【歴史的名盤CD選集】
~名指揮者セルジュ・チェリビダッケの真価が聴けるムソログスキー:組曲「展覧会の絵」~
ムソログスキー:組曲「展覧会の絵」
プロムナード/グノムス(小人)/プロムナード/古い城/プロムナード/
テュイルリーの庭/ブィドロ/プロムナード/卵の殻をつけたヒナの踊り/
サムエル・ゴールデンベルクとシュムイレ/リモージュの市場/
カタコンブ(ローマ時代の墓地)/死者との対話/ババ・ヤガー(鶏の足のうえ)の小屋/
キエフの大門
ラヴェル:「ボレロ」
指揮:セルジュ・チェリビダッケ
管弦楽:ミュンヘン・フィルハーモニー管弦楽団
録音:1933年9月24日&25日(展覧会の絵)/1994年6月18日(ボレロ)<ライヴ録音>
CD:EMIミュージック・ジャパン TOCE16009
セルジュ・チェリビダッケ(1912年―1996年)は、ルーマニア生れのドイツで活躍した名指揮者。ベルリン音楽大学などで学び、第二次世界大戦後、ベルリン放送交響楽団の指揮者コンクールで優勝。その後、ベルリン・フィルで指揮者デビューを飾り、ベルリン・フィルの首席指揮者に就任する。当時チェリビダッケへの評価は高かったが、楽団員との間でトラブルが多く、ベルリン・フィルを指揮することを止めてしまう。その後、南ドイツ放送交響楽団(シュトゥットガルト放送交響楽団)の定期客演指揮者を経て、1979年ミュンヘン・フィルハーモニー管弦楽団の首席指揮者に就任。1977年には初来日を果たし、以後しばしば日本を訪れた。このCDのムソログスキー:組曲「展覧会の絵」においてチェリビダッケは、ゆっくりとしたテンポで始め、この曲の持つ多彩な側面を詩情豊かに表現する。この曲で多くの指揮者は力強くダイナミックに演奏するが、チェリビダッケは1曲、1曲に物語性を持たせるように、色彩感溢れる指揮ぶりを聴かせる。この結果、従来のイメージを一新した「展覧会の絵」が、ここで新たにつくられたように感じられるような名演を遺すことになった。フルトヴェングラーやカラヤンの人気の陰に隠れた名指揮者セルジュ・チェリビダッケの真価を見せつけたのが、このライヴ録音番だ。(蔵 志津久)