた現場に復帰して戻って来てくれるかもしれません。特に、出産・育児などで医療現場から一時的に離れている女性医師の数は非常に多いと思われます。それほどの激務でなく、余裕を持って、楽しく働ける、現場復帰しやすい職場環境を作ってゆく必要があると考えています。

参考:

医師2人の内定を報告 議会で市長 尾鷲総合病院 (南海日日)

尾鷲市で産婦人科医消滅の危機

南和歌山医療センター:「院内助産所」を開設、年内には妊婦受け入れへ

産婦人科医を集約 「大病院に偏在」拍車 三重大

****** 中日新聞、2006年10月13日

尾鷲病院の産婦人科医確保
市長、奨励金の有効性訴える

 「同時に2人の医師を確保できたのは、たまたま。本当に幸運だった」。尾鷲総合病院の産婦人科医の後任に、津市栄町の元開業医野村浩史さん(50)が決まった12日、伊藤允久尾鷲市長は地方で繰り広げられる厳しい医師争奪戦の現状を会見で切々と語った。

 産婦人科休診の危機から一転、2人の医師確保を果たした伊藤市長は「来年4月に2人目の男性医師が着任するまで安心はできないが、肩の荷が半分下りました」と胸の内を明かした。

 しかし、話題が医師との交渉過程に移ると、ゆるんだ表情は消え、「中勢や北勢、名古屋市などに勝って、医師を確保しようと思ったら何らかのインセンティブが必要」と新設した奨励金制度の有効性を訴えた。

 最低でも5年間の勤務が見込める産婦人科医に上限500万円が支給される制度について市長は「市民の安心を考えたら、1年に100万円という支出は公益性があると判断した」と説明。また「今後、地方の自治体が独自に医師を確保しようと思ったら、こういった制度を設けなくてはならないのではないか」との見通しを示した。医師の集約化を進める国に対しては「尾鷲市のように交通が不便な土地にはセーフティーネットのような特例を設けても良いのではないか」と注文も忘れなかった。

 念願の医師確保に地元の喜びは大きい。「紀北地域に産婦人科の存続を願う会」の浜田捷穂代表(64)は「給与など難しいことは分からないが、市が長期的な視野に立って医師2人を確保してくれてうれしい。お医者さんを大切にして、安心してお産ができる街にしてほしい」と願いを口にした。

 着任が決まった野村医師は12日、本紙の取材に「妊婦に安心してもらえるよう、一生懸命仕事をしたい」と抱負を話した。(鈴木龍司)

(中日新聞、2006年10月13日)

****** 毎日新聞、2006年10月13日

尾鷲総合病院、産科医2人確保 休診回避へ----市長表明

 三重県尾鷲市の伊藤允久市長は12日、市立尾鷲総合病院の産婦人科医を2人確保できる見通しを明らかにした。現在の医師と待遇面で折り合わず、今月末で休診の予定だったが、ぎりぎりで回避された。

 1人は津市内の元開業医の男性医師(50)で19日に着任。市職員として採用し、年間給与は3000万円未満。他に5年勤務を条件に奨励金500万円を支給する。もう1人は県外で勤務している男性医師(65)で来春着任する。伊藤市長は「2人の医師がそろい、安心して出産できる体制が整う」と、胸をなでおろした。

 産婦人科の存続活動をしている尾鷲市内の主婦、浜田捷穂(かつほ)さん(64)は「身近に医師がいないのは妊婦や家族にとってとても不安。それを取り除いてもらえてホッとしている」と話した。【七見憲一】

(毎日新聞、2006年10月13日)

****** 毎日新聞、2006年10月13日

尾鷲総合病院:産科医確保、態勢維持に不安の声も 市長、三重大に協力要請

 12日開かれた尾鷲市議会の全員協議会で、伊藤允久市長は市立尾鷲総合病院で後任が不在だった産婦人科医について、2人確保するめどが立ったことを報告した。休診の危機を回避できただけに、市民からは安堵(あんど)の声が聞かれたが、この態勢をいつまでも維持できるかどうか心配する声も漏れた。

 医師の1人は津市内の元男性開業医(50)で今月19日に着任。もう1人は県外で勤務している男性医師(65)で来春に就任する予定だ。伊藤市長は「産婦人科がなくなると、少子化が進む地域社会の崩壊につながりかねない。医師不足の折、後任が決まり本当に幸運」と述べた。

 議員からは2人目の医師が着任するまでの約5カ月間、1人態勢になることを懸念する声も出たが、伊藤市長は「三重大医学部に一時的に医師を派遣してもらえるようお願いしている」と答えた。

 後任が決まったことについて、市内の家事手伝いの女性(25)は「産婦人科医が来てくれるのはうれしい。安心して結婚も考えられます」と喜んでいた。市内の男性会社員(50)は「これで一安心だが、ずっと居てくれるのかどうか心配」と話していた。【七見憲一】

(毎日新聞、2006年10月13日)