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医学研究関連記事の新聞紙面から切り抜き
再生医療、薬理学、生理学、神経科学、創薬

胃がん:酢で染色、部位把握=岡山大学

2009年01月15日 | 医療技術
 ◇正診率向上、早期発見に期待
 色素に酢(酢酸)を混ぜ、胃がん部位を浮き上がらせる検診技術を岡山大学病院光学医療診療部の河原祥朗助教らが発見、日本消化器内視鏡学会の英文誌「Digestive Endoscopy(消化器内視鏡)」に発表した。胃がんの正確な診断や早期発見につながる手法として期待されている。【石川勝義】

 ◇正診率向上
 胃がんの治療は近年、患者の負担が少ない内視鏡手術が発達。患部の根元に薬剤を注入し、がんを持ち上げて切り取る「内視鏡的粘膜下層剥離(はくり)術」が普及し、内視鏡で切除可能な胃がんは直径約2センチから10センチ以上になった。

 一方、通常胃がんの診断には、インジゴカルミンという青色の着色料で胃内部を染め、凸状になった患部を浮き上がらせる手法が用いられる。しかし、胃壁は元々起伏があるためがんと見分けがつきにくく、正診率は約70%という。取り残しは再発につながるため、がん部位を正確に把握するための検出技術が求められていた。

 河原助教らは胃の細胞は粘液で胃酸から身を守り、がん細胞は粘液をつくる力を失う点に着目。内視鏡検診時は胃の中が空で胃酸、胃粘液とも分泌されないため、検診時にインジゴカルミン溶液に0・6~0・8%の酢酸を混ぜることで胃を刺激、粘液を分泌させた。結果、着色料は正常組織の粘液と結合して青く染まって胃がん部分だけが浮き上がり、正診率は90%以上に向上したという。

 河原助教らは既に日本の特許を取得し、科学技術振興機構の支援を受けて海外でも特許を出願する予定。河原助教は「特殊な機器が不要で、低コストで正確な診断ができるようになった」と話している。

[毎日新聞 2009年01月15日]
http://mainichi.jp/area/okayama/news/20090115ddlk33040668000c.html

関節リウマチ治療に朗報 メカニズム解明に手がかりの物質特定=就実大学薬学部

2009年01月15日 | 創薬
 関節が炎症を起こして痛む関節リウマチの研究を進めている就実大学薬学部(岡山市)の中西徹教授ら研究チームは、細胞膜上に存在するタンパク質「テトラスパニン」の一種が発症の一因となっていることを突き止めた。このタンパク質は発症メカニズムの全容を解明する上で、重要な手がかりになるとみられる。

 関節リウマチの発症メカニズムについては最近の研究で、関節などを覆っている滑膜内のタンパク質「シノビオリン」(酵素)が過剰に働いて症状が悪化することが分かったが、なぜ併せて滑膜細胞が増大するのか、など因果関係はまだ解明されていない。

 中西教授ら研究チームは、特殊な分析装置(DNAチップ)で関節リウマチ患者と正常な人の滑膜を比較。その結果、患者の滑膜細胞にシノビリオンとは別に、細胞膜表面で絡みつくように存在している正常値の倍以上もあるタンパク質を発見した。

 これがテトラスパニンの一種で、データ分析により、シノビオリン増加を引き起こす原因物質の1つと特定された。そこで、このテトラスパニンの機能を低下させる物質を、関節に炎症のもつ実験ラットに注射したところ、腫れが解消し、同時にシノビオリンが大幅に減少したという。

 これについて中西教授らは、テトラスパニンとシノビオリンとの間で、何らかの情報伝達があって、互いに関係しあっていると結論づけた。

 現在、薬学界ではシノビオリンを抑える治療薬の開発が精力的に進められているが、中西教授らは「特定したテトラスパニンについても、その機能を抑制する抗体など新薬を開発し、関節リウマチの根本治療につなげたい」としている。


[msn産経ニュース 2009年01月15日]
http://sankei.jp.msn.com/science/science/090115/scn0901151845002-n1.htm