５月７日（火）、長い連休が明け、久しぶりに辺野古と琉球セメント安和桟橋に行った。辺野古では、１回目の搬入が終ったメインゲート前の集会で、博治さんに促されてマイクを握った。概ね、末尾のような話をした。
（琉球セメント安和桟橋。本部港（塩川地区）からの搬出はない）
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＜ゲート前の集会でのスピーチの概要＞
防衛局は、４月26日、「シュワブ（H31）土木基本設計」と「シュワブ（H31）環境保全検討業務」の入札を公告した。前者は地盤改良工事や各護岸の基本設計、さらに知事への設計概要変更申請に要する資料作成等、後者は地盤改良工事等による環境影響の検討を行う業務である。見積合わせ予定日は７月５日であるから、契約は７月下旬頃となる。履行期限は来年３月末とされているので、知事への設計概要変更申請は来年度になる。当初は年内にも設計概要変更申請が出されると言われていたが、かなり遅れるようだ。
２月定例県議会で県幹部は、この地盤改良工事の設計概要変更申請を承認しないと明言した。県民投票で示された辺野古新基地反対の民意もあり、デニー知事が変更申請を承認することはあり得ない。変更申請が提出された後、審査期間はかなりの長期になるが、結局、知事は不承認とするだろう。その時点で辺野古新基地建設事業は頓挫する。
政府が事業を強行するためには、知事の不承認に対して違法確認訴訟等を起こすほかない。しかし、たとえそれが裁判所で認められたとしても、それで事業が進捗するわけではない。
まず、埋立承認の際の留意事項に基づき、県と各工事の実施設計・環境保全対策等の事前協議を行わなければならない。さらに地盤改良工事に着手する前には、大浦湾の７万４千群体ものサンゴ類の移植が必要となる。知事はそのための特別採捕許可を出さないだろうが、これについても政府がなんらかの法的手段をとり、許可を得たとしてもそれからが大変である。実際にこれだけの大量のサンゴ類の移植にいったいどれだけの年月を要するのか、想像もつかない（１日に100群体を移植したとしても、丸２年以上を要する計算となる）。
その後、地盤改良工事に着手できたとしても、国内に15隻しかない作業船を２年以上にわたって11隻も大浦湾に集めることが可能なのか、砂の調達が可能か等、地盤改良工事は多くの問題を抱えており、政府が計画している５年程度で済むはずはない。
なんとか地盤改良工事が完了するとケーソン護岸の工事が始まる。しかし、ケーソンの仮置き場となる海上作業ヤードも軟弱地盤のために造成の目途が立たない。防衛局の設計概要説明書の工程表では、大浦湾のＡ護岸に１年次１月目に着工し、５年次２月目に大浦湾の埋立区域③の埋立を終えるとされている。大浦湾側の工事で全体の工期が決まるのであり、辺野古側の工事をいくら進めても、それで全体の工事が短縮されるのではない。今後、大浦湾の護岸工事・埋立工事を始めることができたとしても、着手後、４年以上を要するのだ。
埋立工事にも課題が多い。沖縄県には、県外からの埋立土砂搬入に際してアルゼンチンアリやセアカゴケグモ等の特定外来生物の侵入を防止するための土砂条例が制定されており、搬入予定日の90日前までに県への届出が必要である。埋立に用いられるのは岩ズリ（土砂）であるから、県の採石場への立入調査で特定外来生物が見つかった場合、洗浄という駆除方法は採りえない（岩ズリはほとんどが土砂だから洗浄すれば流れてしまう）。駆除策がないので、知事は搬入中止を勧告することとなる。結果として埋立土砂の供給が追いつかなくなる。埋立工事も決して順調には進まないのだ。
その他にも、知事は、県民投票で示された民意やその後の防衛局の違法工事等を理由に再度の埋立承認「撤回」にも踏み切るだろう。結局、現状では、辺野古新基地建設事業は頓挫する可能性が強いが、もし進んだとしても、工事の完成ははるか先なのだ。さらに、埋立工事完成から供用までにも何年もの年数を要する。これらを足し合わせると、今後、共用開始まで少なくとも15年以上を要することとなるだろう。その間に知事が埋立承認再撤回を行えば、さらに遅れる。
政府は、辺野古移設が普天間飛行場の危険性を排除する唯一の方法だと強調する。しかし、辺野古にこだわり続けること自体が逆に、普天間飛行場を事実上、長期に固定化することになってしまうことは明らかである。
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