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西園寺由利の長唄って何だ!

長唄を知識として楽しんでもらいたい。
軽いエッセイを綴ります。

「鳥羽絵」-4

2012-08-10 | 笑えます、長唄(c)y.saionji
下男の升六が、すりこぎの鳥を捕まえようとする。

「いでや捕らえてくれんずと
 脚を伸ばして捕らんとすれば
 鳥はついと 飛んで逃げた
 エゝ あったっら物(くやしいねぇ)を
 側に有合う釣瓶竿
 狙いすまして 身繕い」

すると鳥が升六をからかっていう。

「お前 餌差か知らねども
 私しゃ連木(れんぎ)の鳥じゃもの
 ご縁ござらば 今度 今度
 今度来て刺しねへ」

● お前は鳥刺しかも知らないが、
 私はすりこぎの鳥だから、お生憎さま。
 縁があったら捕ってごらん。


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tea break・海中百景
photo by 和尚

「鳥羽絵」-3

2012-08-08 | 笑えます、長唄(c)y.saionji
荒獅子男之助

歌舞伎「伽羅先代萩」(めいぼくせんだいはぎ)床下の段で、
忠臣荒獅子男之助が、巻物をくわえた大鼠を踏みつけていうのが、
「あゝら怪しやなァ」というセリフ。

それをここに持ってきた。

「あゝら あやししの十六文で
 九官鳥は見たれども
 すりこぎに羽根が生えて
 鳥羽絵はほんに我ながら
 オヤ ばからしい」

「あやしし」だけで、
“怪し”と、荒獅子の“獅子”と
九九の4×4=16文がすべて掛かっている。

このようなことば遊びが江戸人の意気なのだ。

16文の木戸銭を払って南蛮渡来の九官鳥は見たことがあるが、
羽根の生えたすりこぎが飛ぶなんて、
何ともばからしい、と鳥羽絵を茶化す。

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tea break
photo by 和尚

「鳥羽絵」-2

2012-08-07 | 笑えます、長唄(c)y.saionji

台所でうたたねしていた升六は鼠に起こされ、
捕まえようと意気込む。
この鼠は升六にちょっぴり恋心を抱いている。

というのが先行曲清元の「鳥羽絵」で、
それのいいとこどりをしたような歌詞を、三升屋二三治が書いた。

始めは「瓢箪鯰」をもってきた。
鼠を捕らえるのに瓢箪でもないだろうが、
終盤に瓢箪が再登場するので、そのための布石だ。

「どっこい 〆たぞ
 〆たぞ どっこい

 おっと そこらは瓢箪で
 押さえてみても 
 ぬらり くらり 
 ぬらり くらり
 ぬるりと 滑った
 とこまかして よいとこな
 逃がしゃせぬ

 訳もなにやら 絵に描いた
 鳥羽絵というも仇つきの
 仇な文句で やってくりょ」

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tea break
photo by 和尚

「鳥羽絵」-1

2012-08-05 | 笑えます、長唄(c)y.saionji
鳥羽僧正

鳥羽絵とは本来は平安時代の天台僧、覚猷(かくゆう)が描いたとされる
風刺画、「鳥獣戯画」を始まりとする一種の戯れ絵をいう。

これは日本最古の漫画ともいわれている。

覚猷は鳥羽上皇の御所、鳥羽離宮の証金剛院へ移り、護持僧となってから
鳥羽僧正と呼ばれるようになった。
鳥羽僧正覚猷の描いた絵が鳥羽絵といわれる由縁だ。

長唄の「鳥羽絵」は、
鳥羽絵の有名な図柄、
“すりこぎに羽根が生えて飛んで行くのを長い竹竿で捕らえようとする
肌着姿の下男“をヒントにイメージをふくらませたもの。


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tea break・海中百景
photo by 和尚

「瓢箪鯰」-8

2012-08-03 | 笑えます、長唄(c)y.saionji
土平

土平は明和頃(1764~1772)江戸四谷に住んでいたという。
頭巾をかぶり、袖なし羽織を着て、飴を首から両掛けにし、
日傘をさして飴売り唄を歌って歩いたのだとか。

ここでは鯰の土平と洒落る。

「仙台の仙台の 
 大川普請のあった時
 鯰一疋とらまえて
 行水させて髭抜いて
 頭巾かぶせて袖なし羽織
 青傘ささせて 飴売りに
 小唄踊で出したれば
 土平と名をつけ 評判男
 
 辻や町々お子様方が
 どちらを向いても どへどへと
 どへと言うたとて
 なぜ腹立ちゃる
 このよいよい 
 よいとまかせて 小手がらみ」
  

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tea break・海中百景
photo by 和尚