沖縄県は、11月27日、防衛局が提出した辺野古の設計変更申請書について、公有水面埋立法に基づき、市長意見書を提出するよう渡具知名護市長に諮問した。県は名護市長の意見も踏まえて、設計変更申請書を承認するか、不承認とするかを決定する。名護市長の意見書はきわめて重要な意味を持つものだ。2013年の埋立承認の際は、当時の稲嶺市長は、名護市民の意見を聴取し、「名護市民としての誇りをかけて、辺野古埋立計画に反対する」という素晴らしい意見書を作成した。
県は、名護市長の意見書提出期限を4ケ月先の来年3月26日とした。まだたっぷり時間があるので、市民の意見等も参考にして市長意見書を作成するようにとの声があがっていた。
市長意見書を県に提出するには、市議会の議決が必要となる。現在開催中の市議会定例会は近く終了するので、市長意見書が議会に提案されるのは来年3月の定例会になると思われていた。県もその期間を考慮し、提出期限を4ケ月としていたのだ。
ところが、昨日(11日・金)の夕刻、突然、名護市長は現在開催中の市議会定例会に、追加議案として市長意見書案を提出し、16日に開催する本会議での議決を求めた。
名護市議の方から、市長意見書案が送られてきたが、その内容を見て唖然とした(下記に添付)。わずか3行にすぎない簡単なものだったのだ。
「辺野古地先を埋立てて作業ヤードとして使用することを取止め、埋立区域から辺野古地先を削除する埋立地の用途の変更については、異議はない」
たったこれだけだ。今回の変更申請では、辺野古漁港周辺(4.6ha)を埋立てて作業ヤードとする計画は中止された。渡具知市長は、その点について異議はないというだけで、変更計画の大部分を占める辺野古新基地建設のための埋立事業の設計変更については、何の意見も表明しないのだ。
あの軟弱地盤の上に新基地が造成できるのか、災害発生の恐れはないのか、大浦湾が汚濁されることはないのか、人々の生活環境への影響はないのか---、名護市長として当然、検討しなければならない問題を全て無視してしまっているのだ。市長としてあまりに無責任だとしか言いようがない。
この追加議案は、12月16日(水)午前10時から名護市議会で審議される。
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今日(12日・土)は、沖縄平和市民連絡会主催の学習会が開催された。桜井国俊さんの「日本学術会議問題を考える」、真喜志好一さんの「軍港問題の歴史と現状」に続いて、私が、最近の土砂陸揚方法の変更、名護市をめぐる問題、南部地区からの埋立土砂採取の問題等を中心に、「これからの『辺野古』をめぐるいくつかの問題」について話をした。
コロナ禍の中だったが、会場には100名を超える人たちが集まった。3人の講演の内容は、まもなくユーチューブで配信される。