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妻よ薔薇のように 家族はつらいよⅢ (2018年日本)

2018年06月06日 | 映画の感想・批評


両親(橋爪功、吉行和子)、長男夫婦(西村まさ彦、夏川結衣)、思春期の息子2人という三世代6人の大家族を切り盛りする専業主婦が、ある日夫の『それを言っちゃあおしまいよ』級の暴言に傷つき、家出をする。
残された「平田家」のてんやわんやを描いたお話し。
果たして、妻はどこへ?夫はちゃんと迎えに行けるのか?


夫婦、親兄弟の有り様を説教臭くなく、現代的意義を込めてやんわりじんわり問いかけてくる。
クスリ、ニヤニヤ、うふふな笑いをにじませながら。

王道のコメディ。安定感がある。
山田洋次監督、80歳を越え、なお意気軒昂。
シリーズ3作目。
どうやら十分にシリーズ化されそう。次は?
大方の予想はつきそうなところも、それもまたいい。



主演の夏川結衣が何とも上手い!
何処にでも居そうな主婦をふんわりと、さもありなんとばかりに演じている。
プッとふくれた表情、家事をてきぱきこなしつつ、かとおもえば、ソファにどっかり、裾があがって艶かしく足を見せてくれて。
同性でもおもわず色っぽいと思ってしまった。
夫のお土産のスカーフをいとおしそうに手にとるところは、本当にかわいい。
こういうありふれた家庭人を演じられる稀有な女優さんかと。
「孤高のメス」や「歩いても歩いても」も好きな作品だが、時にはバリバリのキャリアウーマンも見てみたい。


また、親は親。孫息子が「パパよりもママを選ぶ」というと、「かわいそうな息子!」と本音のでるおばあちゃん。
同じ他家から入った嫁同志、さっきまで息子の嫁に同調していたはずなのに。
我が身を映すような長男にじれったい思いのおじいちゃんも、反省して涙を流す長男の頭をポンポンと、まるで幼子を諭すようなしぐさに、父の愛情がにじみ出る。

煙ったがられながらも心配してくれる妹(中嶋朋子)はおもわず、「おにいちゃん」と追いかけてくれるし、年の離れた末っ子の弟(妻夫木聡)は、おっかなびっくりながらも、初めて兄にしっかりと意見してくれる。そのおかげでやっと重い腰を上げることができたでしょ❗

傍にいる人をちゃんと見てますか?
子どもたちは「親は本当に愛し合ってるのかな」と見つめていますよ。
時には出会いの頃を子どもに語り、信頼しあっている姿を見せてあげないとね。

夫婦で見ると年代と今の状況によってはチクチク、ギクッとなるかも。

公開初日に1人で、昨夜は夫と息子と3人で。

我が家は?
ご心配なく。ウィストン·チャーチルの奥さん並みに、十分手のひらで夫を転がしてますから。(ホンマかいな)

ネタバレ少々
シリーズ2は未見ながら、あれ、この人は前作で亡くなったはずなのに、また同級生役ってどうよ。
うーん、ひっかかるのは、私の器量が狭い?
シリーズ作品の難しさかも。いっそ、毎回違う同級生役の設定でレギュラー出演もいいかも。
「丸田さん」から「角田さん」。次は?

いささかでき過ぎ感のある次男の妻(蒼井優)、次あたりで毒を吐いてくるか?
まだまだ初々しい彼女の、月を見上げての台詞が沁みる。劇場でご確認あれ❗
(アロママ)


監督:山田洋次
脚本:山田洋次、平松恵美子
撮影:近森眞史
出演:橋爪功、吉行和子、西村まさ彦、夏川結衣、中島朋子、林家正蔵、妻夫木聡、蒼井優 他