西園寺由利の長唄って何だ!

長唄を知識として楽しんでもらいたい。
軽いエッセイを綴ります。

弁慶縞

2016-03-20 | 浮世絵
これは19日の朝日新聞に出ていた、FOOD&TOKYOの全面広告の絵だ。
たまたま今ブログに掲載中の、歌川国芳(寛政9~文久元・1798~1861年)の浮世絵なので
取り上げてみた。

タイトルは「縞揃女弁慶」(しまぞろいおんなべんけい・弘化元・1844年)という。
弁慶縞というのは着物の柄のことで、別名弁慶格子ともいう。
歌舞伎で武蔵坊弁慶が身につけたことからの称という。

    

書き入れには
「おさなごも ねだる安宅の 松が鮨 
 おうぎ(扇)ばけ(化)けなる 袖にすがりて」とある。

女が手にするお皿には、
サバの押し鮨の上に玉子の巻鮨が2個、その上にエビのにぎり鮨がのっている。

にぎり鮨は、文政年間(1818~1830)に
深川の六軒堀にあったすし屋から発祥したといわれている。
(それまでは押し鮨が主流だったようだ)

六軒堀には御船蔵があり、家光が造らせた御座船「安宅丸」が係留されていたことから
別称を「安宅河岸」といった。

この絵のすし折りには「あたけ 松のすし さかえ屋」と書いてあるので、
「安宅の松の鮨」はこの辺り一帯のすし屋の総称だったと思われる。

弁慶と安宅の関は「勧進帳」でお馴染みで、
長唄「隈取り安宅の松」(明和6・1769年)では
安宅の関を偵察に来た弁慶が、大天狗の本性を現し、
天狗風を吹かして飛び去るという筋書きだ。

「扇化けなる」というのはそのことを言っている。


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