チョイさんの沖縄日記

辺野古や高江の問題等に関する日々の備忘録
 

7月10日、県が熊野鉱山の土砂搬出道路の農地一時転用許可問題について説明 --- 「関係法令上の問題点が残ることから再度、確認する」と言明 /// 夜はヘリ基地反対協の学習会で当面の工事の問題点を説明

2023年07月11日 | 沖縄・南部土砂問題//遺骨問題 

 南部の遺骨混りの土砂採取で大きな問題となった糸満市「魂魄の塔」横の熊野鉱山開発問題は重大な局面を迎えようとしている。

 現在、熊野鉱山からの土砂搬出道路の農地一時転用申請が出されており、知事が許可すればいよいよ鉱山の開発が始まる。所管の県農林水産部から審査の現状を説明をしたいという連絡があったので、昨日(7月10日、具志堅隆松さんやガマフヤー支援者の会のメンバーら5名で県庁に行き、田代統括監、長本農政経済課長らの説明を受けた。

 統括監らは次のように説明した。

「今回の農地転用申請の審査を続け、4月には『許可相当』という方針となった。しかし、4月になって県教委が文化財の手続きが必要と判断したのでその経緯を見守ってきた。その後、6月に県教委が文化財の届出を受理し、その手続きも終わった。従って、今回の件については、行政として許可せざるを得ないと考えているのでご理解をいただきたい。」、「県教委が指示したシーガーアブ内部の測量結果が報告された時点で農地一時転用を許可したい。」

 

 県の説明に対して我々は次のように求めた。

1.このルートを土砂搬出道路とすることは、貴重な戦争遺跡であるシーガーアブが崩落するおそれがあることから、別ルートを検討するよう指示すること

 今回の農地転用申請箇所は農振法の農用地区域に指定されている。「農用地区域内にある農地の転用は、原則として許可をすることができない」(『農地法関係事務処理の手引き』(沖縄県))が、「次のいずれかに該当する場合には、例外的に許可をすることができる」(同)とされている。それには、①「3年以内の一時的な利用」、②「用地選定の任意性(他の土地での代替可能性)がないか、又はこれを要求すること不適当と認められる場合」等がある。許可はあくまでも「例外」なのだ。

 本件転用申請書の「代替地検討書」では、2ルートの代替地を検討したとされているが、「米須嵩下原1454,同1469-1」を通るルートについては、「農地耕作をしていた地権者の同意が得られず断念」としている(もう一つの山林内のルートについては、そもそも実現可能性がなく論外である)。不同意の理由が、借地料に関するものかどうかは不詳だが、このルートや本件申請ルート以外にも北側の農道に繋がるルートは他にも考えられる。

 今回の申請ルートを土砂搬出道路とすれば、沖縄県教育委員会が埋蔵文化財包蔵地と指定した貴重な戦争遺跡であるシーガーアブが崩落するおそれがある。知事は今回の申請ルートの農地転用許可申請を認めるのではなく、別ルートを検討するよう指示すべきである。 

 

2.他法令の手続き(施業案の変更認可申請、赤土等流出防止条例等)は全て完了しているか?

 農地転用許可申請の審査にあたっては、知事は、関係各課にも照会し、「他法令等の確認」をする必要がある(『農地法関係事務処理の手引き』)。

 今回の申請については、次の各項目についての手続きが問題となる。

①鉱業法

 熊野鉱山では、当初、7年3ケ月としていた採掘期間が、農地転用許可の関係で3年に短縮されたことにより、当初計画から採掘量・採掘深さ・採掘方法等が大幅に変更された。鉱業法では、「1年間の採掘予定量の著しい変更(20%以上の増減)」や、「採鉱の方法の変更」は、施業案の変更認可申請を要するはずだが(『施業案記載の手引き』沖縄総合事務局)、今回の県の説明では、施業案の変更認可申請は行われていないという。

 このままでは、現在の土砂搬出道路の3年間の農地転用期間が終了すれば、業者は再度、他のルートを土砂搬出道路として農地転用許可申請を行う可能性がある。以前、県は、農地法の趣旨からそういったことは認められないと言明していたが、そうであれば、許可の際に、「3年経過後、別ルートの農地転用許可申請は認められない」という趣旨の留意事項を付すべきである。


②赤土等流出防止条例

 今回の農地転用許可申請は、土砂搬出道路だけではなく、石・残土一時保管場所、洗車場・トイレ、駐車場等を設置する場所も含まれている。土砂搬出道路部分の赤土等流出防止条例に基づく事業行為届出書は昨年11月28日に提出されたが、石・残土一時保管場所、洗車場・トイレ、駐車場等の部分の事業行為届出書は本年3月14日時点では提出されていない。

 その後、これらの土地の事業行為届出書は提出されているのかと聞いたが、農政経済課は分からないということだった。そのため再度、確認の上、説明するということになった。

 

 琉球新報 2023.7.12

 

 他にもいくつかの疑問点もあることから、県として、関係法令の手続きをもう一度確認し、再度、私たちに説明するということになった。農地一時転用許可はそれまでは出されない。

 

 

 

    (県との面談結果を報道陣に説明する具志堅さん)

 

 午後は辺野古へ。夕刻からヘリ基地反対協の海上行動チームの学習会で、当面の辺野古新基地建設事業の工事の問題点について話をさせてもらった。

             (ヘリ基地反対協の学習会)

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