薄まる文化-7
3世は父親からだけではなく、
9歳年上の姉(綾子)からも習った。
3世の芸風が繊細なのはその影響があるのかもしれない。
同時代の三味線弾き、山田抄太郎・稀音家浄観(2世)・杵屋勝太郎・杵屋勘五郎(6世)
などとは芸風が異なるように思う。
マイクを使わない歌舞伎の長唄は、ダイナミックな方が効果的だ。
細かい表現はしても通じないし、意味がない。
ところがマイクを通して録音するようになると、
繊細で微妙な表現も可能になる。
3世はかなりラジオということを意識したのではないか。
それこそが時代の流れなのだろうが、
3世の芸を「重箱の角をほじくるように女々しい」と酷評する人もいたと聞く。
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tea break・海中百景
photo by 和尚
