多くのアマチュアオケが震災とともに練習を休止し、練習再開するか議論をしているらしい。
団員の親族が被災し、応援に駆けつけて休団状態の方も一人ではないが、
わがオケは一回も休むことなく、会場を転々としながら練習を続けている。
いつもの練習会場は、地震の影響で、点検補修やら、計画停電やらで、使用できない。
足回りの悪い穴川とか、流動化が起きた千葉市幕張の公共施設とかに集合して練習するのだ。
(僕は交通遮断で参加できないことが一回あったけど・・)
継続するために、役員は大変な苦労をしている。
会場を探し、予約し、練習できるか下調べして(きっとそうしていると思う)、
同じ団体名では続けて予約できないので別名で登録したりという具合だ。
集まる団員も一苦労だ。
普通と違う足が必要だし、不案内な会場に定時に到着することは結構大変。
今日の会場は穴川インター脇だった。穴川といえば、知る人ぞ知る千葉県一の大渋滞エリア。
初めて向かった会場は、その看板は見えていても近づくことができず、周囲を2回りしてしまうところだった。
会場に到着しても甘くはない。
本日確保できた会場は4階なのに、エレベーターが使用禁止だった。
「内部に閉じ込められることを避けるため」と張り紙がされていた。計画停電はないのに・・・
たまたまティンパニーは休みだったけど、もし重い釜を4階まで運び上げるとなると、相当困難。
コントラバスの人たちも、むろんチェロのメンバーも4階まで上がると息が切れた。(僕だけかも)
こうした仮練習場は4月いっぱい続く。
今のところ計画停電は少し収まっているけど、初夏に向けて必ず実施されるはずだ。
会場は確保できるのか、エレベーターは動くのか、夏に入ってから会場の冷房はどうなるんだろう。
心配は尽きない。
花見も自粛ムードの中、苦労して練習する意味は何だろう。
まずは、音楽に一時的にでも没頭できることは、心身の健康にとって大変ありがたい。
震災と原発事故の報道で、鬱屈した状態が続いているのはみな同じ。
それが演奏に集中している時間は、ほかの事を一旦忘れることができる。
次に、練習の空白は演奏のクオリティーにはっきり出てしまうので、練習のブランクが避けられる。
7月の定期演奏会には、1000人近い地元クラシックファンが期待し、駆けつけてくれる。
練習すれば練習しただけ、いい演奏になって返ってくると思う。
その証拠に今日は指揮者の小出さんがメンデルスゾーン「フィンガルの洞窟」の初合わせのあと
「僕のやりたいことみんな分かってくれているじゃない」
「よくさらってあるしね~」と褒めてくれた。
実は先週実施した指揮者なしでの総練の成果が出て、小出さんに違いが伝わったのだ。
先週の総練は、流動化のあった幕張の会場に、集まれるだけのメンバーが集まり、
「フィンガルの洞窟」の初合わせを行い、ニールセンの弱点部分を集中的にさらった。
2ndバイオリントップのYUKOさんが強いリーダーシップを発揮されたお陰で、大変よい練習会となった。
こう見てくると、市原フィルのすごくいいところが現れていると感じる。
YUKOさんは指揮棒は持たなかったけど、徹底して音楽のクオリティーを追及しようとして体を張ってた。
(女性に使う表現じゃないか・・でも一生懸命に指導する先生みたいだったよ)
人数が少なくても、オーケストラの練習を指揮者なしで行うことはかなり難しい。
その困難を承知の上でリーダーを担ってくれたYUKOさんの情熱に呼応して、
ティンパニー氏が終始テンポを刻んでくれたり、団員のフォローがあったりで練習が進んでいった。
そして、和音がきれいではないと感じれば何度でもその箇所をさらうし、パートごとに変な音が出ているとか、
誰かが間違った音を出していると感じると、その原因部分を追求して、修正してゆく「しつこさ」を発揮した。
またバイオリンにとって大変難しいパッセージがあれば、
管楽器もその練習に付き合って何回でも弱点部分をさらっていった。
そんな中で
「この部分は小出さんなら きとアクセルかかるから・・」意見が出されて、
指揮者がやりたい方向を推量して そのテンポで練習を進めるなど、
多くの団員が知恵を出し合い、曲のレベルを高めてゆこうという協働精神が発揮されていった。
こういう練習のあり方は、他のオーケストラでも見受けられるのかもしれない。
でも市原の皆さんの自主性と、問題意識の高さ、恐れずに突っ込みあう姿勢には、感心せざるを得ない。
その背景には、毎回練習後に行われている「呑み会」が作用していることは間違いなさそうだ。
(僕は下戸なんであんまり参加しない不良団員かも・・・)
さて、今日はチェロが大停滞を引き起こしてしまった。
ニールセンの第3楽章で、シンコペーションが複雑にからんだところが何回やっても合わない。
チェロ以外全員が見守る中、同じフレーズを何回も何回も何回も繰り返した。
指揮者も、周りのパートの人たちも辛抱強く付き合ってくれた。・・・こんなこともあるんだ。
ニールセンは演奏を予測をできないフレーズが多いとも言えるが、楽譜をよくみて演奏していなかったのだ。
「お前ら楽譜をきちんと読めよ!」と野次こそ飛ばなかったけど、チェロ一同 恥ずかしい場面だった。
自分でも、DをDesで演奏しているところを、長老のFg氏に見破られてしまった。
オケのメンバーの敏感さと音楽への真摯な姿勢に敬意を表したい。