自閉症やアスペルガー症候群など「自閉症スペクトラム障害(ASD)」の人に、ホルモンのオキシトシンを鼻に噴霧した際、使用量が多いと症状がより改善することを、福井大の小坂浩隆教授らの研究チームが確かめた。米国の科学誌「トランスレーショナル・サイキアトリー」電子版に23日、掲載された。

 ASD患者は、世界で約70人に1人と考えられている。オキシトシン点鼻で症状が改善することが確認されているが、用量や効果に不明な点が多かった。

 研究チームは、15~39歳のASD患者60人に①一日8噴霧(1噴霧=0・1cc)のオキシトシンを点鼻②一日4噴霧のオキシトシンを点鼻③偽薬を点鼻の三つに分けて、12週間、調査をした。

 一定量(約0・5cc)以上を点鼻した9人は「視線が合う」「会話量が増える」「文章の理解力が高くなった」など症状の改善が見られた。一定量(同)以下を点鼻した中では、オキシトシンが作用する受容体のタイプを決める遺伝子によって、効果に多少の差がでることもわかった。小坂教授は「点鼻量をさらに増やした場合の効果も調べていく」と話した。