たとえば脳脊髄液減少症・・・・・・

ある日、ソレは突然やってきたかにみえました。
30年前の交通事故の記憶がよみがえる・・・・・・

病名を探して~(5)

2007年09月30日 | 病名を探して…

~運命の日~髄液を抜かれる(1)~

実はその日のこと、靄がかかったようでよく思い出せません。
あまりにショッキングすぎて、記憶装置がフリーズした状態になったのかもしれません。

なぜあの日、あの脳外科に行ったのか。
なぜあの日、髄液検査にうなづいてしまったのか。

その日は朝から体調が悪くぐったりと横になっていました。
頭痛もひどく、脊髄あたりに、地獄の底から這いずってくるような
何ともいえない、いや~な悪寒を感じていました。
普通のひどい頭痛とは明らかに違う、恐ろしい感覚です。

そして夜、救急である脳外科に搬送され
CTスキャンの後、髄液採取を勧められるのです。

「ズイエキ・・・ですか?」
その時私は「脳脊髄液」と「骨髄液」を混同し、恐怖をあらわにしていたのですが
「なーに、すぐ終わりますよ。この液が澄んでいたら
くも膜下出血じゃないって証明されるし安心ですよ。
このまま帰宅しても不安でしょ?
点滴するからお泊りしてもらう事になりますけどね。」
どーみても30歳前と思われる若い医師から、血液検査をするようなお気楽な説明を受けました。

その光景は、今思い出すとなぜか、モノクロの映像です。

髄液採取は意外なほどにあっけなく済みました。
エビのように背中を丸くし、
局部麻酔注射を受けた後に、エイっといとも簡単に
針を刺すのです。

「ホラ大丈夫だね。よかった。よかった。」
結果はその場で知らされました。
注射器の中の液体は見事に澄んでました。

くも膜下出血ではない。ではこの尋常ではない頭痛は一体なんなんだ。
医師は「命に別状はない」頭痛と軽く考えていたようですが
この数日間、安静にしても安静にしても回復しない体調に
普通ではない不安、恐怖がうずまいていました。

身体に異変を感じたのは、髄液採取から5,6時間後の事です。

トイレに立った時に、オソロシイほどふらついたのです。
ふわふわメマイは何年も続いていて慣れているのですが
この時のふらつきは、半端じゃありません。
首と頭蓋が不安定に揺れ動くような感じです。

体調は夜が深まるにつれ、ますます悪化していきました。
動悸・頻尿・手足の冷感・吐き気・身体の振動感・・・・・・。
でもまだこれらの症状は言葉で表現できるし、堪えられる。

何より辛いのが、後頭部から頚椎にかけての
得もいわれないザワザワするような気分の悪さです。

そして、そして
とても、この世のものとは思われない感覚

か、顔と頭のすべてがズレている!

目も鼻も口も耳も
顔のパーツ全てが、あるべきところからずれているのです。
もう気が狂ったとしか思えません。
首から上で、何かとんでもない事が起っている!
自分の身体に一体なにが起きたんだ!

もうパニック状態です。
このまま死ぬのかもしれない。
時々、手足を動かしては「まだ生きている」と確かめ確かめ。

薄れゆく意識の中でナースコールを押しました。


(つづく)


今日の日経新聞の夕刊(9月25日)

2007年09月25日 | 脳脊髄液減少症

脳脊髄液減少症関連の記事が載っていました。

「診断の基準作り 脳脊髄液減少症」というタイトルです。

記事によると「都内在住の主婦が尻餅をついてから、ひどい頭痛に悩まされるようになった。立っても座っても痛み、新聞の内容が頭に入ってこない。しかし横になるとウソのように頭痛は治まる」

まさに起立性頭痛ですね。私もこの不思議な頭痛は腰椎穿刺後に経験しました。
私の場合は不運にもこの頭痛を穿刺と関連づけてくれる医師はゼロ。
ひょっとして、この時点で誰かが感づいてくれていたら
水分摂って安静にしていたのになぁ~~~~、と今でも悔やまれます。

でも「発症後まもなくなら、水分摂って安静で硬膜の穴が 90%の割合でふさがり治る」(by K多村医師)
はどんなもんなんでしょうねえ~~。

記事の彼女は幸運にも N医科大付属病院を受診し、
「脳脊髄液減少症」と診断されています。
K多村医師曰く「スポーツで体をねじった場合や、飛行機に乗った時の気圧変化でも硬膜が傷つくことがある」と。
へぇ~~。飛行機の気圧変化でもねえ。
じゃあ、雨などの低気圧で体調悪化するのは硬膜のねじれ現象なのかなぁ~。

また「今年厚労省の補助金を受けて発足した公的な研究班(K山・山形大部長)はこの10月をめどに脳画像や症状などの大まかな診断基準を定め、症状を三段階前後に分類できるようにする。」とか。
どうやら少しは研究すすんでいるようです。

でもこの新聞記事にある症状は「頭痛」「吐き気」「めまい」「耳鳴り」「全身のだるさ」だけ。「交通事故・転んだ弾みに発症」とあるだけなので
もっと多彩な症状のある人がもしこの記事を読んだとしても自分のことだとは思わんかもな~~~。

ただ、お堅い「日本経済新聞」が取り上げてくれたってことは誉めてあげてもいいかもです。


病名を探して~(4)

2007年09月23日 | 病名を探して…

~腰椎穿刺前のドクターショッピング・その2~

私は長い間「ふわふわめまい」に悩まされ、
さまざまな科を渡り歩き、
その都度、今度こそと希望をもって受診してきました。
内科・耳鼻科・眼科・整形外科・婦人科・歯科・脳神経外科・・・・・・

が、

ドクターショッピングを続ける間も
症状は自分でも気がつかないほどビミョーに
ジワジワと、でも確実に悪化してきていたのです。

数多くの医師の診察を受けましたが
あらゆる検査で異常がなければ
「あなた神経質ですね。気にしすぎるタイプでしょ。」
と心因性のものと決め付けられます。
ズボラでがさつ、超ノンキは私が「シンケイシツ?はい~~~?」

当時の症状は
・歩くたびに脳が揺れ動くようなふわふわ感(何時の間にか進化してました)
・聴覚過敏(金属音やお皿がぶつかる音が脳に響いて辛い)
・頻尿(水分を摂らないようにしていたのに)
・常に脳がもやもやする感じ
・食欲不振(空腹感はあるのに胃の入口が開かない感じ)
・手足のしびれ感
・後頭部の詰まった感じ、緊張型頭痛

それに加えて
部屋を片付けられない、外出が億劫、
とにかく身体を動かすのが辛いのです。
だるくてだるくて、時間があると、ついつい横になる時間が増えていました。

運動不足の怠け病・・・まさにその状態です。
やる気も気力もあるのに、身体が動かないのです。

あんなに大好きだった友達との会食や飲み会も
その日体調が悪くなったら・・・・・・と考えるとイマイチ積極的にはなれません。
それでも無理して参加しては、食べられない、を繰り返していました。
これって、ひょっとして「ウツ?」
あまりに「自律神経失調症」だとか「仮面うつ」だとか
「神経過敏」だとか多数の医師に言われ続けていると
自分的には絶対ちゃうで~!と思っていても
「ひょっとしてそうなん?」と思い始めてしまうから不思議なものです。
「うつ病」がメディアにも大々的に取り上げられ
市民権を得はじめた頃でした。

そんなある日いつものように日中からごろごろ横になって
大好きな韓国ドラマを見ていたら
いきなり震度4の地震です。
結構大きいです。
TVをNHKに切り替えてニュース速報を待ちましたが
一向にテロップが出ません。
「変なの~~。」とその時はあまり気に留めなかったのです。
が、それが頻繁に起るようになり、
ようやく、それが自分だけに起る「1人地震現象」だと知りました。

身体が地震のように揺れる・・・。
この症状も何人かの医師に訴えましたが答えはみな同じ。
「三半規管のトラブルで実際には揺れていない」

でも私は確信していました。

いや!ほんとに身体が物理的に揺れている!
震源地は脊髄だ!

(この謎は、後に出逢う1人の治療師さんによって
明らかにされました。
この揺れは、脳から尾骨まで続く「硬膜」の異常な緊張によるものだったのです。
西洋医学的には、こんな概念はないかもしれませんが、
揺れてる私自身の感覚は、まさにコレです。かなり近いと思います。)


この頃には、もうドクターショッピングをする体力もなくなり始めていました。
座っているのも辛い、立っていられない、横になっても辛い。
いつか倒れるかも・・・。

「その時」はひたひたと、音もなく静かに近づいてきていました。


病名を探して~(3)

2007年09月21日 | 病名を探して…

~腰椎穿刺前のドクターショッピング・その1~

ふわふわメマイは一時治まったかにみえました。
数ヶ月後、また再発した時も、また大人しくしてればいいさ~~。

めまいを侮っていました。

この時耳鼻科で処方された薬は
・メリスロン
・アデホス
・メチコバール
だったと思います。

今回はなぜか全く効きませんでした

それからドクターショッピングが始まったのです。

内科A院
血液検査・心電図・尿検査・レントゲン・MRI・胃カメラ
すべてに異常がなく
お約束の「自律神経失調症」という診断が下されました。
「ストレスあるんじゃないの?
noveさんはいかにも自立神経弱そうだもんね。
僕は何千人も患者さん見てるからねぇ~、うん、間違いないよ。
今気が重い仕事抱えてるでしょ?みててごらん。それ終わったらケロリと治るから」

(って治らないからきたんですけど・・・・・・)

薬はデパスとレンドルミン

内科B院
朝からだるい、ふわふわめまい、食欲不振という症状で
「仮面うつ病」では~~?と言われ
「トレドミン」という抗うつ剤が処方されました。
効能に「気分が明るくなる」と書いてあってちょっと笑えました。
(別に気分は落ち込んでいないんだけどなぁ~)
でもまぁ、折角なので、と1錠飲んでみたところ、
いきなり動悸がして気分が悪くなりました。
かなりの劇薬なのでした。
この頃は、まだ薬の副作用の恐さを知らず、
出されたものを素直にハイハイと飲んでいたのです。
オソロシイです。

婦人科
ホルモンが足りないのかもという事で
「ホルモン補充療法」を。
効果はほとんど感じられず、3ヶ月で中止。
その後、漢方薬を処方してもらったのですが
いずれも効きませんでした。
ここは「漢方も処方!」をアピールする人気のある婦人科なのですが

漢方と言っても、ただ「ツムラ」のアンチョコ本を見ながら
「え~~っと、めまいに効くのは何番かしら~~?」
と当てずっぽうで処方するだけなのですね。
漢方薬の知識はほとんどない、とみました。

まぁ西洋医学の医師のレベルはそんなものなのでしょうね。

いずれにしても、3週間ごとに、色々な漢方薬を処方され全滅でした。
さらに婦人科の範疇ではない、と切り捨てられ、耳鼻科受診を勧められられました。

が~~~ん。
耳鼻科がダメだからここに来たのに・・・・・・。

また振り出しに戻りました。

ドクターショッピングはまだまだ続きます。









 


病名を探して~(2)

2007年09月15日 | 病名を探して…

~腰椎穿刺前の症状~

私は腰痛穿刺で、世にも恐ろしい症状が出て、地獄に堕ちました。

が、しかし。

冷静になってよく思い出してみると
腰痛穿刺に到った経緯があったのです。
穿刺後のインパクトがあまりに大きかったもので
ついうっかりしていました。

そういえば私はずっと体調不良で悩んでいました。
おそらく十数年・・・・・・。もっとかもしれません。

突然あらわれる不定愁訴のような症状は
なんともいえない「ダルさ」「倦怠感」「食欲不振」でした。
テレビで食品が出てくるだけでも、もう気分が悪くなっていました。
これが一ヶ月ほど続き,体重はがくんと減りました。

だるいけれども、日常生活はなんとかこなせる程度のQOLです。
仕事も辛いけれどできない事はありません。
内科ではおそらく「風邪でしょう」と言われ、抗生剤ほか
吐き気止めなど処方されましたが、あまり効き目はなかったようです。
ただ、数ヶ月後にはいつしか治まってくれたので
「単なる疲れだろう」と軽く考えていました。

ただ、今から思うとこれもその後の体調悪化の一つのシグナルだったかもしれません。

このような体調不良は時折おこり
いきなり食事が食べられなくなる、という状態に陥りました。
折角みんなで食事に行っても、ほとんど食べられない事も。
胃カメラでは、軽い胃炎という診断です。
「気のせい」「ストレス」「考えすぎ」とも言われましたが、
楽しいはずのランチ会や飲み会がストレスなのかい?
ふと医師の言葉に疑問を感じた瞬間です。

そしてその数年後。
朝起きるとなんだか様子が変です。
家中の床がまるで「雲」のようにふわふわしているのです。
一瞬、夢の中なのか、と思いました。

気分は悪くはありません。
ただ、歩くとふわふわするのです。
こんなの初めての経験です。
早速PCで検索した結果「浮動性めまい」なるものらしい。
朝一番でふわふわ歩きながら耳鼻科を受診。
内耳の具合がよくないと、言われめまい止めの薬を処方されました。

この時、この薬が効いたのか、症状が軽かったのか
2,3日の安静で改善しました。

ただ、このめまいはこれから長いつきあいとなる
「病名のない病気」のプロローグとなるのでした。


病名を探して~(1)

2007年09月12日 | 病名を探して…

とても久々の更新となってしまいました。

この夏暑くて体調があまり良くなかったのと
パソコンがいきなり壊れたのです。
不幸は重なるものです。

トルストイだったか、こんな言葉があります。

「幸福な家庭の顔はお互い似かよっているが、
不幸な家庭の顔はどれもこれも違っている」

「家庭」を「人」に変えても言えてると思います。
幸せな人って、家庭が円満だったり、仕事に恵まれていたり
裕福だったり、とバリエーションが乏しいし、顔だってみんな同じよう。

でも不幸な人って、その原因は実に多彩。
病気だったり災難だったり、人間関係だったり、仕事だったり
しかもそれも人の数だけ枝葉があります。

病気は「不幸」に入るのかどうか分りませんが
「不運」ではあることには間違いありませんね。

さて、話が横道にそれましたが
本題です。

私はこのブログのタイトルを
「たとえば脳脊髄液減少症・・・」としました。
実は平成19年9月現在、まだはっきりとした病名をもらっていないのです。

「脳脊髄液減少症」とは勝手に思い込んでいるだけ。
ホントは別の病気かもしれません。
ネットで検索したかぎり、自分のこの世のものとは思えない
症状は、この病態に限りなく近いのです。

ドクターショッピングを重ね、100人中99人が
「検査の結果異常なし。心因性のもの」
と診断しましたが、残る1人のドクターがつぶやきました。
「腰椎穿刺」後の劇悪化という私の言葉に反応し

「それは低髄液圧症候群かも・・・・・・」

やっと病名がついた~~~!ばんざーい!

一瞬そのドクターに後光がさしました


健康な人には想像がつかないでしょう。
「病名」を頂くことの喜び・・・・・・。
とても言葉では言い尽くせません。
ものすごい自覚症状があるのに、数字・画像・見た目では異常がない。
そんな病気がこの世にあったなんて。
症状がハンパじゃないのに病名がつかないという状態は
人をパニックに陥れます。
普段、「冷静沈着」「平常心」の塊だと思っていた私が、
発狂しそうになりました。
思わず飛び込みそうになりました。

それだけその状況はフツーではありません。

絶対、異常がわかるはず!と自信を持って受けた
造影剤MRIで「異常なし」と言われた時は

死の宣告と同然でした。

「脳腫瘍」「脳梗塞」の方が心底羨ましかった。
ガンや白血病で余命を宣告された方に嫉妬しました。
それだけそれだけ辛いのです。
命に別状なし、という状態がこんなにも残酷なものだとは。

「死」もない代わりに「生」もない。

24時間一瞬たりとも、自分の身体を意識しないで生きられないのです。
常にどこかに痛みや辛さ、張り、違和感があり
身体の異常以外に意識が向かないのです。
テレビも本もパソコンも、見る気になれない。気力がでません。
「リラックス」という文字は私の辞書からは消えていました。

医師がつぶやいた「低髄液圧症候群」という病気。
病名がついた喜びですっかり舞い上がった私には
その時、それがどんな病態なのか知りませんでした。

本当の闘いはその時から始まりました。