ラットは今日も、きみのために。

マウスも研究者も頑張っています。
医学研究関連記事の新聞紙面から切り抜き
再生医療、薬理学、生理学、神経科学、創薬

ペリソダス:アフリカの熱帯魚、右利きは左利きを好む 異型交配、初の確認=京都大学

2008年06月26日 | 生きもの色々
 アフリカのタンガニーカ湖固有の熱帯魚ペリソダスが繁殖の際、自分とは「逆利き」の相手を好んで選ぶことを高橋鉄美・京都大研究員(動物分類学)らのグループが突き止めた。ヒトは近親交配を避けるため自分とにおいの違う相手を選ぶ「異型交配」をすることが知られているが、野生動物で明確な異型交配が確認されたのは世界で初めて。

 25日、英国王立協会のバイオロジー・レター誌(電子版)に発表した。

 ペリソダスは他種の魚の体を口で突き、はぎ取ったうろこを食べる。攻撃する際、口が左右いずれかに曲がり、左に曲がる場合は右側の筋肉や骨が発達しているため「右利き」とされる。

 グループは、ペリソダスがつがいで稚魚を保護する性質を利用し、04年9~10月と07年11月に24組を採集。口が曲がる向きを調べたところ、21組が逆利き同士と判明した。

 ペリソダスのつがいは外敵が近付くと、いずれかが追い払いに行く。外敵の魚にも左利きと右利きがあるといい、高橋研究員は「どちら利きの敵からも子供を守りやすいよう、逆利き同士でつがうのでは」と推測している。【朝日弘行】

[毎日新聞(東京夕刊) 2008年06月26日]
http://mainichi.jp/select/science/archive/news/2008/06/26/20080626dde041040018000c.html



「稚魚をつがいで守る」という、その素敵な習性に思わず萌えてしまいました。
ペリソダスという魚をググってもあまりヒットしなかったのですが、タンガニーカ湖を地図で見たらまあ遠いこと(びっくり)。タンザニア、ザンビア、コンゴなどの国境で、南北650kmってその広大さに2度びっくり。Wikipediaでは固有種の多さについても記されていました。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%BF%E3%83%B3%E3%82%AC%E3%83%8B%E3%83%BC%E3%82%AB%E6%B9%96
(タンガニーカ湖詳細マップ)
http://tanganyika-cichlids.com/Cartographie/Carte_du_lac_Tanganyika_EG.gif
研究スタッフの皆さんは遠路はるばるフィールドワーク、お疲れさまでした。他にも色んな生き物のたくさんの不思議を見つけられましたでしょうか。続報も楽しみにしたいと思います。

「ニモ」絶滅の危機に、映画人気が仇(あだ)=カンブリア大学(英国)

2008年06月26日 | 生命&倫理
【ロンドン26日時事】英カンブリア大学のビリー・シンクレア教授はこのほど、ディズニーのアニメ映画「ファインディング・ニモ」の主役として取り上げられた熱帯魚カクレクマノミが絶滅の危機にひんしているとの研究報告をまとめた。
 映画人気によるペット需要の高まりや、地球温暖化に伴うサンゴ礁の白化現象が原因。海中の生態系を描き、自然の大切さを子供に伝えるはずの映画が皮肉にも深刻な自然破壊を招いている。
 同教授によると、オーストラリアで行われた調査では、1つの群れの平均個体数が25匹から6匹に激減。繁殖の維持が難しくなっているという。(2008/06/27-06:04)

[時事ドットコム 2008年06月26日]
http://www.jiji.com/jc/zc?k=200806/2008062700059


とても憂うべきニュース。
wikipediaでも既にクマノミの乱獲問題は記事にされていました。
クマノミ 
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AF%E3%83%9E%E3%83%8E%E3%83%9F
ファインディング・ニモ
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%95%E3%82%A1%E3%82%A4%E3%83%B3%E3%83%87%E3%82%A3%E3%83%B3%E3%82%B0%E3%83%BB%E3%83%8B%E3%83%A2

ところが某オークションを覗いてみたら、手頃な値段で常時数十件の出品があるんですね。
http://search.auctions.yahoo.co.jp/jp/search/auc?p=%A5%AB%A5%AF%A5%EC%A5%AF%A5%DE%A5%CE%A5%DF&auccat=0&alocale=0jp&acc=jp
出品者のコメントによりますと、国産ブリード(養殖)ものの「商品」を購入することが「天然カクレクマノミ捕獲を減らし生態系を守り自然破壊を防ぐ」ことになるのだそうです(!!??)。ホント、ニンゲンの欲の深さには呆れてしまうばかりです。

IWC総会、捕鯨国アイスランド「クジラ可愛い」の感情論をバッサリ=ロイター

2008年06月26日 | 生命&倫理
【IWC総会】捕鯨国アイスランド、「クジラは可愛い」の感情論を斬って捨て、環境保護の観点にも「持続可能」とバッサリ=ロイター電

アイスランドは、クジラを他の動物と違って特別待遇する理由はないとし、西側諸国の「クジラ可愛いから保護すべき」といった感情論を斬って捨てた。

アイスランドは世界最大の捕鯨国である日本とノルウェーと共に、1986年の捕鯨モラトリアム(一時中止令)を無視して、毎年クジラの捕獲割当てを自ら決定して行っている。こうしたことが多くの国の間で深刻な感情的対立をも生じている。

「クジラを他の動物と違って特別扱いすべき理由など有り得ない」と、IWC(国際捕鯨委員会)アイスランド代表のステファン・アスムンドソン氏はチリで開催されているIWC年次総会の合間のインタビュー(byロイター)に答えた。
「アイスランドは“可愛い”論理には与(くみ)しない。“持続可能な捕獲”が私たちの理念であり、それがIWCも認めている世界共通認識だ」と彼は言う。

彼がそう話した直後に、一人の活動家が会場のシェラトン・ホテルのドアにオートバイチェーンで自分をくくり付けて、「日本、アイスランド、ノルウェーは捕鯨を止めろ!クジラ殺しめ!」 と繰り返し叫び、その後警察が彼を連れ去るといった一幕があった。
オーストラリア、ニュージーランド、英国、そして米国や多くのラテンアメリカの国々などの反捕鯨国は、日本がモラトリアムを欺き「科学的調査」名目で毎年1000頭にのぼる捕鯨を行っているのを非難した。

アイスランドは1989年に捕鯨を中止したが2003年から再開し、今年度は商業捕鯨として40頭のミンククジラの捕獲割り当てを自ら決定した。当該海域は持続可能なだけの十分豊富な棲息数があると主張している。 アスムンドソン氏は次のように語った。


「鯨肉を食べない文化というのも、それはそれで結構なことだが、私は皆が鯨肉を食べるべきだなどと言っているのではなく、世界各地でありふれた食材だということです。基本的にすべての動物は平等であるとしながらもクジラだけは特別扱いしたがる国々がある。鹿狩りは捕鯨のようには問題視されていないが、どちらも同じ哺乳動物の狩りであることに変わりはない。多くの国、とりわけ西側諸国はクジラをどこかしら聖像化していて、動物の中の王様的特別な存在で他の動物と同様の扱いはできないものだとしている。しばしば環境保護の観点で捕鯨反対を唱えているが、持続可能な捕鯨操業である限り反対すべき環境要因は全く存在しない。むしろ動物の権利の問題と呼ぶべきシロモノだ」と、アスムンドソン氏。

モラトリアムを無視しながらも、アイスランドはノルウェーや日本と同じくIWCに加盟している。

[2ちゃんねる掲示板 ニュース速報+@板 2008年06月26日]
http://mamono.2ch.net/test/read.cgi/newsplus/1214467699/l50



Whaler Iceland dimisses "survival of the cutest"
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Reuters, Wednesday June 25 2008
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By Simon Gardner
SANTIAGO, June 25 (Reuters) - Whales are just like any other animal and deserve no special treatment, Iceland said on Wednesday, defending its whaling and dismissing what it called a Western "survival of the cutest" mentality.
Along with World No.1 whaler Japan and Norway, Iceland defies a 1986 moratorium on whaling, and assigns itself its own annual whale catch quota. It argues many nations act too emotionally on the deeply divisive issue.
"There is no reason to treat whales differently from any other animals," Stefan Asmundsson, Iceland's commissioner at the International Whaling Commission, told Reuters in an interview on the sidelines of the body's annual meeting in Chile.
"Iceland does not subscribe to the principle of survival of the cutest. We subscribe to the principle of sustainable utilization," he added. "Sustainable utilization of animals is a recognized principle all over the world."
Shortly after he spoke, a lone protester locked himself to the doors of the Sheraton hotel where the conference is being held with a motorcycle chain, chanting "No more whaling. Japan, Iceland, Norway -- whale killers!" before police whisked him away.
Anti-whaling nations like Australia, New Zealand, the United Kingdom, the United States and a host of Latin American nations on Wednesday decried Japan's circumvention of the moratorium and its annual catch of 1,000 whales for "scientific research".
'ICONIC ANIMALS'?
Iceland halted whaling in 1989 but resumed in 2003, and has given itself the right to catch 40 Minke whales this year for commercial purposes. It argues stocks of whales around its waters are sufficiently abundant to allow sustainable whaling.

"If you have a cultural preference not to eat whale meat, that's fine. I'm not saying everyone needs to eat whale meat, but it's a normal part of the diet in many parts of the world,"

Asmundsson said.
"Some countries like to treat whales in a different manner, basically saying some animals are more equal than others," he added. "Deer hunting is not considered to be a big thing in the same way as whaling is, but in both cases you are hunting mammals."
While ignoring the moratorium, Iceland, like Norway and Japan, has opted to stay within the International Whaling Commission, which conservationists put down to politics and diplomacy.
"Many countries, especially Western countries ... look at whales as somehow iconic animals, special animals that are outside the animal kingdom and cannot be treated as animals normally are," Asmundsson said.
"Opposition to whaling is very often presented as environmentalism. But if you are talking about opposition to a sustainable practice, there is absolutely no environmental factor against this kind of whaling. This is more to do with what you could call animal rights."
(Editing by Sandra Maler)

[gurdian.co.uk/ロイター 2008年06月25日]
http://www.guardian.co.uk/business/feedarticle/7609382


捕鯨問題は難しいのでちょっとあれだったのですが、某掲示板でロイターの報道が取り上げられていたのを拾ってきました。
アスムンドスン氏の意見があまりにも正論で、心地よく響きました。

wikipedia 捕鯨問題のページ
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%8D%95%E9%AF%A8%E5%95%8F%E9%A1%8C
IWC総会では日本もずいぶん頑張っているようです、なぜかその内容については殆ど報道されていませんが。以前はアメリカのダブルスタンダードに対しても、激しく抗議している方が報道されていたのを記憶しています。

「クジラは可愛い。」 そうですね、まあ、きっとそうなんでしょう。
ストレスを感じさせないウシさんも、綺麗好きなブタさんも、結構可愛いですよ。勿論ラットも、マウスも、可愛らしさにはゼッタイの自信があります。
「クジラは知的生物だから‥」 うん、そうですね、じゃあ知的でない方には、何をしても良いのですか?という意見も出ますよね。

ん~、捕鯨反対のヒトと論理的な議論ができるほどラットは知的ではなさそう、残念。 でも、ヒト(特に西側、とか、先進国、とかというわけでなく、世界中のヒトはすべからく)は、その脳でいっぱい考えることが許された生物なのだから、目先の感情や利益に捕らわれず、真摯に考えて、最も良い結果を出せるように行動してもらいたいと思います。