チョイさんの沖縄日記

辺野古や高江の問題等に関する日々の備忘録
 

6月10日(月)、辺野古土砂搬出反対全国連絡協議会が防衛省・環境省交渉を行います!(質問事項全文掲載)

2019年06月06日 | 沖縄日記・辺野古

 先日のブログでもお知らせしましたが、6月8日(土)に山口県徳山市で講演をした後、10日(月)に辺野古土砂搬出反対全国連絡協として、平和フォーラムと共同して集めた辺野古への土砂搬出反対署名約50万筆を政府に提出した後、防衛省・環境省交渉を行います。関東方面の方は是非、ご参加ください。

 末尾に両省への質問事項を添付しました。10日ほど以前に出したものなので、少し状況が変わった点もありますが、交渉では現在の状況に即して追及していくつもりです。

 

 

                                                 (昨年7月26日の土砂全協防衛省交渉)

防衛省への質問事項

 1.現在、続けられている辺野古側での土砂投入について

埋立土砂の搬出地について

1-1-1. 現在、辺野古側での土砂投入が続いているが、現在、施工中の「シュワブ(H29)埋立工事」(1工区~5工区)では、全て県内の岩ズリ(土砂)を用いるのか? 県外からの岩ズリ(土砂)搬入の予定はないか?

1-1-2. 防衛省は前回の土砂全協との交渉等で、埋立承認申請の添付図書で示した県外の土砂採取予定地につき、「現時点では今のところ変更の計画はありません」と回答した。各地の採石場の状況はかなり変わってきているが、今も、県外からの土砂採取予定地について変更はないか? 中止となった地区、また、他に採取を予定している地区はないか?

 

 埋立土砂の搬送について

1-2-1. 雨天時には、ダンプトラックによる運送時、運搬船への積込み作業等の際に、岩ズリ(土砂)からの濁水が道路や海に流れ落ちる。雨天時の土砂搬送は中止することを確約されたい。

 1-2-2. 現在、施工中のK8護岸を土砂の陸揚に利用する予定か?

 従来から沖縄県は、K9護岸を利用した石材の陸揚げは環境保全図書の変更であり、留意事項に基づく知事の変更承認を受けるよう求めてきた。それにもかかわらず、今回、土砂の陸揚げ場所を増やすことは許されない。

 1-2-3. 本年5月21日、防衛局は本部港(塩川地区)から辺野古への土砂を積みだした。その際、本部町から荷捌き地使用許可を得た範囲を大幅に超えて柵やフェンスを設置した。しかも、これらの柵やフェンスについては、事前に沖縄県から、他の港湾使用者への影響が大きいとして実施しないよう指導を受けていたにもかかわらず、それを無視して強行したものである。同様の行為は、沖縄県からの申入れにもかかわらず、その後も繰り返されている。

 また、防衛局職員や警備員らは、網フェンスを手にもち、抗議する県民を囲いこんで動けなくするなどの人権無視の行為も行われた。

 荷捌き地使用許可を得た範囲以外での柵、フェンスの設置、また防衛局職員や警備員らによる県民の排除等を二度と行わないよう求める。

 

⑶ 埋立に用いられている土砂の性状について

1-3-1. 現在、埋立に用いられているのは、明らかに赤土を大量に含んだ小石混りの土砂である。

 沖縄県は、埋立に用いられている土砂について、「防衛局が県に提出した性状検査結果が、実際に投入されている土砂と同一か、重大な疑義が生じている」として、「土砂の投入を中止すること」、「県の立入調査を受け入れ、検査のため土砂の提供に応じること」という行政指導を繰り返している。

 県の立入調査、検査のための土砂の提供に何故、応じないのか?

 1-3-2. 今後、県外から岩ズリを搬入する場合、岩ズリの規格は、現在の埋立工事の設計図書と同じ「細粒分含有率 40%以下」とするのか? あるいは、埋立承認願書に添付された環境保全図書に記載したように「細粒分含有率は概ね10%前後」とするのか?

 

⑷ 岩ズリ(土砂)の単価について

1-4-1. 現在、施工中の「シュワブ(H29)埋立工事」(2018年3月契約)では、埋立に用いられている岩ズリの単価は5,370円/㎥(運搬費を含まず)となっている。しかし、2014年度に発注された「シュワブ(H26)ケーソン新設工事」等では、岩ズリの単価は1,870円/㎥であった(しかもこの単価決定に際しては、13社に見積り依頼をしたが、12社が辞退し、1社だけの回答で決められたという不可解な経過もある)。

 政府はこの問題について、本年3月5日の参議院予算委員会で、「H27年度からH29年度の間に岩ズリを大量に用いることとなる大型事業、例えば那覇空港滑走路の増設事業、こうしたものが本格化しまして、H29年に開始した埋立工事の前までに岩ズリの需要が増加したこと等によりまして、埋立工事に用いられる岩ズリの単価が変動しました」と答えている。しかし、同じ資材の単価がわずか3年で3倍にもなることはあり得ない。

 この単価はあまりに高額でないか? 1社だけの見積りで価格を決定したことに問題はなかったか? 

 1-4-2. 政府は、「沖縄総合事務局が実施した那覇空港埋立事業の影響」と説明したが、同事業の2018年度の岩ズリ単価は本部港からの運送費を含めて7,450円/㎥であった。一方、今回の辺野古新基地建設事業では、材料費が5,370円/㎥、運送費を含めると11,290円となっている。

「那覇空港埋立事業の影響」という説明は通用しないのではないか?

(なお、那覇空港埋立事業における岩ズリの単価については、6月10日までに沖縄総合事務局に確認の上、回答されたい。)

 1-4-3. 本年3月5日の参議院予算委員会で、鈴木敦夫政府参考人は、「岩ズリの単価については、実際の支払状況を確認の上、清算する」と説明したが、本件埋立事業の契約後、岩ズリの単価を清算したのか?

 

台風時の越波の恐れについて

1-5-1. 現在、辺野古側の外周のK1~4護岸は、まだ下部工(基礎捨石、被覆ブロック)しかできていない。沖縄県の、「CDL+4.0mの護岸と袋材でもってどの程度の波浪に耐えうる高さであり、閉鎖水域を確保できるのか?」という質問に対して、防衛局は、「10年確率波で安定性照査を行っており、閉鎖的水域は確保できる」と回答した(H30.6.22)

 しかし昨年9月には台風のために高波が外周護岸を大きく超え、外周のフロート等が護岸の上に打ち上げられる等の被害が発生した。

 今回、外周護岸と昨年と同じ高さのまま内側に土砂が投入されているが、台風時に越波すれば内部 の土砂がかき混ぜられ、大変な被害となる。防衛局は、「越波により海水が流入したとしても、埋立地内へ自然浸透することから赤土等の流出はない」(H30.6.22)と説明している。

 しかし、本年2月16日の外周護岸から汚濁が外海に流出している右の写真でも明らかなように、内部の汚濁水が外海に流出することは明らかである。外周護岸を最終完成高まで施工してから土砂を投入するべきではないか?

 

2.大浦湾の活断層・軟弱地盤問題、地盤改良工事について

活断層について

2-1-1. 本年3月上旬、立石雅昭新潟大学名誉教授ら地質学者ら10数名が、辺野古・大浦湾周辺の地質調査を行った。その結果、楚久断層、辺野古断層から続く大浦湾海底部の落ち込みが活断層である可能性が高いと指摘されている。そして、政府が今までの地質調査のデータを全て公開するとともに、改めて活断層の存在についての調査を行うよう要請している。

 政府は、今も、「権威ある文献等において辺野古沿岸域における活断層の存在を示す記載はない」と説明するが、既存の文献だけに頼るのではなく、今までの地質調査のデータから活断層が存在するかどうかについて具体的に説明するべきではないか?

 また、改めて活断層の存在について調査を行う考えはないか?

 2-1-2. 立石雅昭新潟大学名誉教授ら、現場調査を続けている地質学者らとの意見交換の場を持つ考えはないか?

 

 今後の地盤調査・土質調査の予定について

2-2-1. 昨年7月26日、防衛省の担当者は土砂全協からの「今後、ボーリング調査を行う予定はあるのか?」という質問に対して、「現時点において、現在履行中の室内試験を含むボーリング調査以外に、海上ボーリング調査を行う予定はない」と回答した。

 今も、大浦湾で追加の海上ボーリング調査を行う予定はないのか?

 従来、行ってきた地盤調査・土質調査に関する業務は、全て終了したのか? まだ継続中の業務はあるのか?

 2-2-2. 国土交通省の依頼で、「地盤に係る設計・施工の検討結果 報告書」(2019年1月。以下『検討結果報告書』)の内容の当否に関する鑑定を依頼された日下部治東工大名誉教授は、結論としては「概略設計段階としては適切である」としたが、今後、詳細設計の段階では追加の地盤調査・土質試験の必要性を指摘した[1]

 今後、追加のボーリング調査を行わないというのであれば、同名誉教授の鑑定を無視するものではないか?

 

地盤改良工事等に必要となる大量の砂の調達について

2-3-1. 「検討結果報告書」によれば、今回の地盤改良工事では、敷砂・砂杭等のために650万㎥もの砂が必要とされている。また、これ以外にも、ケーソンの中詰、埋立区域の盛土部でも予定されている地盤改良工事等にも大量の砂が使われる。

 これらをあわせれば、辺野古新基地建設事業では総量何万㎥の砂が必要になるのか明らかにされたい。

 2-3-2. 沖縄県の年間海砂採取量は、101万㎥~184万㎥であり(2007年~2016年)、今回の地盤改良工事等のために必要となる砂の量は、沖縄の年間海砂採取量の3~6年分にもなる。県内では現在以上の海砂採取は深刻な環境破壊を起こすことが危惧されるが、このように大量の砂をどこから調達するのか?

 2-3-3. 地盤改良工事等のために県外から砂を調達する場合は、沖縄県の「公有水面埋立事業における埋立用材に係る外来生物の侵入防止に関する条例」の対象となることを確認されたい。 

 2-3-4. 「検討結果報告書」では、サンドコンパクションパイル工法の使用材料として、砂以外に「スラグ、再生砕石」等があげられている。鉄鋼スラグの使用も検討の対象とされているのか?

 鉄鋼スラグは大浦湾の環境に与える影響があまりに大きいことから、使用しないことを約束されたい。

 2-3-5. 「検討結果報告書」では、サンドコンパクションパイル工法は同時に4個所で11隻もの作業船を出して工事をするという密な工程となっている。敷砂のためのトレミー船への砂の供給、作業船への砂の供給等のために何隻もの砂運搬船が行き来するが、こうした砂の仮置き場が必要となるのではないのか?

 

 今後の設計概要変更申請の手続について

2-4. 防衛局は本年4月26日、「シュワブ(H31)土木業務設計」、「シュワブ(H31)環境保全検討業務」の入札公告を行った。そこには、「各護岸の基本設計」、「地盤改良検討」、「不同沈下のシュミレーション」等のほか、「公有水面埋立変更申請に要する資料作成」も含まれている。7月5日が見積り合せ予定日で、履行期限は来年3月31日までとなっている。

 設計概要変更申請はこれらの委託業務終了後になると思われるが、何時頃を想定しているのか?

 

 地盤改良工事の総工費について

 2-6. 政府は今も、今回の地盤改良工事について、「詳細な設計が終らなければ確たることは言えない」として総工費を明らかにしていない。しかし、公共工事においては、予算の適正執行の面からも、それぞれの時点で工期や工費が明らかにされなければならない。

 防衛局は、埋立承認申請書の資金計画書でも、「埋立に関する工事に要する費用の額」として、各工事毎の費用を示し、総額を2,310億円とした。今回の地盤改良工事についても、現時点で概算した工費を示されたい。

 

3.県外からの土砂搬入に伴う特定外来生物の侵入の恐れについて

高熱処理の実験について

3-1. 沖縄県は、公有水面埋立事業における特定外来生物の侵入を防ぐために、「公有水面埋立事業における埋立用材に係る外来生物の侵入防止に関する条例」(以下、「土砂条例」)を制定している。

 沖縄防衛局は、2017年度、特定外来生物の高熱処理の実験を行い、「特定外来生物を死滅させるためには高熱処理が有効であるという結果が得られた」とした(シュワブ(H27)水域生物等調査報告書)。

 しかし、膨大な量の土砂を高熱処理することは設備、経費、時間的にも不可能であることは明らかである。防衛局は今も、「高熱処理が有効である」という説明を繰り返しているが(2019.4.2 参議院安全保障委員会)、高熱処理の具体的な方法について検討作業を始めているのか?

(前記報告書では、「高熱処理を行う場合には、上記の条件がまんべんなくいきわたるよう土砂等に処理を施す必要がある」、「プラントを造ることを想定」と記載されている。) 

 3-1-2. 今回の埋立に使用されるのは岩ズリ(土砂)であるため、洗浄すればほとんどが流れてしまう。洗浄という駆除方法を取ることはできない。洗浄、高熱処理がいずれも不可能な場合、他に駆除方法はあるのか? あくまで高熱処理で対応するのか?

 

採石場への立入調査への協力について

3-2. 沖縄県の土砂条例では、「知事は、特定外来生物が付着又は混入しているおそれがある埋立用材があると認めるときは、その県内への搬入の前後にかかわらず、当該職員又は知事の指定した者に、当該埋立用材の所在する場所に立ち入り、調査、質問させることができる」とされている。

 防衛局は、事業の発注者として、採石場等に対して、沖縄県の立入調査に協力するよう指導されたい。



[1] 日下部名誉教授の鑑定書では、次のように追加の地盤調査・地質調査の必要性を指摘している。

「引き続き詳細検討が行われ、断面の修正、地盤調査・土質試験の追加の可能性も含め、『必要があれば前段階に溯って再検討を行う』ことは想定されている。」、「詳細設計で要求される詳細調査では、必要に応じ、より密度の高い地盤調査や土質試験を実施するなどしてより精緻な解析を実施するのが有益と考えられる。」、「必要に応じ、追加の地盤調査・土質試験が計画・実施されることも想定される。」

 

環境省への質問事項

 1)生物多様性について

1-1.愛知目標によれば、2020年までに沿岸の10%を海洋保護区にすることになっているが、残り1年となった今、その手続きの進行状況は? 海洋保護区と「生物多様性の観点から重要度の高い海域』との関係はどうなっているか? 辺野古・大浦湾、土砂搬出予定地の半分以上は「重要度の高い海域』に該当するが、それらは、海洋保護区に入るのか、又は入らないのか?

 1-2.19318日に今帰仁村(なきじん)にジュゴンの死骸が漂着し、ジュゴンの北限の絶滅が懸念されている。死因調査を行う意志は有るか?また、この事態について、環境省としてどう考え、また何らかの行動をとる予定はあるのか?

 関連して、1956日、「生物多様性及び生態系サービスに関する政府間科学政策プラットホーム」(IPBES)第7回総会は、「世界中に約800万種と推定される動植物について、約100万種が絶滅の危機にある」、「海生哺乳類の33%超が、絶滅の危機に直面している」との報告書を発表した。沖縄で起きているジュゴンの激減は、その典型的な実例である。政府は、この報告書の結果をどう受け止め、政策に反映させようとしているか明らかにしていただきたい。

 

2)大浦湾地盤改良工事のための海砂や鉄鋼スラグについて

2-1.海砂採取は、21世紀に入ってから、環境への影響が大きいということで、採取量は減少傾向にあるが、環境省として、海砂採取の環境への影響をどう考えているか。そのようなときに、大浦湾地盤改良工事のために、一時の大規模な海砂の採取が想定されることについて、環境省として、どう考えているか?

2-2 地盤改良工事のため鉄鋼スラグ使用を検討しているといわれるが、鉄鋼スラグの環境への影響をどう考えているか?

 

3)外来生物の被害防止について

3-1.沖縄県土砂条例で、沖縄県が、『特定外来生物が見つかり、除去するよう勧告してもそれに従わなかった場合は、特定外来生物法によって国が取り締まることができる』と説明をしていることについて、環境省はどう考えるか?、沖縄県がいうように、その時点で国の所轄に切り替わるということはあるのか。

3-2.外来生物法では第11条で主務大臣等による防除が規定されているが、この条項を発令するのはどのような場合か、またそれまでにどのような手続きを踏むのか?

3-3.20153月、「外来種被害防止行動計画」に定めた生物多様性地域戦略を踏まえ、侵略的外来種に関する条例、侵略的外来種のリスト等の策定などを求めているが、現在までの条例制定状況をどう把握しているか、また、そのために国がどのような支援策を行っているか

 

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