チョイさんの沖縄日記

辺野古や高江の問題等に関する日々の備忘録
 

<大浦湾の軟弱地盤>肝心のB27地点で地盤の強度を確認する試験を行わず、離れた個所での試験結果で代用したのは何故か?

2019年03月24日 | 沖縄日記・辺野古

 大浦湾の軟弱地盤問題はますます深刻な実態であることが明らかになってきた。この問題について、連日、各方面から問い合わせをいただく。今日は、一般の方には少し分かりにくいかもしれないが、「海面下70m以深は地盤改良の必要はない」という主張への具体的な反論をしておきたい。

 海面下90mまで谷埋堆積土(粘性土)が続いていることが判明したB27地点についての調査が十分に行われていないことが大きな問題となっている。22日の参議院予算委員会で福島みずほ、森ゆう子両議員がこの問題を追及した。

 その結果、肝心のB27地点では地盤の強度を評価するための室内試験が行われていないことが明らかになった。防衛省は、「B27地点の粘性土とS3、S20、B58地点で確認された粘性土は同じ土層であることを確認しています」、「S3、S20、B58地点の地盤の強度を求めるための室内試験の結果、海面下70mを超える深度では、『非常に硬い』粘土層に分類されることが確認されています」、「S3、S20、B58地点の室内試験の結果から地盤の強度を確認することができるため、B27地点における室内試験を実施する必要はありません」と主張している。

 この問題は、23日の琉球新報、沖縄タイムス等も1面で大きく報道してくれた。

  この問題については、3月22日のブログでも、「B27地点と、S3、S20、B58地点の土層は異なっていること、B27地点の海面下70m以深のコーン貫入試験による換算N値は、3~9程度であること」等を指摘した(粘性土の場合、N値4は「柔らかい」、5~14は「中位~硬い」(沈下の可能性がある)に分類される)。

 B27地点と、S3、S20、B58地点の土層は異なっていることについて、さらに詳しく説明する。

 防衛省は、森ゆう子議員の求めに応じて、S3、S20、B58地点の地盤の強度を知るための調査個所を明らかにした。それによると、S3では3か所、S20では5か所、B58では2か所で調査したというが(末尾の付図1参照)、今回、公開された1万頁の調査報告書からそれらの調査地点の土質柱状図を調べてみると、下の図のようになった。

 上図を見ると、B58地点の調査個所は「砂質シルト」。S20の調査個所は、3か所が「粘土質砂」、2か所が「砂質粘土」。S3地点の調査個所は、1か所が「貝殻礫混りシルト」、2か所が「砂質粘土」であった。

 防衛省は「B27地点の粘性土とS3、S20、B58地点で確認された粘性土は同じ土層であることを確認しています」と主張しているのだが、そもそも、S3、S20、B58地点の調査個所の土層がそれぞれ全く異なっているのだ。「同じ土層」などとはとても言えない。

 一方、B27地点の土質は下の図のとおりであるが、これを見ても、「B27地点の粘性土とS3、S20、B58地点で確認された粘性土は同じ土層」とは言えない。

 以上、説明してきたように、S3、S20、B58の3地点のデータから、B27地点の海面下70m以深が、「非常に硬い」粘土層とは言えないことは明らかである。

 そもそも、B27地点が海面下90mまで強固な地盤に届かないことが分かった時点で、何故、地盤の強度を直接調べる試験等を行わなかったのか? 不可解としかいえない。

 この問題について、さらに国会議員さんらの追求を期待したい。


<付図1>S3、B58、S20の3地点の調査個所


<付図2>B27地点のコーン貫入試験による換算N値の数値(一部)

 海面下70m(下の海底面からの深さ+30m)では、まだN値が3台(「柔らかい粘土」に分類される)であることが分かる。


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