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★ 私のクラシック音楽館 (MCM) ★ 蔵 志津久

クラシック音楽研究者 蔵 志津久によるCD/DVDの名曲・名盤の紹介および最新コンサート情報/新刊書のブログ

◇クラシック音楽◇新刊情報

2021-05-18 09:38:11 | 新刊情報



<新刊情報>



書名:樂聖と絃~ベートーヴェン 弦楽器のための作品たち~

編者:音楽の友

発行:音楽の友社(ONTOMO MOOK)

 2020年に生誕250周年を迎えた「楽聖」ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェンの偉業の中から、弦楽器のために書かれた作品について、その内容と魅力を紹介。ベートーヴェンの三大ジャンルのうちの一つ、弦楽四重奏曲全16曲の他、「王者」ヴァイオリン協奏曲、ヴァイオリン奏者、チェロ奏者にとってのレパートリーの中核となる、ヴァイオリン・ソナタ全10曲、チェロ・ソナタ全5曲、その他弦楽器を編成に含んだ室内楽作品について取り扱う。最新の研究を反映した読み物から「買い物ガイド」に適した名演カタログまで収載し、ベートーヴェンの創作の多様性について考察しながら、その醍醐味を十分に味わってもらう。




書名:孤独のアンサンブル~コロナ禍に「音楽の力」を信じる~

著者:村松 秀

発行:中央公論新社

 コロナ禍により、クラシックの演奏家たちは活動を制限された。演奏会はすべて中止、アンサンブルの練習もできない。自宅の防音室にこもる日々、彼らは音楽、職業、生活について何を考えたのか。――オーケストラのトッププレイヤーたちが外出自粛の中、自宅でたった一人音楽を奏でていく番組を作る。同書はNHKプロデューサーのそんな思いから始まった2020年の半年間のドキュメントである。「孤独のアンサンブル」から「孤独のアンサンブル~希望編」、そして「明日へのアンサンブル」へ。プレイヤー一人一人の思いとあの「音」が甦る。





書名:クラシック名曲「酷評」事典 <上><下>~罵詈雑言ばかりを集めた20世紀の奇書~

著者:ニコラス・スロニムスキー

訳者:藤村 奈緒美

発行:ヤマハミュージックメディア

 奇才ニコラス・スロニムスキーによって編まれた、酷評だらけの音楽事典。歴史という琥珀に封じ込められた小さな短慮の数々から、我々は何を学ぶことができるのか?同書には禁断の甘い毒がたっぷり含まれている。「劇薬であり強烈な効き目のある酷評なので、責任感ある薬剤師ならラベルに次のような注意事項を記載しておくかもしれない。(1)丸のみにしないでください、そして、(2)希釈してご利用ください」――ピーター・シックリー(「新版への序文」より)




書名:宝塚歌劇団の経営学

著者:森下信雄

発行:東洋経済新報社

 まさに今、世界中が新型コロナウイルスの猛威に翻弄されている。なかなか収束の出口が見えず、五里霧中ではあるが、ただ一つ確実なことがある。それはウィズコロナの時代には、流行前と比べて我々の住む世界が一変するということだ。同書は、戦前から様々な難局を超えて100年以上、事業を継続してきた宝塚歌劇団の実態に迫る。「知る人ぞ知る」「ニッチな」エンターテイメント事業に隠された経営の秘訣は、ウィズコロナ時代が本格的に到来しても不変の真理であり、かつ多くの企業の経営戦略にも敷衍できるものであると確信している。元宝塚総支配人で気鋭の経営学者が、100年ずっとひとり勝ちの「宝塚歌劇団」の謎を経営学的に分析。
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◇クラシック音楽◇新刊情報

2021-04-20 09:52:53 | 新刊情報



<新刊情報>



書名:1冊でわかる ピアノのすべて~調律師が教える歴史と音とメカニズム~

著者:青山一郎

発行:アルテスパブリッシング
 
 聴く人にも、弾く人にも、調律を志す人にも、ベテラン調律師が長年の経験と研究成果のありったけを注ぎ込み、豊富な図版を駆使してレクチャーする。ピアノの中を覗いて見たこと、ありますか?ピアノの音がどうやって鳴り響くか、知っていますか?調律師だけが知っている「魅力的な音色をつくるワザ」、伝授。ドイツのピアノ会社にも招聘されたピアノ調律師が長年の経験と研究成果のありったけを注ぎ込み、自ら作成した詳細な図版を用いて、ピアノの歴史・音・仕組みを徹底解説。「モーツァルトがびっくりしたピアノ」「ショパンの弾いたとんでもないピアノ」「信長とピアノ」といった知られざる歴史エピソードから、誰もが悩むさまざまな音律の問題、演奏者が知っておきたい内部構造、打鍵やペダルのメカニズムまで、痒いところに手が届く紙上レクチャー。用語集も兼ねた索引や、グランド・ピアノ、アップライト・ピアノそれぞれの各部名称図も完備。聴く人にも弾く人にも、調律を志す人にもおすすめの1冊。




書名:バッハ、神と人のはざまで

著者:鈴木雅明

発行:音楽の友社

 世界的バッハ演奏の第一人者、バッハ・コレギウム・ジャパン(BCJ)音楽監督の鈴木雅明、待望の単著刊行。作曲家自身を超え、より崇高な価値へと世界中で再創造され続け、人々を惹きつけてやまないバッハの音楽。その音楽と、そこから溢れ出る恵みを我々に届けるために、楽譜と睨み合い、心に去来した様々な断片――マタイ、ヨハネ、ロ短調ミサ、カンタータ、指揮、オルガン、旅……。BCJファンが毎公演楽しみにしている定期公演プログラム「巻頭言」から、自身の著作集所収にふさわしい原稿を厳選。編み直し、書き下ろしの「キリスト教音楽 曲種ノート」やバッハの価値を改めて定義した序文(はじめに)、未公開写真などを加え、1冊の本としてまとめた。





書名:音楽と真のリーダーシップ~カーネギーホール総監督兼芸術監督は語る~

著者:ロバート・リム、クライヴ・ギリンソン

訳者:平野 佳

発行:日本経済新聞出版社

 同書は、我が儘なアーチストたちで構成される世界的な芸術・文化的組織を率い、市民の支持を得ると同時に収益も上げてきたリーダーが、その実践するマネジメント哲学、リーダーシップのあり方を幅広く語るもの。カーネギーホールのエグゼクティブ・ディレクター兼芸術担当として組織の運営に携わるクライブ・ギリンソンに、Arch Street Pressの編集主幹ロバート・リムがインタビューをする。





書名:ジャズ超名盤研究 3

著者:小川隆夫

発行:シンコーミュージック・エンタテイメント

 音楽ジャーナリスト=小川隆夫が、ジャズ・ファンにお馴染みの「超名盤」を、作品データや背景解説、メンバーや全曲の紹介、関係者の発言、関連盤ガイドなどで徹底的に解剖して好評を得ていた「スイング・ジャーナル」の人気連載「ジャズ超名盤研究」。それを書籍化した第1弾(34枚)、オール書き下ろしの第2弾(33枚)に続く第3弾が登場。今回も33枚を書き下ろし、遂にシリーズ通算100枚に到達!。ジャズ入門者からベテラン・リスナーまで、読めばまたあの名アルバムをじっくりと聴きたくなること間違いなし。
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◇クラシック音楽◇新刊情報

2021-03-16 09:47:28 | 新刊情報




<新刊情報>



書名:ベートーヴェンは凄い!

著者:三枝成彰、武田 倫子

写真:大杉 輝

発行:五月書房新社
 
 ベートーヴェン生誕250周年記念。大晦日の、新しい伝説の記録。ベートーヴェンの9つの交響曲全部を毎年大晦日に一挙に演奏するという世界でも類を見ないマラソン演奏会を続けて、今年でもう17年。そのたびに出されるプログラムも充実していて読みごたえがあると評判に。その話題のプログラムに掲載された論考・エッセイを選りすぐり、さらにベートーヴェンの「引越し」や「食生活」についての新原稿を加え、2020年のベートーヴェン生誕250周年のメモリアルイヤーに、待望の書籍化。岩城宏之が、ロリン・マーゼルが、小林研一郎が、渾身の力をこめて全曲を振り切った、輝かしくも新しい伝説の記録。苦難の時代を乗り切るための力が、ベートーヴェンの音楽にはある。




書名:青春18ディスク~私がオトナになるまでのレコード史~

編者:レコード芸術

発行:音楽の友社(ONTOMO MOOK)

 読めばあなたも語りたくなる!「『あの音楽と出会ったのはいつだったか』という編集部からの問いかけで過去を思い返すのは、個人的に珍しい体験だった。気づけば一生懸命LPを探していました」(久石 譲)。久石 譲やピアニストの仲道郁代、『テルマエ・ロマエ』のヤマザキマリ、『蜜蜂と遠雷』の恩田陸など、音楽関係者を中心に各界の著名人18人が登場。幼いころから大人になるまでに聴いてきて、その人生に影響を与えたディスクについて熱く語る。『レコード芸術』好評連載のムック化。掲載順は“音楽つながり”。前後の登場人物には作曲家、作品、演奏者など、挙げたディスクのどこかにささやかな共通項が隠れている。時には意外な接点が見つかることも?「人生の50枚~私のリピート・ディスク・リスト」は、音楽評論家を中心に、音盤に魅せられた人たちがいかなる「音楽の旅」をしてきたのか、ディスクそのものが語る興味深い内容。




書名:モーツァルト 愛と死 Ⅰ・Ⅱ ~マリアに抱かれし人びと~

著者:塩山千仭

発行:春秋社

 「ハ短調ミサ曲」はなぜ未完に終わったのか。モーツァルトの愛と祈りの軌跡――「書簡」の丹念な読解から見えてくる新たな人間像と生涯のトピックス。音楽創造の背景に潜む謎。アロイジアとコンスタンツェをめぐる虚々実々の人間模様が大胆かつ詳らかに描かれる。モーツァルトの死に際し、なぜ検屍がおこなわれたのか。モーツァルト一家に忍び寄る「宿命の跫音」。父レオポルトが生涯苦しめられてきた「疾病」の内実と悪戦苦闘の闘いを活写。モーツァルトの死に関わるドキュメントを綿密な資料分析と斬新な視点で読み解く




書名:日本音楽博物館論

著者:井上裕太

発行:同成社

 明治期から近年にいたる音楽博物館の歴史を詳述し、その役割と課題を具体的に検証。日本における音楽博物館の全貌を明らかにする。
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◇クラシック音楽◇新刊情報

2021-02-16 09:38:36 | 新刊情報



<新刊情報>



書名:朝比奈隆 ベートーヴェンの交響曲を語る

著者:朝比奈隆

編者:東条碩夫

発行:中央公論新社(中公文庫)

 ベートーヴェン生誕250年記念文庫化。全9曲を第一人者が徹底解説。ベートーヴェンの九つの交響曲について、新日本フィルハーモニー交響楽団との連続演奏会(チクルス)をふまえて、指揮者・朝比奈氏がみずから、スコアと実際の演奏に即して楽曲の細目(技術面・演奏家心理・演奏習慣・解釈比較など)について語る。演奏論であると同時に作品論。ベートーヴェンの交響曲を聞き込んだ人にも、驚きと興味を持って受け止められることとなろう。






書名:西洋音楽の正体~調と和声の不思議を探る~

著者:伊藤友計

発行:講談社(講談社選書メチエ)

 「西洋音楽」とは何か。それはどのように形成されてきたのか。古代ギリシア人によって気づかれた、音の高低と数学の関係、音の並び。それは音楽として中世から近代へと西洋で練り上げられていった。音階や半音の発見、音を重ねることへの傾きと和音原理の探究、長調・短調の整序と規則の整理、また、人間的感情の美的表現から心地よさの追求へ。西洋音楽は、一つの「世界創造」であった。本書では、その楽理の由来、実践の発展を訪ね、自然と音楽の関係、背景にある思想の展開に焦点を当てる。西洋音楽とは普遍性を持つものなのか。自然のなかにドレミファソラシドはあるのか。







書名:近代日本の音楽百年 第3巻 レコード歌謡の誕生

著者:細川周平

発行:岩波書店

 関東大震災以降、音響テクノロジーの進化と複製技術の発展によって、大きな転換期を迎えた音楽産業の様相を叙述する。レコード会社は、作詞・作曲・演奏・歌唱を統括して、流行歌謡の大ヒットと大量消費を巧みに主導していった。併せて、ラジオやトーキーをはじめ同時代におけるメディアの強化と人びとの知覚の変容を描く。






書名:現代音楽史~闘争しつづける芸術のゆくえ~

著者:沼野雄司

発行:中央公論新社(中公新書)

 長い歴史をもつ西洋音楽は、20世紀に至って大きく変貌する。シェーンベルクやストラヴィンスキーに始まり、ジョン・ケージ、武満徹、バーンスタイン……。多くの作曲家が既存の音楽の解体をめざして、無調、十二音技法、トーン・クラスター、偶然性の音楽などといったさまざまな技法を開発し、音の実験を繰り広げた。激動する政治や社会、思想を反映しながら時代との闘争を続ける「新しい」音楽のゆくえとは。
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◇クラシック音楽◇新刊情報

2021-01-19 09:51:57 | 新刊情報



<新刊情報>



書名:ベートーヴェン 一曲一生

著者:新保祐司

発行:藤原書店

 なぜベートーヴェンは近代を、そして現代を超えるのか? 近代の暮れ方に訪れた新型コロナ禍の“異常な”100日間、ベートーヴェンの作品を1日1曲、ほぼ全て聴き尽くして辿りついた、ベートーヴェンの神髄とは? 新たな主題の「発見」でも、主題の新たな「解釈」でもなく、真に内発的な「主題の変奏」という、その「天才」の本質に迫る力作批評。生誕250年記念出版。




書名:音楽の肖像

画・文/堀内誠一

著・詩/谷川俊太郎

発行:小学館

 あのベストセラー「マザー・グースのうた」の名コンビが復活した。堀内誠一が遺した素晴らしい肖像画とエッセイに、谷川の詩が協奏する。カラーも満載の宝物のような一冊。収録された作曲家は以下の人々――モーツァルト/ドヴォルザーク/ドビュッシー/フォーレ/ファリャ/グリーグ/シューマン/ショパン/ベートーヴェン/ブラームス/ガーシュイン/ミヨー/シューベルト/ムソルグスキー/ラヴェル/ハイドン/ラフマニノフ/ビゼー/サン=サーンス/バッハ/エリック・サティ/プロコフィエフ/メンデルスゾーン/グラナドス/バルトーク/ストラヴィンスキー/リスト/チャイコフスキー/(掲載順)。見開きの右ページに堀内による各作曲家の軽快なエッセイ、左ページにカラーの肖像画、そして次の見開きに谷川による全作曲家にちなんだ詩(5ページに及ぶ詩もあり、モーツァルトとバッハは複数篇を収録、書下ろしも多数)。





書名:至高の指揮者たち~20~21世紀の名指揮者が語る音楽と指揮芸術~

編者:音楽の友、レコード芸術

発行:音楽の友社
 
 指揮者が変わればオーケストラは変わる、音楽も――。オーケストラの中でただひとり、音を発することなく、タクト一本でオーケストラに指示を出し、万華鏡のように変化する多彩な音色、アゴーギク、強弱をまとめ上げ、一つの音楽を作り上げる指揮者。同ムックでは、19世紀から現代まで、世界の名門オーケストラの「黄金期」と言うべき時代を築いた名指揮者たちを厳選、その「技」と「芸術」がどのようなものであったのかを見ていく。「音楽の友」「レコード芸術」編ならではの強力な音楽評論家諸氏の書き下ろしの原稿に、往年、あるいは現在第一線で活躍する名指揮者たちへのインタヴュー記事――作品論・演奏論など――を挟み込みながら、「指揮者とは何か?」「名指揮者の条件」「指揮者とオーケストラの幸せな関係」等について、さまざまな角度から見ていく。







書名:音楽で生きる方法~高校生からの音大受験、留学、仕事と将来~

著者:相澤 真一、高橋 かおり、坂本 光太、輪湖 里奈

発行:青弓社

 どうすれば音楽で生きていけるのか。大学をどう選び、大学でどう過ごして、留学や仕事にどう向き合えばいいのか。20人以上の音楽関係者へのインタビューから貴重な経験を取り出して、音大のリサーチ方法から受験の準備、入学後のレッスン、卒業後の留学やキャリアの選択、オーケストラへの就職以外の選択肢、演奏家の心身のケアやストレス対策までを、音楽の道に進むなかで出会う出来事の順に沿って具体的に解説する。音楽での成功体験をまとめるのではなく、卒業後のキャリア戦略だけを説くのでもなく、人文社会科学の研究者と職業音楽家がコラボして、音楽を続けるなかで向き合う現実や音楽と楽しく歩むためのコツを共有する。「部活」「オンラインレッスン」「謝礼と契約」など、コラムも充実。
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◇クラシック音楽◇新刊情報

2020-12-15 09:36:03 | 新刊情報



<新刊情報>



書名:つながりと流れがよくわかる 西洋音楽の歴史

著者:岸本宏子、酒巻和子、小畑恒夫、石川亮子、有田栄

イラスト:河合千明

発行:アルテスパブリッシング

 クラシック音楽はどこから来て、どこへ向かうのか?神の音楽から人の音楽へ、そして世界音楽の時代へ──。因果関係(ストーリー)が見える納得の音楽史!西洋音楽の「西洋」って?その基盤となった古代ギリシャの音楽観とは?多大な影響を与える3大宗教とは?─。クラシック音楽の解説本は数あれど、その成り立ちから「そもそも」のところをわかりやすく教えてくれるのはこの本だけ。「1 西洋音楽ができるまで」「2 神の音楽から人の音楽へ」「3 西洋音楽のたたわな実り、そして……」の3部構成で、たんなる作曲家や作品のカタログではなく、西洋音楽の流れを解きほぐし、初心者にも理解できるように書かれている。




書名:ベートーヴェン~音楽の革命はいかに成し遂げられたか~

著者:中野 雄

発行:文芸春秋(文春新書)

 ベートーヴェンは手掛けたほぼすべてのジャンル──交響曲(全9曲)、ピアノ協奏曲(全5曲)、弦楽四重奏曲(全16曲)、ピアノ三重奏曲(全7曲)、ピアノ・ソナタ(全32曲)、ヴァイオリン・ソナタ(全10曲)、チェロ・ソナタ(全5曲)などがすべて傑作揃いで、後世の演奏家はこれらを「全集」として生涯、レパートリーにし、ステージで挑戦し、愛奏する。レコード会社はクラシック音楽部門のドル箱として、LP、CD、DVD、LDなどで競って「全集」をリリースする。このような作曲家は音楽史上、ベートーヴェンただ一人である。しかも、どのジャンルにおいても作品には史上最高の傑作が含まれている。このような人の作品と人生を語り尽くすことは至難の業──「不可能」と言えるかもしれない。しかしこの小著が、2020年、彼の生誕250周年という節目の年に刊行されることによって、読者にこの不世出の人物の人生と作品の一端をご理解いただけるとしたら、同じ音楽の世界に身を置く者として、これ以上の喜びはない。(中野 雄)




書名:ベートーヴェンと日本人

著者:浦久俊彦

発行:新潮社(新潮新書)

 幕末から明治にかけての日本人には「耳障り」だったクラシック音楽は、「軍事制度」の一環として社会に浸透し、ドイツ教養主義の風潮とともに「文化」として根付いていった。そして日本は、ベートーヴェンが「楽聖」となり、世界のどこよりも「第九」が演奏される国となっていく――。明治・大正のクラシック音楽受容の進展を描きながら、西欧文明と出会った日本の「文化的変容」を描き出す。なんで「第九」が年末の風物詩になったのだ? クラシック音楽が「異物」から「教養」に変容する姿を描いた発見と興奮の文化論。




書名:ヴァイオリニストの第五楽章

著者:前橋汀子

発行:日本経済新聞出版社

 デビューから半世紀以上、日本を代表する国際的バイオリニストとして今も演奏活動を続ける前橋汀子が、数奇な運命を経た自身の音楽家人生を回顧し、現在地を見つめる。その半生は戦後日本に欧米と遜色のないクラシック音楽が定着していった時代の記録として貴重だ。ロシア革命の混乱期に来日した帝政ロシア貴族出身の小野アンナに5歳で師事し、斎藤秀雄から直接手ほどきを受けた最後の世代。冷戦下にロシア語を学び、レニングラード音楽院が共産圏以外から初めて留学生を招くことになった第一号となり、「ロシアの魂」を肌で感じる体験を自身の音楽の根本に据える。その後は、戦後のクラシック音楽をリードしたNYのジュリア-ド音楽院に学び、スイスのヨーゼフ・シゲティのもとで研鑽をつんで国際的に活躍。同書の第二部では、演奏家としての楽曲の思い出を綴り、第三部で人生最大のミステリーと語るロシア留学について、その時代背景と意味をロシア文学者の亀山郁夫さんと語り合う。
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◇クラシック音楽◇新刊情報

2020-11-17 09:35:28 | 新刊情報



<新刊情報>



書名:音楽の危機~《第九》が歌えなくなった日~

著者:岡田暁生

発行:中央公論新社(中公新書)

 2020年、世界的なコロナ禍でライブやコンサートが次々と中止になり、「音楽が消える」事態に陥った。集うことすらできない――。交響曲からオペラ、ジャズ、ロックに至るまで、近代市民社会と共に発展してきた文化がかつてない窮地を迎えている。一方で、利便性を極めたストリーミングや録音メディアが「音楽の不在」を覆い隠し、私たちの危機感は麻痺している。文化の終焉か、それとも変化の契機か。音楽のゆくえを探る。




書名:伝記 オリヴィエ・メシアン(上)(下)~音楽に生きた信仰者~

著者:ピーター・ヒル、ナイジェル・シメオネ

訳者:藤田 茂

発行:音楽の友社

 20世紀フランスを代表する作曲家、オリヴィエ・メシアン(1908–92)の伝記。ロリオ=メシアン夫人が生前に管理していた膨大な資料をもとに、これまで公式発言の奥に隠れて見えなかった人間メシアンの真実に迫る。東京音楽大学教授・現代フランス音楽研究の第一人者の藤田茂が、読みやすい文章で訳した。メシアンのプライベート写真や手稿譜などの貴重な資料を上下巻で合計約200点掲載。上巻では、メシアンの誕生から50代はじめまでが描かれる。詩と音楽に見守られて育った少年が、いかにして音楽家として自己を確立していくのか。活動と瞑想のあいだを往復しながら世代をリードする存在となった作曲家が、何を探し、何を見出し、何を作り出したのか。下巻では、50代はじめから83歳で亡くなるまでが描かれる。神の愛にとどまりつづけた人間の人生のドキュメントがここにある。作品目録・参考文献・索引つき。





書名:旅ごころはリュートに乗って~歌がみちびく中世巡礼~

著者:星野博美

発行:平凡社

 古楽器リュートに魅せられて、時空を超えた旅に出た。舞台はルネサら中世へ、やがて現代世界にも響くキリスト教の深い闇へ。




書名:近代日本のジャズセンセーション  

著者:青木 学

発行:青弓社

 大正末期から戦前・戦中に、ジャズが若者を中心に一大センセーションを巻き起こした。その熱狂の理由は何だったのか。多くの史料を渉猟して、自由でモダンな空気を当時の人々にもたらし、多様な文化に多大な影響を与えた受容のインパクトに光を当てる。
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◇クラシック音楽◇新刊情報

2020-10-13 09:35:06 | 新刊情報



<新刊情報>



書名:モーツァルト

著者:岡田暁生

発行:筑摩書房(ちくまプリマー新書)

 完璧なる優美と美の残酷――人間の喜びと悲しみの間の無限の綾を描き得た音楽史上ただ一人の天才の真実とは? 作品から解き明かす。




書名:チェロの100年史~1740~1840年の技法と演奏実践~

著者:ヴァレリー・ウォルデン

訳者:松田 健

発行:道和書院

 伴奏のための楽器から重要な独奏楽器へ。チェロが現在のチェロになるまでの波乱万丈の物語。




書名:オペラがわかる101の質問

著者:ザビーネ・ヘンツェ゠デーリング、ジークハルト・デーリング

訳者:長木誠司

発行:アルテスパブリッシング

 愛すべき娯楽か、偉大なる芸術か、はたまた壮大な無駄遣いか──。オペラの歴史と最新事情から、政治との関係、劇場経営の裏側まで、これまで語られなかったすべてがわかる。オペラはどこで、どうしてできたの?オペラは社会に役立つの?なぜ神話を題材にした作品が多いの?歌劇場でいちばん偉いのはだれ?拍手は、ブーイングはいつ始まったの?もっとも上演頻度が高いオペラは?西洋の芸術の粋──オペラ。誰もが疑問に思い、でも質問をためらってしまいがちな101のクエスチョンに、ドイツを代表するオペラ学者夫妻がマジレスする。初心者だけでなく、オペラ通にもおすすめの「オペラ超入門」。





書名:ベートーヴェン《第九》すみからすみまで~演奏家が語る大いなる音楽世界遺産~

編者:音楽の友、レコード芸術

発行:音楽の友社(ONTOMO MOOK)

 2020年12月、ベートーヴェンは250歳。《第九》シーズンと重なることから〝ベートーヴェン・イヤー〟のハイライトとなろう。同企画は既刊、ONTOMO MOOK「ベートーヴェンの交響曲&協奏曲」(2019年12月)、「ベートーヴェン 32のピアノ・ソナタ」(2020年4月)に続く、楽聖生誕250年記念MOOKの第3弾。4章立て。第1章では「音楽の友」「レコード芸術」に掲載された指揮者、歌手、オーケストラ団員がそれぞれに語る《第九》論、《第九》の魅力をまとめて紹介する。第2章は「第九物語」として、《第九》の成立過程、初演とその後、日本における受容史などを詳しく見ていく。「第3章」では、管弦楽と声楽から成る《第九》という作品に様々な角度から光をあて、分析、解剖する。「第4章」では、古今東西の《第九》の名盤とその名指揮者たちを紹介する。「巻末」には同書をより深く理解する一助として、ベートーヴェンの生涯と《第九》に絡む出来事を年表にして掲載。
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◇クラシック音楽◇新刊情報

2020-09-15 09:35:51 | 新刊情報





<新刊情報>




書名:集英社クオータリー「kotoba」 2020年秋号 特集「ベートーヴェン 1770-2020」

著者:仲道郁代、他

発行:集英社

 特集「ベートーヴェン 1770-2020」 ドイツの作曲家ベートーヴェンの音楽は、常に民衆と共にあった。困窮のなかでも倦むことなく音楽の腕を磨き、聴力を失いながらも作曲を続けた彼の生き様と音楽は、現在も我々に光を与えつづける。生誕から250年を経た今、比類なき「楽聖」の世界を、関連する文学、映画などから読み解き、その音楽の真髄に迫る。Ⅰ  ベートーヴェンを奏でる:仲道郁代 ベートーヴェンの人間讃歌――生と死のはざまを越えて/佐渡 裕 僕が「第九」を振る理由、他 Ⅱ ベートーヴェンとその時代:坂本龍一×小沼純一/音楽革命の正体をあばく――私的ベートーヴェン論、他 Ⅲ  ベートーヴェンの新しい楽しみ方:千住 明 寄り添う音楽の本質/菊地成孔 映画の中のベートーヴェン、他





書名:クラシック音楽家のためのセルフマネジメント・ハンドブック

著者:ベルンハルト・ケレス、ベッティーナ・メーネ

日本語版監修:石田麻子

訳者:後藤菜穂子

発行:アルテスパブリッシング

 誰にも頼れない時代をサヴァイヴする!仕事を始めてすぐに必要となる知識からキャリア形成の考え方まで、芸術面でも経済面でも成功を収める術を実践的にアドバイス!オペラ歌手としてキャリアを歩んだのちビジネス界に転身し、現在は音楽家やアンサンブルのコーチング芸術団体やスタートアップ企業のアドバイザーとしても活躍する著者が、若い音楽家たちに欠かせないビジネス面の考え方や基礎知識を懇切丁寧かつ実践的に指南する。自分の売り込み方、ギャラの交渉、SNS活用術、写真や動画の見せ方、ファンとの付き合い方、クラウドファンディングの極意、資金管理……。





書名:交響録 N響で出会った名指揮者たち

著者:茂木大輔

発行:音楽の友社

 N響30年。元首席オーボエ奏者にして人気エッセイスト、しかも現役指揮者でもある著者が、N響で共演した巨匠・名指揮者(34名+約100名)との思い出を綴る。聴くだけではわからない指揮者の個性、仕事ぶり、普段の姿、また、現在指揮者として活躍する著者からみた彼らの技量…。そして、彼らとの演奏により著者が味わった感動や熱い想いが、読者も自らの聴取体験と重ね合わせながらしみじみと味わえる。





書名:面白いほどわかる!クラシック入門  

著者:松本大輔

発行:青弓社

 クラシックの大作曲家の多くが書いている交響曲を聴いて、大作曲家の歩みを追えばクラシックの魅力と歴史はすぐにわかる。「ピアノ曲はよく聴くけど、交響曲なんて聴いたことないよ」と尻込みしないで、交響曲の世界を大枠で把握しておけば、協奏曲や室内楽作品、ピアノ曲や声楽・オペラ作品、そしてバロック、ルネサンスの音楽、はては現代音楽までを理解する基本をすべて押さえることができる。「まずは交響曲! ナニがナンでも交響曲!」と言い切る著者は輸入CDを販売したり絶版の名盤を復刻したりするクラシック音楽業界の有名人。その指南役が、「聴いたことがなくても大丈夫。この本を読んで興味をもてば大丈夫。この本を読んで聴きたくなればいい。そして面白そうなものから聴いちゃえばいい」と、「肩の力を抜いて、気楽に楽しんで!」と解説していく。自分の12歳からの経験を語りながら、これまでにはない切り口で、楽しく、おもしろく、クラシックの魅力に導く〈世界でいちばんやさしい、14歳から大人までの入門書〉。
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◇クラシック音楽◇新刊情報

2020-08-18 09:39:41 | 新刊情報



<新刊情報>



書名:ベートーヴェン 巨匠への道

著者:門馬直美

発行:講談社(講談社学術文庫)

 1972年にウィーンの地にに立った一人の青年音楽家は、その後いかなる道のりをたどって、「楽聖」となったのか。師ハイドンはじめ同時代の音楽家たちとの出会い、「エロイカ」「第十交響曲」創作の謎、家族関係の苦悩と波乱の生活、各界の理解者や奇人らとの友情、そして恋人……。音楽のあり方を根本から変え、傑作を生み出し続けたその生涯に、音楽評論の名手が全角度から光を当てる、珠玉の二十話。





書名:明子のピアノ~被爆をこえて奏で継ぐ~

著者:中村真人

発行:岩波書店

 19歳で広島の原爆に命を奪われた河本明子さん。その愛奏していたピアノは、戦後、長い沈黙ののち偶然に近い形で発見され、このピアノに思いを寄せる人々の尽力で響きを取り戻す。やがてマルタ・アルゲリッチ、藤倉大など世界的音楽家たちが加わり、平和のハーモニーは広がる――。原爆の記憶を奏で継ぎ、未来に繋げる物語。





書名:オーケストラ~知りたかったことのすべて~

著者:クリスチャン・メルラン

序文:リッカルド・ムーティ

訳者:藤本優子、山田浩之

発行:いすず書房

 有機的存在としてのオーケストラ一般というトピックは、これまで書ける人がいなかった。他にまったく類のないこの人間組織の核心にせまる画期的かつ最高に楽しい本を、ここに刊行する。基本的問題からちょっと気になる小事まで、世界のオーケストラや楽団員や指揮者のあらゆる情報を満載。この600頁に及ぶ「事典的エッセイ」に、ファンは満喫できること間違いないだろう。たとえば以下のような話題――楽団員はなぜその道を選んだのか、ソロ演奏家の挫折組なのか/オーケストラはどのように運営され、組織図や人間関係はどうなっているか/演奏中ほぼ弾きつづけているヴァイオリン奏者と演奏機会の少ないハープなどの楽器の演奏者の給料は同じなのか/定年までに450回も同じ曲を演奏するというのはどんな経験か/ヴィオラ奏者の思い/ティンパニの役割とは/オーケストラの配置はどのようにして決まるのか/ウィーン・フィルに女性が少ないのは/オーケストラによる響きの違い、にじみ出る国柄の原因は/なぜ指揮者が変わるとオーケストラの音も変わるのか……。巻末には「主要オーケストラ略歴」「世界の主要400オーケストラ、国別一覧」ほか、膨大な人名索引・楽団名索引付。





書名:星を抱いた男~経営者にしてオペラ歌手、世歌勳・小栗成男という生き方~

著者:松下隆一

発行:PHP研究所

 経営者でありながら、テノール歌手としてカーネギーの舞台に立った男がいる。その男の名は小栗成男。名古屋で自動車販売会社を経営し、名古屋市の教育委員にも名を連ねている。小栗の人生は挫折と屈辱の連続であった。しかしそれを糧にしてトップセールスマンとなり、経営者となり、まわりからの目を気にすることなく50を過ぎてテノール歌手への挑戦を続けてきた。著者の松下隆一は小栗を見てこう語る。「自分自身の本来あるべき姿、自分を偽らない生き方。小栗成男はそのために─彼の言葉を借りるのなら─『身体がふるえて全部血が抜けるくらいつらかった』という切実なる想いから解放されるために、無謀だと言われる挑戦をしなければならなかった。あなたが、自分を変えたい、閉塞感から抜け出したい、ささやかでも“誰か”のために生きたいというのなら、小栗成男の生き方をヒントにすれば、その望みはかなうかもしれない」と。挫折も屈辱も糧にして、底抜けに明るく挑戦する男の生き方に学べ。
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