中学高校の部活動、「行き過ぎ」防止へ休養日設定へ
2016年6月14日14時26分(朝日新聞より)
中学と高校の部活動に行き過ぎがみられるとして、文部科学省は13日、休養日を設けることを柱とした改善策を発表した。中学については原則として全校を対象に毎年実施している「全国体力調査」でどのくらい休養日を設定しているか聞き、不十分な場合には改善を求める。この日公表した教員業務についての負担軽減策に盛り込んだ。
馳浩文科相は同日、記者会見し、「部活動の顧問のあり方を抜本的に検討し直し、教職員も子どもも心身ともに健全に過ごせるようにしていく」と話した。
改善策では、文化部も含めて休養日を設けることを中学と高校に提案。国が外部の部活動指導員(仮称)を法令に位置づけ、配置を促すことも明記した。
中学校については原則として小5と中2の全員が対象の「全国体力調査」を活用して「休養日の設定状況を把握」するとしている。部活動は教育課程外に位置づけられ、学校の裁量に任されているが、文科省はこの調査を通じて改善を徹底する方針だ。
文科省によると、今年度の全国体力調査は4~7月に実施。中学に配布した質問で「学校として休養日を設定しているか」「しているならば何日か」を尋ねているという。年末までに都道府県別の結果を公表し、教育委員会や学校への改善指導の参考にするという。
文科省はこれらの施策を盛り込んだ文書を月内にも都道府県教育委員会などに通知。学校に適正な休養日設定を促す。
さらに来年度、中高の運動部活動の適正な休養日数はどのくらいか調査、研究し、同年度内に「ガイドライン」をつくる。休養日の日数の基準をはっきりと示し、学校側が極力守るようにしたい考えだ。
部活動の休養日をめぐっては文科省の有識者会議が1997年、「中学校は週2日以上の休養日を設定」などとする参考例を報告書に示したが、現場に浸透していないのが実態だ。
負担軽減策には部活動のほか、教員の事務作業や連絡調整などを補助する「業務アシスタント(仮称)」の配置を国が検討することをあげ、学校給食費の徴収業務を教員ではなく自治体が担うよう環境整備することを教育委員会に求めた。
■教員の業務負担軽減策のポイント
【中学高校の運動部活動】
●休養日を設け、複数の顧問を配置するよう学校に求める
●全国体力調査で中学の休養日の状況をつかみ、改善を徹底
●部活動の実態を調査し、休養日の適正なあり方を研究
●調査研究を踏まえたガイドラインの策定
【事務作業など】
●教員を補助する「業務アシスタント(仮称)」の配置を検討
●給食費の徴収業務を教員でなく自治体が行うよう環境を整備
●文科省に勤務環境改善を促す「対策室」をつくり、アドバイザーを自治体に派遣