ドビュッシー:歌曲集
1. マンドリン |
2. 美しい夕暮れ |
3. 忘れられたアリエッタ~第4曲 木馬 |
4. 同~第5曲 グリーン |
5. 噴水 |
6. 海は美しい |
7. 羊の群と立ちならぶ生垣は… |
8. 「艶なる宴」第2集 |
9. フランスの2つのシャンソン |
10. フランソワ・ヴィヨンの3つのバラード |
11. 2人の恋人の散歩道 |
演奏:バリトン=ジェラール・スゼー
ピアノ=ダルトン・ボールドウィン
CD:ポリドール POCG3038
日本人は学校で最初に、シューベルトとかシューマンなどのドイツリートや合唱曲を教え込まれる。これは今も変わっていないと思う。リートとか合唱曲はドイツがベースとなって歌ったり、聴いたりしてきた。そんな環境でフランスのリートを聴いたらどうなるか。一瞬聴くとやはり違和感が先に立つ。しかし、ドイツリートをベースに聴くからそう感じるだけなんだろう。このCDのドビュッシーのリートを聴くと最初どうしても違和感にとらわれる。しかし、じっと聴いていくうちその違和感も徐々に薄れ、逆にそこはかとない感覚が、何か東洋的な趣がしてくるから不思議だ。私はこのドビュッシーのリートを聴くと“百人一首”の世界を思い浮かべる。
バリトンのジェラール・スゼーはフランス人のバリトンで、当然のことながらドビュッシー、フォーレ、デュパルクなどを得意としてきた。一方、シューベルトやシューマンなどドイツリートもCDに録音している。スゼーの録音したシューマンの“詩人の恋”は今でも私のお気に入りNo.1である。スゼーはこれまで“ビロードのような美しい声”で、幾多のリスナーを魅了してきた。ピアノ伴奏のボールドウィンとの息がぴったり合っていることも、魅力を倍増させている。このドビュッシーのリートを収めたCDの最初の曲は“美しい夕暮れ”であるが、フランスのリートは何故か夕暮れに聴くとその魅力が一層深まる。(蔵 志津久)