コロンブドール

Les Films de la Colombe d'Or 白鳩が黄金の鳩になるよう人生ドラマを語る!私家版萬日誌

生誕百年 木下惠介劇場 「赤い鳥のこころ」 若杉光夫脚本 南風洋子ナレーター作品上映あり

2012-10-03 | -お知らせ-

 現在、京橋フイルムセンター特集上映「生誕百年 木下惠介劇場  赤い鳥のこころ」上映作品中
 若杉光夫脚本 南風洋子ナレーター作品の上映があります。

「赤い鳥のこころ 日本名作童話シリーズ」は、木下惠介監督が作品全体の監修を行ったシリーズで、
テレビ朝日(ANB)系列で1979年2月5日から7月30日まで毎週月曜日19:00 ~ 19:30 に
放映された30分テレビアニメ・シリーズ番組。


 フイルムセンター 特集上映予定
10/10(水) 3:00pm  10/19(金) 7:00pm
赤い鳥のこころ 日本名作童話シリーズ 1-4
天までとどけ (24分・16mm・カラー)
'79(K&S)(監修)木下恵介(原)吉田絃二郎(監)(原画)椛島義夫(脚)若杉光夫(作画)スタジオ古留美(美)川本征平
(声)安田正則、小杉勇、杉本孝次、長慶子(ナレーター)南風洋子


10/11(木) 3:00pm  10/27(土) 4:00pm
赤い鳥のこころ 日本名作童話シリーズ 9-12
赤いろうそくと人魚 (24分・16mm・カラー)
'79(K&S)(監修)(脚)木下恵介(原)小川未明(監)大関雅章(作画)スタジオメイツ(原画)小泉謙三(美)伊藤攻洋
(声)里居正美、入江杏子、水原英子、白石珠江、山本哲也(ナレーター)南風洋子


10/11(木) 7:00pm  10/17(水) 3:00pm
赤い鳥のこころ 日本名作童話シリーズ 13-16
野ばら (24分・16mm・カラー)
'79(K&S)(監修)木下恵介(原)小川未明(監)(原画)(美)大竹伸一(脚)吉田一夫
(声)鈴木智、矢野勇夫、田口精一 (ナレーター)南風洋子

見捨てられた仔犬 (24分・16mm・カラー)
'79(K&S)(監修)木下恵介(原)下村千秋(監)大関雅章(脚)若杉光夫(原画)大宅幸男、一川孝久(美)伊藤攻洋
(声)戸谷支、牧野義介、棟方巴里爾、稲垣隆史 (ナレーター)南風洋子


詳 細
  生誕百年 木下惠介劇場 概要 上映作品リスト  フイルムセンターHP


追 記:鑑賞感想歓
 若杉光夫脚本南風洋子ナレーション 赤い鳥のこころ 日本名作童話シリーズ 「天までとどけ」(24分・16mm・カラー)観てきました。
さすがに第一回オープニング作品ですので、画と音楽・歌が同調している丁寧な作りの作品でした。
すでに放映されてから三十数年経っている作品ですが、所々記憶が残っていました・・・。少年弥一が学校から帰る途中の坂道、ラストのデホルメされた大きな火柱などボンヤリですが思い出しました。まだ、新潟で店の後片付けをしながら真冬にみたように思われますー。まさか後に、映像業界に入り若杉光夫監督、南風洋子さん一家とお知り合いになるとは思いもせずにいた頃です・・・。ーと言うより、あと何日かで入学試験があり上京し希望大学に入れるかの瀬戸際時の不安時に観たので脳裏に焼き付き覚えていたのかもしれません・・・。正に奇異な作品となり、またフイルムセンターの大画面で観られ再会出来たことも幸せを感じられます。
 今回改め大画面で観ましたら特にラスト、海難事故で帰ってこない父を少年弥一は、外国船に救助さなどして絶対生きていると信じ、その父に分かるよう 村の教室の皆んなと共に 火を焚き 円陣を組み歌を唄いなが手を繋ぎ回るシーは感動しました。そのシーンは特に画面に合わせ子供たちが歌う歌詞を作詞してあり、また画面により音楽だけで大きな火柱が天に舞い上がる様子を表現したりし子供たちが火を焚くテーマ「聖い火」を丁寧に演出しているのには驚き感動しました。
 また 他の作品では民芸が協力していました。

   童話 吉田絃二郎作 天までとどけ とっておき 佐賀の文学館

 上記の原作を読みますと、この若杉監督の脚本は24分弱の中にテーマが上手く映像作品に仕上げたと思いました。
特に、学校の女教師が父の死を認めるよう弥一に説得しようとするシーンは、村の人々皆々が言う事事の場面を一人の教師に全て言わせる省略法、そして教室での弥一の様子とそれを心配するクラスメイトの関係場面は、ラストの友情に結びついているので一入感銘するようです。上手いなと思いました。
 また、ラスト原作では父と子が再会した喜びで終わっていますが、この作品では原作に対して「聖い火」を焚いているのが自分の息子であることを思い出す場面でジ・エンドになる構成に、観客にその父と子の再会の幸せを更に想像させ、その観客個人の心に強く焼き付かせる省略強調方法は見事でした。
 南風さんのナレーションは、普段の細身からの実声はどちらかと言えば高音と思っていましたが、この作品は逆で声のトーンは低く最初南風さんと思われないほど違っていました・・・。何か、西洋のお伽話の出だしのような低音でハッキリしゆっくりした口調で驚きました。しかし不思議に和洋折衷のようでもこの赤い鳥シリーズは違和感が無いのはこのシリーズが古今東西を舞台にした日本児童文学の名作から構成されている証かもしれません。

「見捨てられた仔犬 」
 日本を舞台にした作品ですが、南風さんの低いトーンのナレーションで始まり、小学校を途中で中退し大工の見習いで出された少年の状況説明されます。このプロローグシーンは、市原さんの「日本昔ばなし」と構成テーマの違いを理解らせる顕著な場面でした。
 またこの作品も、オリジナルの唄が歌われ ♫私のふるさと という歌詞がおかあさんといっしょ風(芹洋子風な)声の歌が叙情豊かに流れていました。思えば、若杉脚本作品にはオリジナルな歌詞の唄が歌われている気がしましたが・・・・。

 なお第三回「ふしぎな窓」(24分・16mm・カラー)の脚本は山田太一さんです。山田太一さんは南風洋子さんの最後の舞台>「二人の長い影/林の中のナポリ」の戯曲を書いた人です。
山田太一さんが南風洋子さんのために書き下ろした戯曲作品でもあります。
 上記木下恵介作品をみますと、当時の業界関係が読み取れれ不思議で面白いものです。また蛇足ですが私個人においても、若杉南風御夫妻を知り、また松竹を退社した名島プロデューサー作品の松原組でTBSの緑山スタジオに行き、木下プロのスタッフとご一緒に仕事をさせて頂き、更に局内でも撮影させて頂きましたのも何かのご縁なのかもしれませんでした・・・。

  「林の中のナポリ」 劇団民藝HP