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一酸化炭素が肺動脈高血圧症の治療に有効=ボストン

2006年10月02日 | 循環器
無色無臭で時に “サイレントキラー”(沈黙の殺人者)とも呼ばれる一酸化炭素(CO)に、肺動脈高血圧症(PAH)の治療効果が期待できることが、米国の研究で明らかになった。

PAHでは、肺血管壁が血液を効果的に送り出せないほどに肥厚し、重篤な心肺合併症、特に心臓発作を引き起こす危険性が高い。現在のところ、治癒させる治療法はない。

米医学誌「Journal of Experimental Medicine」9月号に掲載された米ベス・イスラエル・ディーコネス医療センター(ボストン)とピッツバーグ大学(ペンシルバニア州)の共同研究では、 低用量の無毒性の一酸化炭素をPAHマウスに連日短時間曝露させ、治療効果を検討した。

その結果、PAHは改善し、血圧と心臓の重量が正常値に戻った。このことは、差し迫った心不全の危険が回避されたことを意味する。

さらに研究では、一酸化炭素の効果は、PAH患者で無制御に増殖する平滑筋細胞を破壊することで発揮されることが明らかになった。その際、一酸化炭素は健常な細胞に影響を与えることなく平滑筋細胞を破壊した。

論文著者の米ハーバード大学医学部外科学準教授のLeo Otterbein氏は「一酸化炭素は人類誕生の以前から地球上に存在しており、生命誕生に貢献しているという説もある。今回の研究は、生物学上欠くことのできない一酸化炭素の役割を示しているのかもしれない」と述べている。

[2006年10月02日/ヤフーヘルスケア HealthDay]
http://health.yahoo.co.jp/news/detail?idx0=w14061002