今日(9月4日・月)、辺野古・設計変更申請不承認をめぐる国の「是正指示」に対する関与取消訴訟の最高裁判決が出された。予想通り、「本件上告を棄却する」というものだが、驚いたのはわずか5頁の簡単な判決だったことだ。
そこでは、「知事の処分を取り消す裁決がされたにもかかわらず、本件変更承認をしないことは違反。従って、本件是正指示は違法であるとした原審の判断は、結果において是認することができる」としただけである。
本年3月の高裁判決は、「災害防止要件を欠くとした原告の判断の法令違反の有無」、「環境保全要件を欠くとした原告の判断の法令違反の有無」、「埋立の必用性を欠くとした原告の判断の法令違反の有無」、「正当の理由を欠くとした原告の判断の法令違反の有無」等の8点を争点とした。
そして、「(B27地点の力学的試験の必要性、調整係数の問題点等、軟弱地盤問題について)『港港基準』より厳格な判断を行うことは、法の予定するところではなく、そのような判断は、考慮すべきではない事項を過剰に考慮したものとして、裁量権の範囲の逸脱又は濫用に当たる」、「普天間飛行場の危険性を早期に除去するという政策課題を実現する他の現実的な方策を速やかに見出すことが現時点においては困難であると考えられること、本件承認処分に基づく工事が着工されて大浦湾以外の部分につき工事が一定程度進捗していることをも総合勘案すると、5年→9年1ケ月の工程を要することになったことをもって、第1号要件適合性が失われることになったと判断することはできない」など、内容について踏み込んだとんでもないものであった。
しかし今日の最高裁判決は、「高裁の判断は、結果において是認することができる」というだけで、上記のような高裁判決を踏襲したものではない。高裁判決は、県の不承認理由が「裁量権の逸脱又は濫用で違法」としたが、最高裁判決は県の不承認の内容を違法としたのではないのだ。
行政法の本多滝夫龍谷大学教授は、最高裁判決について次のようなコメントを出されていた。
「9月4日の最高裁判決が、事実上の門前払いをするのか、高裁のように中身まで立ち入って判断するのかどうかによって判決の評価は変わってくる。中身に立ち入らなかった場合、最高裁で県の不承認が違法とは判断されていないと言える。」(2023.8.25 琉球新報)
このことは、私たちが知事に要請し続けてきた、「別理由による再度の設計変更申請不承認、又は埋立承認の再撤回」に道を開いたものだ。
問題は最高裁判決を受けた後のデニー知事の対応である。知事は、判決後の記者会見で、「判決内容を踏まえ、検討していく」としか答えなかった。記者からは、「県民からは、再度の設計変更申請不承認や埋立承認の再撤回という声もある。今後の対応を踏まえ検討していくというのは、そうした方向も含まれているのか」、「それに向けて有識者による第3者委員会の設置を検討しないのか?」等の質問も出されたが、同じ答弁を繰り返すだけだった。
知事の毅然とした対応を期待したい。